2017年2月、ニュージーランドの出版社から長いメールが入った。
「男女不平等をテーマにしたプロジェクトを企画している。世界中の女性200人を取材し、400ページの本として出版する予定。また、写真とオーディオの展覧会を世界中で開催する。更に、収益の少なくとも10%を女性の保護や人権拡大に貢献している団体に寄付する。何百万人もの女性の生活を向上させ、世界中の男たちを啓蒙し、心を開かせる可能性があるプロジェクトだ。ついては、200人のひとりになってくれないか。OKなら、3月9日か10日にジョハネスバーグでインタビューしたい」という内容。
あまり表に出るのは好きではないので、テレビ出演(こんなところに日本人がいた、みたいな)などは全部断ってきたが、人権問題に長年関わってきた良心的な出版社であるし、世の中のためになりそうなプロジェクトなので、あまり深く考えず承諾する。普段まったく世の中に貢献していない身としては、せめてこのくらいのことでもしないとバチがあたろう。
メールに添付されていたPDFの説明書によると、「世界中の様々なバックグラウンドを持つ女性200人へのインタビューを基にした、画期的な本と国際的な展覧会」。
「様々なバックグラウンドを持つ女性」って・・・?
「有名な女性、無名な女性。華々しくもてはやされている女性、社会の周縁にいる女性。裕福な女性、貧乏な女性。黒、茶、赤、黄、白。逆境に打ち勝った女性、先頭に立つ女性。被害者と英雄。聖人と罪びと。あまりにも多くの女性たち、少女たちが基本的な自由や平等を求めていまだに戦っている今このときに、私たちを啓発し、鼓舞し、ポジティブな変化をもたらしてくれる女性たち。」
なぜ私なんぞに話が来たか不明だが、それなりの理由があるのだろう。「多様性」(diversity)に花を添えるくらいか。(「無名」の「黄色人種」代表?)
2017/12/12
2017/07/25
映画『The Promise』(ザ・プロミス~約束) 美しくて悲しすぎる一大歴史ドラマ
The Promise
2016年
監督
テリー・ジョージ(Terry George)
主演
オスカー・アイザック(Oscar Isaac)
シャーロッテ・ルボン(Charlotte Le Bon)
クリスチャン・ベイル(Christian Bale)
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「20世紀初頭のトルコを舞台にした映画」程度の認識だけで映画館に入った。トルコは好きな国だし、主演のオスカー・アイザックは『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』(A Most Violent Year)の演技が素晴らしかった、個人的に注目している役者だし、クリスチャン・ベイルはまだ12歳くらいだった『太陽の帝国』(Empire of the Sun)以来、幅広く徹底した役作りに脱帽していた役者だし、監督は『父の祈りを』(In the Name of the Father)の脚本、『ホテル・ルワンダ』(Hotel Rwanda)の監督を担当したテリー・ジョージだし、見る価値はあると思ったのだ。
そして・・・見てよかった! 感動のあまり、後半は泣き通しだった。。。
『イングリッシュ・ペイシェント』(English Patient)を彷彿とさせる、一大歴史ドラマ。歴史に翻弄されながらも、愛と信念に忠実に、一生懸命生きる3人の主人公はいずれも魅力的。IMDb(インターネット・ムービー・データベース)で10点満点をつけてしまった。なによりも心にズキっときたのは、ベースとなっている史実だ。
2017/07/10
各国で一番値段を知りたいものは? アメリカは「特許」、オーストラリアは「体外受精」、日本はなぜか「スイカ」
アメリカのFixr(フィクサー)社が面白い地図を作成している。「世界各国で、一番値段が気になるものはなにか」を表わした地図だ。
まともに調査したのでは、予算と時間がかかって仕方がない。もともと冗談半分のリサーチである。フィクサーではグーグルのオートコンプリート機能を利用することにした。
グーグル検索で言葉やフレーズを入力すると、勝手にいくつも予測が出て来る、アレである。
フィクサーが使ったフォーマットは「how much does a * cost in (country name)」。「(国名)で*はいくらするか」と入力すると、過去の同じような質問を基にして、*部分に予測が表示される。最初に出てきたのが、これまで一番多かった結果だろうということで、世界各国の国名を入力し、結果を地図にまとめた。
まともに調査したのでは、予算と時間がかかって仕方がない。もともと冗談半分のリサーチである。フィクサーではグーグルのオートコンプリート機能を利用することにした。
グーグル検索で言葉やフレーズを入力すると、勝手にいくつも予測が出て来る、アレである。
フィクサーが使ったフォーマットは「how much does a * cost in (country name)」。「(国名)で*はいくらするか」と入力すると、過去の同じような質問を基にして、*部分に予測が表示される。最初に出てきたのが、これまで一番多かった結果だろうということで、世界各国の国名を入力し、結果を地図にまとめた。
2017/06/07
グラビギャング ピンクのサリーと竹の棒で闘うインドの女性自衛団
『エル・パイス』(El País)紙で「グラビギャング」(Gulabi Gang)という言葉を目にして、思わず手を止めた。昨年、南アフリカの「三大陸人権映画祭」(Tri Continental Human Rights Film Festival)で図らずも見逃してしまったドキュメンタリーの題名だったからだ。
グラビギャングはサンパット・パル・デヴィ(Sampat Pal Devi)さんが2006年に設立した女性の人権を守る団体。ピンク色(ヒンディー語で「グラビ」)のサリーを身にまとい、竹の棒で武装する。
メンバーの殆どは貧しく教育のない、低いカースト出身の女性。1958年生まれのサンパットさん自身、貧しい家庭に育ち、学校に行かせてもらえなかった。どうしても勉強したくて、独学で読み書きを習った。その後、なんとか小学4年生まで学校に通わせてもらったものの、11歳か12歳で結婚させられ、最初の子供を15歳で生んだ5児の母。肝っ玉母さん的な活動家である。
インド、特に農村地帯では女性の地位がとても低い。夫のDVや嫁殺しの被害に遭う女性が多くいる。グラビギャングはDV夫を竹で叩くなどして懲らしめるのだ。そして、「また奥さんを苛めたら、私たちがやってくるからね!」と脅す。1対1ではか弱い女も、集団になればパワーを発揮する。お蔭で、サンパットさんが住む村では女性の待遇が改善した。
グラビギャングはサンパット・パル・デヴィ(Sampat Pal Devi)さんが2006年に設立した女性の人権を守る団体。ピンク色(ヒンディー語で「グラビ」)のサリーを身にまとい、竹の棒で武装する。
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| (「グラビギャング」のHPから) |
メンバーの殆どは貧しく教育のない、低いカースト出身の女性。1958年生まれのサンパットさん自身、貧しい家庭に育ち、学校に行かせてもらえなかった。どうしても勉強したくて、独学で読み書きを習った。その後、なんとか小学4年生まで学校に通わせてもらったものの、11歳か12歳で結婚させられ、最初の子供を15歳で生んだ5児の母。肝っ玉母さん的な活動家である。
インド、特に農村地帯では女性の地位がとても低い。夫のDVや嫁殺しの被害に遭う女性が多くいる。グラビギャングはDV夫を竹で叩くなどして懲らしめるのだ。そして、「また奥さんを苛めたら、私たちがやってくるからね!」と脅す。1対1ではか弱い女も、集団になればパワーを発揮する。お蔭で、サンパットさんが住む村では女性の待遇が改善した。
2017/01/21
人種差別と親切心 軽トラの荷台で檻に入った黒人女性の写真がソーシャルメディアで炎上
軽トラックの荷台に座る女性。檻の中にいるようだ。
東ケープ州クラドック(Cradock)近くで撮影されたこの写真を、農場労働者の団体が1月19日フェイスブックに投稿し、ソーシャルメディア上で大反響が起こった。日本では「炎上」というのだろうか。
「黒人女性を家畜のように檻に閉じ込め、トラックの荷台に載せて運ぶなんて、運転手はレイシスト(人種差別主義者)の白人に違いない」という思い込みから、南アフリカのフェイスブックやツイッターなどで怒りの投稿、コメントの嵐が吹き荒れたのだ。
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| Denise Rens/Oos-Kaap Plaaswerkers Opstand/Facebook (TimesLive) |
東ケープ州クラドック(Cradock)近くで撮影されたこの写真を、農場労働者の団体が1月19日フェイスブックに投稿し、ソーシャルメディア上で大反響が起こった。日本では「炎上」というのだろうか。
「黒人女性を家畜のように檻に閉じ込め、トラックの荷台に載せて運ぶなんて、運転手はレイシスト(人種差別主義者)の白人に違いない」という思い込みから、南アフリカのフェイスブックやツイッターなどで怒りの投稿、コメントの嵐が吹き荒れたのだ。
2015/05/01
ゼノフォビア殺人 被害者も加害者もどん底の生活
少なくとも7人が命を落とした今回のゼノフォビア(Xonophobia)騒動。7人目の被害者エマニュエル・シトレ(Emmanuel Sithole)さんと加害者4人の家族を『サンデータイムズ』(Sunday Times)紙が追った。浮かび上がったのは、出口の見えない状況でなんとか生き延びようとする必死の姿。
エマニュエルさんの故郷は南アフリカの隣国モザンビーク。ベイラ(Beira)から南西400キロに位置するンハチュンガ(Nhachunga)村だ。ゼノフォビア騒動を避けるため、故郷に戻る予定だった前日に殺されてしまったという。後に残されたのは、母親、若い妻2人、幼児3人。父親は去年亡くなった。
エマニュエルさんが南アフリカにやって来たのは7年前。2008年のゼノフォビア騒動時は南アに留まった。昨年、路上で襲われ何週間も入院したが、やはり南アを去らなかった。半年に1回くらいしか国に戻らず、自分は質素な生活を守って、毎月欠かさず約1300ランド(1万3000円)の仕送りを続けた。
独身だったエマニュエルさんが28歳の時、寒村ンハチュンガを出て南アフリカにやってきたのは、仕事を見つけるため。家族に少しでも良い暮らしをさせ、結婚資金を貯めることが目的だった。伝統的な部族の結婚では、ロボラと呼ばれる結納金を花嫁の家族に払わなければならないのだ。
南アフリカに不法入国し、露天商としてコツコツお金を貯め、ロボラを払ってセリナ(Selina)さんと結婚。商売は繁盛し、昨年、2人目の妻イサベル(Isabel)さんを娶った。現在、セリナさんとの間に3歳の息子と1歳の娘、イサベルさんとの間に1歳の娘がいる。
エマニュエルさんの夢は、家族のためにレンガ作りの家を建てることだった。しかし、エマニュエルさんが亡くなったことで、レンガの家どころか、食料さえおぼつかない。
エマニュエルさんの母親によると、貧しいンハチュンガ村の生活は天候に左右される。今年は作物の出来が悪かった。お金がある家庭は、食料を買うことができる。家畜を持っている家は、牛を何頭か売って食費を調達できる。しかし、お金も家畜もなく、自分で植えた作物しか食べるものがない一家は飢え死にするしかない、という。
エマニュエルさんの故郷は南アフリカの隣国モザンビーク。ベイラ(Beira)から南西400キロに位置するンハチュンガ(Nhachunga)村だ。ゼノフォビア騒動を避けるため、故郷に戻る予定だった前日に殺されてしまったという。後に残されたのは、母親、若い妻2人、幼児3人。父親は去年亡くなった。
| エマニュエルさんの妻、子供たち、母親(Times Live) |
エマニュエルさんが南アフリカにやって来たのは7年前。2008年のゼノフォビア騒動時は南アに留まった。昨年、路上で襲われ何週間も入院したが、やはり南アを去らなかった。半年に1回くらいしか国に戻らず、自分は質素な生活を守って、毎月欠かさず約1300ランド(1万3000円)の仕送りを続けた。
独身だったエマニュエルさんが28歳の時、寒村ンハチュンガを出て南アフリカにやってきたのは、仕事を見つけるため。家族に少しでも良い暮らしをさせ、結婚資金を貯めることが目的だった。伝統的な部族の結婚では、ロボラと呼ばれる結納金を花嫁の家族に払わなければならないのだ。
南アフリカに不法入国し、露天商としてコツコツお金を貯め、ロボラを払ってセリナ(Selina)さんと結婚。商売は繁盛し、昨年、2人目の妻イサベル(Isabel)さんを娶った。現在、セリナさんとの間に3歳の息子と1歳の娘、イサベルさんとの間に1歳の娘がいる。
エマニュエルさんの夢は、家族のためにレンガ作りの家を建てることだった。しかし、エマニュエルさんが亡くなったことで、レンガの家どころか、食料さえおぼつかない。
エマニュエルさんの母親によると、貧しいンハチュンガ村の生活は天候に左右される。今年は作物の出来が悪かった。お金がある家庭は、食料を買うことができる。家畜を持っている家は、牛を何頭か売って食費を調達できる。しかし、お金も家畜もなく、自分で植えた作物しか食べるものがない一家は飢え死にするしかない、という。
2015/04/22
ゼノフォビア襲撃 モザンビーク作家ミア・コウトがズマ大統領に公開書簡
一連のアフリカ諸国民襲撃事件で7人目の犠牲となったモザンビーク人の露店行商人、エマニュエル・シトレ(Emmanuel Sithole)さん(35歳)の殺害容疑者4人が逮捕された。
大勢の通行人や全国紙『サンデー・タイムズ』紙ジャーナリストの目の前で、白昼行われた殺しである。犯人の顔がはっきり映った写真が、4月19日付『サンデー・タイムズ』紙の一面に大きく掲載された。捕まらない方が不思議だろう。殺人の一部始終がカメラに証拠として残されたこと、目撃者が多いこと、更に、世界中で報道され、多くの注目を浴びてしまったことから、4人にはスピーディに有罪判決が下ると見られる。
新聞社のカメラマンは通常大きなカメラを抱えているし、『サンデー・タイムズ』紙のジャーナリストはふたりとも白人。住民の殆どが黒人の地域では目立つ存在である。それでも躊躇しなかった犯人たちは「どうせ捕まらない」とタカをくくっていたのか。(ところで、先日、テレビカメラの前でレポーターを襲った強盗は捕まったのだろうか?)
現場に居合わせた被害者の姉(妹)ジョーディナ・マシア(Jordina Masia)さんによると、料金を払わず売り物のタバコを持ち去ろうとしたので、エマニュエルさんが咎めたところ、襲ってきたという。警察では「通常の強盗殺人事件か、ゼノフォビア動機か不明」と言っているが、ゼノフォビア襲撃の多く、特に商店襲撃は「外国人」を口実にした略奪と見られるケースが多い。少なくとも、武器を携行して路上を歩いていたこの4人は、時流に乗って「外国人」を襲おう、あわよくば懐を潤わせよう、と考えていたのではないか。また、最初から「外国人」を狙っていなかったとしても、タバコ数本のために殺してしまったのは、外国人襲撃風潮の最中、エマニュエルさんがたまたま「外国人」だったことが関係しているのではないか。(「ゼノフォビア」(xenophobia)については「収拾のめどがつかない外国人襲撃にアフリカ諸国が立ち上がる」参照のこと。)
大勢の通行人や全国紙『サンデー・タイムズ』紙ジャーナリストの目の前で、白昼行われた殺しである。犯人の顔がはっきり映った写真が、4月19日付『サンデー・タイムズ』紙の一面に大きく掲載された。捕まらない方が不思議だろう。殺人の一部始終がカメラに証拠として残されたこと、目撃者が多いこと、更に、世界中で報道され、多くの注目を浴びてしまったことから、4人にはスピーディに有罪判決が下ると見られる。
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| (The Citizen) |
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| (ENCA) |
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| (Incwajana) |
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| エマニュエルさんを病院に運ぶジャーナリスト(IOL News) |
現場に居合わせた被害者の姉(妹)ジョーディナ・マシア(Jordina Masia)さんによると、料金を払わず売り物のタバコを持ち去ろうとしたので、エマニュエルさんが咎めたところ、襲ってきたという。警察では「通常の強盗殺人事件か、ゼノフォビア動機か不明」と言っているが、ゼノフォビア襲撃の多く、特に商店襲撃は「外国人」を口実にした略奪と見られるケースが多い。少なくとも、武器を携行して路上を歩いていたこの4人は、時流に乗って「外国人」を襲おう、あわよくば懐を潤わせよう、と考えていたのではないか。また、最初から「外国人」を狙っていなかったとしても、タバコ数本のために殺してしまったのは、外国人襲撃風潮の最中、エマニュエルさんがたまたま「外国人」だったことが関係しているのではないか。(「ゼノフォビア」(xenophobia)については「収拾のめどがつかない外国人襲撃にアフリカ諸国が立ち上がる」参照のこと。)
2015/04/19
収拾のめどがつかない外国人襲撃にアフリカ諸国が立ち上がる
「ゼノフォビア」(xenophobia)という言葉をご存知だろうか。
「ゼノ」(xeno)は「外来の、 異質の、 異種の」、「フォビア」(phobia)は「恐怖症、 病的恐怖、 病的嫌悪」を意味する。つまり、「ゼノフォビア」(xenophobia)とは「外来者・外国人恐怖症、外国(人)嫌い」。リーダーズ英和辞典には「外国[未知]の人[もの]に対する嫌悪・憎しみ・恐怖」とある。
ゼノフォビアという言葉は、南アフリカではかなり特定した使い方をされている。「アフリカ諸国からやってきた黒人に対する、南アフリカ黒人による差別・偏見・暴力」を表す婉曲表現なのだ。ここ数年よく耳にする言葉である。日常的に小さい事件が都市部で起こり、数年に一度、大きな襲撃事件が連発する。大抵の場合、理由にもならないようなちょっとしたことがきっかけだ。きっかけがはっきりしないこともしばしばである。
最初に「ゼノフォビア」が大きく取り上げられたのは、10年くらい前だったと記憶している。モザンビーク人やジンバブエ人が襲撃され、各地に難民キャンプが設立された。
「ゼノ」(xeno)は「外来の、 異質の、 異種の」、「フォビア」(phobia)は「恐怖症、 病的恐怖、 病的嫌悪」を意味する。つまり、「ゼノフォビア」(xenophobia)とは「外来者・外国人恐怖症、外国(人)嫌い」。リーダーズ英和辞典には「外国[未知]の人[もの]に対する嫌悪・憎しみ・恐怖」とある。
ゼノフォビアという言葉は、南アフリカではかなり特定した使い方をされている。「アフリカ諸国からやってきた黒人に対する、南アフリカ黒人による差別・偏見・暴力」を表す婉曲表現なのだ。ここ数年よく耳にする言葉である。日常的に小さい事件が都市部で起こり、数年に一度、大きな襲撃事件が連発する。大抵の場合、理由にもならないようなちょっとしたことがきっかけだ。きっかけがはっきりしないこともしばしばである。
最初に「ゼノフォビア」が大きく取り上げられたのは、10年くらい前だったと記憶している。モザンビーク人やジンバブエ人が襲撃され、各地に難民キャンプが設立された。
2015/03/07
子供1人のお値段25ドル アフリカの人身売買
アフリカに根を張るイスラム過激派グループもある。 2008年10月、レイプされたことを届けようとした13歳の少女を「姦通罪」で処刑したソマリランドの「アルシャバーブ」(al-Shabaab)や、2014年4月、276人もの女子生徒を学校から拉致したナイジェリアの「ボコハラム」(Boko Haram)を耳にしたことがある人もいるかもしれない。
これらのグループのせいで命を落とした人、家を失った人は数知れない。
イスラム過激派をはじめとするテロリストグループは、様々な手段を使って資金を調達している。誘拐による身代金、強盗、共鳴者からの寄付。。。イスラム国家は石油や古代遺物を販売しているし、ボコハラムは麻薬の密輸に関わっている。アルシャバーブは年間数万頭のゾウを殺して、象牙を売っているといわれる。
「人身売買」(human trafficking)もテロ集団の貴重な収入源だ。
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| モニーク・エムサー |
マリ、中央アフリカ共和国、ソマリア、中東などの紛争地帯では、少年たちが兵隊として使われる。ユニセフによると、南スーダンでは2000人、中央アフリカ共和国では1万人、コンゴ共和国では4200人の少年兵が戦っているという。ウガンダの「神の抵抗軍」(Lord Resistance's Army)は3万8000人もの少年兵を「リクルート」した。
では、少女たちは? 性的奴隷や妻にされるのだ。
自力で村から子供たちを拉致するグループもあれば、既に誘拐された子供たちを購入するグループもある。アフリカの子供の値段は1人25米ドル程度。アフリカ大陸で兵隊、労働者、性的奴隷として使われいる子供たちは12万人と推定されている。そして、全世界では30万人!
2014/09/23
ダライ・ラマを南アフリカに入国させよ ノーベル平和賞受賞者14名が嘆願
ノーベル平和賞受賞者14名が南アフリカのジェイコブ・ズマ大統領に公開書簡を送った。ダライ・ラマの南ア入国を強く求めるものだ。
2014年10月13日‐15日、ケープタウンで第14回「ノーベル平和賞受賞者世界会議」(World Summit of Nobel Peace Laureates)が開催される。民主化20周年記念ということで、南アフリカが初めて開催地に選ばれた。南アフリカでノーベル平和賞を受賞したのはこれまで4人。解放運動の指導者アルバート・ルツリ(1961年)、アパルトヘイトに反対した聖公会大主教デズモンド・ツツ(1993年)、アパルトヘイト撤廃と民主主義への平和的移行に貢献したネルソン・マンデラとFWデクラーク(1993年)だ。第14回会議は昨年末亡くなったネルソン・マンデラを偲ぶ大会になる予定という。
1989年にノーベル平和賞を受賞した、チベットのダライ・ラマも当然招待された。ところが、南アフリカ政府に査証を申請したところ却下されてしまった。そこで、他のノーベル平和賞受賞者が入国許可を求めたものである。
嘆願書簡に署名したのは、ポーランドの労働組合指導者・元大統領レフ・ワレサ(「ヴァウェンサ」の表記も有)(Lech Walesa)、バングラディシュのグラミン銀行創始者ムハマド・ユヌス(Muhammad Yunus)、イランの弁護士・人権活動家シリン・エバディ(Shirin Ebadi)、リベリアの平和活動家レイマ・ボウィ(Leymah Gbowee)、北アイルランド和平に貢献したディヴィッド・トリンブル(David Trimble)とジョン・ヒューム(John Hume)など。
ダライ・ラマのジョハネスバーグでの講演会を聞きに行ったことがある。1996年と2004年のことだ。その間、もう一度南アフリカを訪れているので、ダライ・ラマは民主国家南アフリカを3回訪問していることになる。しかし、2009年、ジョハネスバーグの平和会議に出席しようとしたところ、査証が下りなかったという。更に、2011年、デズモンド・ツツの80歳の誕生祝賀会出席のための査証申請も却下された。
2004年と2009年の間に何があったのか。
2014年10月13日‐15日、ケープタウンで第14回「ノーベル平和賞受賞者世界会議」(World Summit of Nobel Peace Laureates)が開催される。民主化20周年記念ということで、南アフリカが初めて開催地に選ばれた。南アフリカでノーベル平和賞を受賞したのはこれまで4人。解放運動の指導者アルバート・ルツリ(1961年)、アパルトヘイトに反対した聖公会大主教デズモンド・ツツ(1993年)、アパルトヘイト撤廃と民主主義への平和的移行に貢献したネルソン・マンデラとFWデクラーク(1993年)だ。第14回会議は昨年末亡くなったネルソン・マンデラを偲ぶ大会になる予定という。
1989年にノーベル平和賞を受賞した、チベットのダライ・ラマも当然招待された。ところが、南アフリカ政府に査証を申請したところ却下されてしまった。そこで、他のノーベル平和賞受賞者が入国許可を求めたものである。
嘆願書簡に署名したのは、ポーランドの労働組合指導者・元大統領レフ・ワレサ(「ヴァウェンサ」の表記も有)(Lech Walesa)、バングラディシュのグラミン銀行創始者ムハマド・ユヌス(Muhammad Yunus)、イランの弁護士・人権活動家シリン・エバディ(Shirin Ebadi)、リベリアの平和活動家レイマ・ボウィ(Leymah Gbowee)、北アイルランド和平に貢献したディヴィッド・トリンブル(David Trimble)とジョン・ヒューム(John Hume)など。
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| (Collective Evolution) |
ダライ・ラマのジョハネスバーグでの講演会を聞きに行ったことがある。1996年と2004年のことだ。その間、もう一度南アフリカを訪れているので、ダライ・ラマは民主国家南アフリカを3回訪問していることになる。しかし、2009年、ジョハネスバーグの平和会議に出席しようとしたところ、査証が下りなかったという。更に、2011年、デズモンド・ツツの80歳の誕生祝賀会出席のための査証申請も却下された。
2004年と2009年の間に何があったのか。
2014/04/14
ヴィッツ大学医学部、新入生受け入れにクジ引きを検討中
ヴィットヴァータースランド大学(University of the Witwatersrand)、通称ヴィッツのアダム・ハビブ(Adam Habib)学長が、同大学医学部の学生受け入れ体制の改革を提案した。
また、白人以外が国民の90%を占めるから、「かつて不利な立場にあった」全員を「優遇」するには無理がある。そのため、与党の有力者とコネがある人ほど有利になり、一部の金持ちがどんどん金持ちになる仕組みになっている。また、新政権になり既に20年経ち、経済的に成功した黒人も増えてきた。黒人の30%が中流階級といわれる。
ハビブ学長の入試改革は、このような社会状況を背景にしたもの。
(注:南アフリカの大学のトップは「Vice-Chancellor」と呼ばれる。逐語訳は「副学長」だが、「学長」の「Chancellor」は名誉職で、実際の運営は「Vice-Chancellor」が行なう。従って、職務内容を考慮した場合、「Chancellor」を「名誉学長」または「名誉総長」、「Vice-Chancellor」を「学長」または「総長」と訳す方が誤解を招かなくて良いと思う。)南アフリカでは「かつて不利な立場にあった」(previously disadvantaged)という、奥歯に物が挟まった表現がある。「アパルトヘイト時代、差別されていた」という意味で、白人以外の人種を指す。広義では、身体障碍者や女性も含む。様々なドアを開いてくれる、魔法のような言葉だ。「かつて不利な立場にあった」人々は就職、昇進、大学入学、政府関連事業の入札など、色々な場面で優遇される。「かつて不利な立場にあった」人々が農地を買う時は、政府が半額出してくれる。(知り合いに、その制度を利用して農地を購入し、農業ではなく、欧米の大金持ち相手に狩猟ビジネスを営む、大金持ちの中国系南ア人がいる。)
また、白人以外が国民の90%を占めるから、「かつて不利な立場にあった」全員を「優遇」するには無理がある。そのため、与党の有力者とコネがある人ほど有利になり、一部の金持ちがどんどん金持ちになる仕組みになっている。また、新政権になり既に20年経ち、経済的に成功した黒人も増えてきた。黒人の30%が中流階級といわれる。
ハビブ学長の入試改革は、このような社会状況を背景にしたもの。
2013/09/15
南ア人アーチスト、パリで逮捕。スティーヴン・コーエンの露出パフォーマンス
南アフリカ人のパフォーマンスアーチスト、スティーヴン・コーエン(Steven Cohen)が9月10日の朝、エッフェル塔の前で逮捕された。容疑は「露出行為」(exhibitionism)。
頭には雄鶏のようなカブリモノ、体には白いコルセット、腕には赤い長手袋、足には7インチのハイヒール。変態っぽくても、何を着ようが個人の勝手でしょ・・・と言いたいところが、問題はそれしか身に着けていなかったこと。しかも、ペニスは生きた雄鶏と紐で結ばれていた。
雄鶏の名前は「フランク」。フランクとスティーヴンはエッフェル塔の前で10分踊ったところで、警察に取り押さえられてしまったのある。
「パフォーマンスアート」(performance art)ってなに?
頭には雄鶏のようなカブリモノ、体には白いコルセット、腕には赤い長手袋、足には7インチのハイヒール。変態っぽくても、何を着ようが個人の勝手でしょ・・・と言いたいところが、問題はそれしか身に着けていなかったこと。しかも、ペニスは生きた雄鶏と紐で結ばれていた。
雄鶏の名前は「フランク」。フランクとスティーヴンはエッフェル塔の前で10分踊ったところで、警察に取り押さえられてしまったのある。
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| (「Sunday Times」より) |
2012/07/30
あなたは死んでいます!?! 運転免許更新に行ってビックリ
ロナルド・バーソロミュー(Ronald Bartholomew)さんは、運転免許の更新に行って腰を抜かした。「あなたは一年前に死亡しているから、免許更新は出来ません」と言われたのだ。80歳という高齢だが、まだピンピンしている。
ロナルドさんの運転免許は7月24日に失効した。それでも、運転を続けるという。しかし、警察に尋問されることを恐れて、高速道路や長距離運転は避けるつもりだ。
「だって、死人が運転してるなんて、どうやって説明したらいいんだ?」
運転免許を更新するには、まず、内務省へ行って、死んでいないことを証明する必要がある。手続きに2か月もかかる上、料金約700円。
「私が犯した過ちではないのに、料金を払わなければならないとは!」 ロナルドさんは絶句する。
私の知り合いの中には、運転免許証に記載された生年月日が父親のものになっていた若者や、性別が「男性」になっていた女性がいるが、いずれも運転免許を発行する役所の事務的な手違い。
内務省の記録で死んでいるとなると、誰かが「死亡届」を出したのだろう。南アフリカの永住権や国籍を取得するために、外国人が内務省の職員にワイロを払って、南ア人と法律上、密かに結婚してしまうというのが一時よくあった。知らない間にナイジェリア人が夫になっていた、という女性に会ったことがある。今回のように死亡扱いにされたというのは、保険金目当ての犯罪絡みか?
ランドバーグ運転試験場のマネージャー、チャールズ・ファンデルヒアヴァール(Charles van der Heever)さんは否定する。老人が運転するのを心配して、家族が死亡届を出すことがタマにあるそうだ。ロナルドさんの場合も、家族の仕業だったことが調べでわかったという。
確かに80歳の老人が運転して事故に遭ったり、事故を起こしたりするのを家族が心配するのは理解できる。本人はしっかりしていると思っても、ハタからみると危なっかしいこともあるだろう。しかし、死亡届を出すとは余りにも過激・・・。
ある一定の年齢になったら、ちゃんと運転できることを証明するためにテストを受けさせるよう法律で定めるなど、他に手段がありそうなものだが。。。
大体、生きている人間の死亡届を出すのは、法律に触れないのだろうか。家族の愛情から生まれた行為でも、ロナルドさんの人権を無視してはいないだろうか。
(参考資料:2012年7月27日付「Northcliff Melville Times」)
【関連記事】
車椅子でスピード違反!?! (2012年6月24日)
ケープタウンのお婆ちゃん 空手8段に(2012年1月29日)
民主国家による国民の人権侵害 ID発行に5年(2010年7月19日)
ロナルドさんの運転免許は7月24日に失効した。それでも、運転を続けるという。しかし、警察に尋問されることを恐れて、高速道路や長距離運転は避けるつもりだ。
「だって、死人が運転してるなんて、どうやって説明したらいいんだ?」
運転免許を更新するには、まず、内務省へ行って、死んでいないことを証明する必要がある。手続きに2か月もかかる上、料金約700円。
「私が犯した過ちではないのに、料金を払わなければならないとは!」 ロナルドさんは絶句する。
私の知り合いの中には、運転免許証に記載された生年月日が父親のものになっていた若者や、性別が「男性」になっていた女性がいるが、いずれも運転免許を発行する役所の事務的な手違い。
内務省の記録で死んでいるとなると、誰かが「死亡届」を出したのだろう。南アフリカの永住権や国籍を取得するために、外国人が内務省の職員にワイロを払って、南ア人と法律上、密かに結婚してしまうというのが一時よくあった。知らない間にナイジェリア人が夫になっていた、という女性に会ったことがある。今回のように死亡扱いにされたというのは、保険金目当ての犯罪絡みか?
ランドバーグ運転試験場のマネージャー、チャールズ・ファンデルヒアヴァール(Charles van der Heever)さんは否定する。老人が運転するのを心配して、家族が死亡届を出すことがタマにあるそうだ。ロナルドさんの場合も、家族の仕業だったことが調べでわかったという。
確かに80歳の老人が運転して事故に遭ったり、事故を起こしたりするのを家族が心配するのは理解できる。本人はしっかりしていると思っても、ハタからみると危なっかしいこともあるだろう。しかし、死亡届を出すとは余りにも過激・・・。
ある一定の年齢になったら、ちゃんと運転できることを証明するためにテストを受けさせるよう法律で定めるなど、他に手段がありそうなものだが。。。
大体、生きている人間の死亡届を出すのは、法律に触れないのだろうか。家族の愛情から生まれた行為でも、ロナルドさんの人権を無視してはいないだろうか。
(参考資料:2012年7月27日付「Northcliff Melville Times」)
【関連記事】
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2012/06/14
女に生まれて嬉しい国、嬉しくない国 G20最新調査
女に生まれて一番ラッキーな国は、「カナダ」。
「社会でどんなに差別されても、夫と一緒にいるのが一番幸せ」という女性も中にはいるかもしれないが、これはジェンダー専門家370人を対象とした、G20のイメージ調査の結果だ。
カナダが1位を占めたのは、男女平等を促進する政策、医療ケアへのアクセス度、暴力や搾取に対する対策などで高成績を上げたため。
G20(ジートウェンティ)は、「Group of Twenty」の略。主要国首脳会議(G8)に参加する8か国、欧州連合、新興経済国11か国の計20か国・地域からなる。
具体的には、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、ロシア、トルコ、欧州連合、中国、日本、韓国、インド、サウジアラビア、インドネシア、オーストラリア、アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、そして南アフリカ共和国。
一人あたりのGDPは、一番少ない南アでも世界25位くらいだから、世界の金持ち国の集まりといってよいだろう。従って、この19か国(欧州連合は国でないので除く)で順位が低いと言っても、全世界レベルでみれば、それほどひどいと言えないかもしれない。
以上を含みおいて、結果をみると。。。
「社会でどんなに差別されても、夫と一緒にいるのが一番幸せ」という女性も中にはいるかもしれないが、これはジェンダー専門家370人を対象とした、G20のイメージ調査の結果だ。
カナダが1位を占めたのは、男女平等を促進する政策、医療ケアへのアクセス度、暴力や搾取に対する対策などで高成績を上げたため。
G20(ジートウェンティ)は、「Group of Twenty」の略。主要国首脳会議(G8)に参加する8か国、欧州連合、新興経済国11か国の計20か国・地域からなる。
具体的には、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、ロシア、トルコ、欧州連合、中国、日本、韓国、インド、サウジアラビア、インドネシア、オーストラリア、アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、そして南アフリカ共和国。
一人あたりのGDPは、一番少ない南アでも世界25位くらいだから、世界の金持ち国の集まりといってよいだろう。従って、この19か国(欧州連合は国でないので除く)で順位が低いと言っても、全世界レベルでみれば、それほどひどいと言えないかもしれない。
以上を含みおいて、結果をみると。。。
2012/05/25
ズマのパロディアートに 与党ANC激昂(げきこう)
南アフリカのジェイコブ・ズマ(Jacob
Zuma)大統領は、その特異な風貌や、品行の放埓さや、金銭感覚のなさや、汚職疑惑・温情主義や、政治家としての無能さのお蔭で、風刺漫画家にカッコウのネタを提供してきた。しかし、顔に品性がないせいか、肖像画や銅像が山ほどあるネルソン・マンデラ(Nelson
Mandela)とは違い、アートには縁が薄かった。
ところが、ついに、ズマの肖像画が! それも、南アフリカの現代アート画廊の最高峰「グッドマン・ギャラリー」(Goodman Gallery)に!
・・・でも、
やっぱりパロディだった。。。
題名は『The Spear』。「槍」である。銃のホルスターのようなものに、ペニスがぶらさがっている。ズマのだらしない女性関係批判? ズマのテーマソング「マシンガンを持って来い」にひっかけた? 与党「アフリカ民族会議」(ANC)が解放組織だった時代の軍事部門「ウムコントウェシズウェ」の英訳「Spear of the Nation」(民族の槍)から? 色々、考えさせる。
ところが、ついに、ズマの肖像画が! それも、南アフリカの現代アート画廊の最高峰「グッドマン・ギャラリー」(Goodman Gallery)に!
・・・でも、
やっぱりパロディだった。。。
題名は『The Spear』。「槍」である。銃のホルスターのようなものに、ペニスがぶらさがっている。ズマのだらしない女性関係批判? ズマのテーマソング「マシンガンを持って来い」にひっかけた? 与党「アフリカ民族会議」(ANC)が解放組織だった時代の軍事部門「ウムコントウェシズウェ」の英訳「Spear of the Nation」(民族の槍)から? 色々、考えさせる。
2012/03/04
マンデラ カナダでは未だ「テロリスト」扱い
「私はこういう人間だ」という「自分像」と、他人から見た「私」が違うのはよくあること。一般に「義賊」と形容されるロビン・フッドでも、金品を奪われた被害者にしてみれば、とんでもない「悪党」に違いない。
南アフリカの現与党「アフリカ民族会議」(ANC)は、人種差別撤廃を求める「解放運動」(liberation movement)だった。運動に身を投じた人々は「解放運動家」であり、「自由の闘士」(freedom fighter)を自認した。
国民が自国政府に対し、基本的人権を求めるのは当然、と私たちは思う。破壊工作を行ったこともあったが、それもアパルトヘイト政権の厳しい弾圧に遭ってのこと。
右の頬をぶたれて、左の頬を差し出すのは美しい行為かもしれないが、相手が同じ土俵に立っているのでない限り通用しない手だ。ずっと強大で、妥協の余地のない相手だと、頬が赤く腫れるどころでは済まない。半殺し、いや、下手をすると殺されてしまう。
世界中から非難されたアパルトヘイト。国際連合は「人類に対する犯罪」(crime against humanity)と呼んだ。「アパルトヘイト政権」=「悪」、「解放運動」=「善」という、単純な色分けが「常識」となっているように当時は思えた。
ところが、「アパルトヘイト」を非難する多くの先進国政府にとって、それは「常識」でも何でもなかったのである。
南アフリカの現与党「アフリカ民族会議」(ANC)は、人種差別撤廃を求める「解放運動」(liberation movement)だった。運動に身を投じた人々は「解放運動家」であり、「自由の闘士」(freedom fighter)を自認した。
国民が自国政府に対し、基本的人権を求めるのは当然、と私たちは思う。破壊工作を行ったこともあったが、それもアパルトヘイト政権の厳しい弾圧に遭ってのこと。
右の頬をぶたれて、左の頬を差し出すのは美しい行為かもしれないが、相手が同じ土俵に立っているのでない限り通用しない手だ。ずっと強大で、妥協の余地のない相手だと、頬が赤く腫れるどころでは済まない。半殺し、いや、下手をすると殺されてしまう。
世界中から非難されたアパルトヘイト。国際連合は「人類に対する犯罪」(crime against humanity)と呼んだ。「アパルトヘイト政権」=「悪」、「解放運動」=「善」という、単純な色分けが「常識」となっているように当時は思えた。
ところが、「アパルトヘイト」を非難する多くの先進国政府にとって、それは「常識」でも何でもなかったのである。
2012/02/29
「人種差別」を理由に亡命する南ア白人たち
アメリカ合衆国在住のアフリカーナの一家が、必死になって国外退去処分に抵抗しているという。「身の安全」を恐れて名前は公表していないが、一家に雇われた弁護士レヒム・ババオグル(Rehim Babaoglu)氏は現在、「人種差別のため、南アフリカには戻れない」という家族の主張を裏付けしてくれる学者を探しているところ。
既に、テキサス州メンフィスにあるローズカレッジ(Rhodes College)のマーク・ベア(Mark Behr)教授とメンフィス大学のデニス・ラウマン(Dennis Laumann)博士に断られている。
ラウマン博士は弁護士からの依頼に、文書でこう回答した。
「人種差別がない民主的なアパルトヘイト後の南アフリカで、差別されると主張するアフリカーナを助けることに、私は全く関心がない。」「学者としての意見を言わせてもらえれば、一家がたとえどのような証拠を提示しようと、彼らの主張には全く根拠がない。」
ベア教授はアフリカーナだ。家は代々農家だったが、土地を失った経験を持つ。それでも、弁護士にこう語った。
「貴法律事務所が弁護しようとしている人々が人種差別の被害者だとしたら、それは悲しいことだが、作り物の人種差別、彼らの頭の中にしか存在しない人種差別だ。」
アパルトヘイト後の南アフリカを脱出しようという白人は、この家族だけではない。
1994年以来、約44万人の白人が国外に移住し、「難民」として外国に居住する南ア人は世界で800人と推定されている。
既に、テキサス州メンフィスにあるローズカレッジ(Rhodes College)のマーク・ベア(Mark Behr)教授とメンフィス大学のデニス・ラウマン(Dennis Laumann)博士に断られている。
ラウマン博士は弁護士からの依頼に、文書でこう回答した。
「人種差別がない民主的なアパルトヘイト後の南アフリカで、差別されると主張するアフリカーナを助けることに、私は全く関心がない。」「学者としての意見を言わせてもらえれば、一家がたとえどのような証拠を提示しようと、彼らの主張には全く根拠がない。」
ベア教授はアフリカーナだ。家は代々農家だったが、土地を失った経験を持つ。それでも、弁護士にこう語った。
「貴法律事務所が弁護しようとしている人々が人種差別の被害者だとしたら、それは悲しいことだが、作り物の人種差別、彼らの頭の中にしか存在しない人種差別だ。」
アパルトヘイト後の南アフリカを脱出しようという白人は、この家族だけではない。
1994年以来、約44万人の白人が国外に移住し、「難民」として外国に居住する南ア人は世界で800人と推定されている。
2011/02/06
オンラインショッピングで大麻 宅急便で配達
公然とオンラインショッピングで大麻を売るサイトが、南アフリカに少なくともふたつはある。
ひとつはハウテン州のフォーブラザーズ(www.4brothers.co.za)。その名の通り、4人の兄弟が2010年9月にHPを開設。バラエティに富んだ商品を説明書きと写真で紹介。「ハンマー」(ハンマーで殴られたような衝撃感があるのだろうか)、「オーロラ」(「とても素敵なメンタルハイ」)、「ビルダー」、「ベラドンナ」。。。。「サトリ」なんて商品もある。
お値段は1グラム125ランド程度(1500円)。「高いが路上で買うより安全」と消費者には好評だ。
南アフリカでは大麻は違法。それをインターネットで公然と販売する裏には、確固としたポリシーがあった。「大麻は安全で健康的だから、合法にすべき」という信念である。栽培・販売を合法化することで、南アの経済発展にも貢献できるという。
ジェイコブ・ズマ大統領や検察庁(National Prosecuting Authority:NPA)に合法化を求める手紙を書いたが黙殺されたので、インターネット販売を開始した。
フォーブラザーズ商品をオンラインで購入するには、18歳以上の身分証明を提示し、以下の免責条項を受け入れる。
「私は個人使用の目的で大麻を購入しようとしています。犯罪を犯す意図は全くありません。また、政府による不法且つ不当な禁制が、大逆であることを理解しています。」
一方、「南アフリカ大麻大使館」と自称するのは、www.cannabis.co.net。
「このウェブページと掲載情報は、成熟した精神を持つ人間が対象」とし、「未成熟の精神を持つ成人はこのページから退出し、真実を扱えるほど成熟してから戻って来てください」とある。
南ア警察のエリート捜査班で組織犯罪・経済犯罪を担当する「ホークス」のスポークスマンによると、今のところ捜査を開始する予定はない。それどころか、「違法なことを公然とするのは、『ハーイ。僕は犯罪者です。逮捕してくださ~い』と言ってるみたいで、馬鹿げている」とあきれる。
NPAでは、警察が動き出さないことには、起訴するかどうか決められないという。
「犯罪」を犯す側と取り締まる側の双方がこうまでおっとりしているのは、日本と違って、大麻が大したことと思われていないからだ。簡単に入手できる、安価なリクリエーションドラッグなのだ。
また、歴史的背景もある。反アパルトヘイト運動の中で、強力な市民社会が形成された。特に都会に住む人々は、国家権力による抑圧に敏感で、言論の自由や人権の保護に熱心である。
売春や大麻の合法化が活発に議論され、大麻が教えの中心をなすラスタ主義の信奉者が、トレードマークの赤、黄、緑のニットの帽子をおおっぴらにかぶっているお国柄でもある。
大麻の合法化を求めるウェブサイト「Below the Lion」は、4人兄弟の写真入りインタビューを掲載している。
http://www.belowthelion.co.za/a-spliff-a-word-with-4-brothers-an-online-coffeeshop-for-south-africans/
(参考資料:2011年1月23日付「Sunday Times」など)
ひとつはハウテン州のフォーブラザーズ(www.4brothers.co.za)。その名の通り、4人の兄弟が2010年9月にHPを開設。バラエティに富んだ商品を説明書きと写真で紹介。「ハンマー」(ハンマーで殴られたような衝撃感があるのだろうか)、「オーロラ」(「とても素敵なメンタルハイ」)、「ビルダー」、「ベラドンナ」。。。。「サトリ」なんて商品もある。
お値段は1グラム125ランド程度(1500円)。「高いが路上で買うより安全」と消費者には好評だ。
南アフリカでは大麻は違法。それをインターネットで公然と販売する裏には、確固としたポリシーがあった。「大麻は安全で健康的だから、合法にすべき」という信念である。栽培・販売を合法化することで、南アの経済発展にも貢献できるという。
ジェイコブ・ズマ大統領や検察庁(National Prosecuting Authority:NPA)に合法化を求める手紙を書いたが黙殺されたので、インターネット販売を開始した。
フォーブラザーズ商品をオンラインで購入するには、18歳以上の身分証明を提示し、以下の免責条項を受け入れる。
「私は個人使用の目的で大麻を購入しようとしています。犯罪を犯す意図は全くありません。また、政府による不法且つ不当な禁制が、大逆であることを理解しています。」
一方、「南アフリカ大麻大使館」と自称するのは、www.cannabis.co.net。
「このウェブページと掲載情報は、成熟した精神を持つ人間が対象」とし、「未成熟の精神を持つ成人はこのページから退出し、真実を扱えるほど成熟してから戻って来てください」とある。
南ア警察のエリート捜査班で組織犯罪・経済犯罪を担当する「ホークス」のスポークスマンによると、今のところ捜査を開始する予定はない。それどころか、「違法なことを公然とするのは、『ハーイ。僕は犯罪者です。逮捕してくださ~い』と言ってるみたいで、馬鹿げている」とあきれる。
NPAでは、警察が動き出さないことには、起訴するかどうか決められないという。
「犯罪」を犯す側と取り締まる側の双方がこうまでおっとりしているのは、日本と違って、大麻が大したことと思われていないからだ。簡単に入手できる、安価なリクリエーションドラッグなのだ。
また、歴史的背景もある。反アパルトヘイト運動の中で、強力な市民社会が形成された。特に都会に住む人々は、国家権力による抑圧に敏感で、言論の自由や人権の保護に熱心である。
売春や大麻の合法化が活発に議論され、大麻が教えの中心をなすラスタ主義の信奉者が、トレードマークの赤、黄、緑のニットの帽子をおおっぴらにかぶっているお国柄でもある。
大麻の合法化を求めるウェブサイト「Below the Lion」は、4人兄弟の写真入りインタビューを掲載している。
http://www.belowthelion.co.za/a-spliff-a-word-with-4-brothers-an-online-coffeeshop-for-south-africans/
(参考資料:2011年1月23日付「Sunday Times」など)
2010/12/23
ゲイカップルの子作り作戦 代理母にお願い
国民の大多数の人権を無視したアパルトヘイト。そんな歴史を持つ南アフリカの法律は、マイノリティや弱者の保護に手厚い。
例えば、同性愛者の権利。ゲイカップルには異性間夫婦と同じ権利が保証されている。また社会的にも、特に都会の白人社会では偏見があまりなく、ゲイであることをオープンにしている人が多い。
ただ、法律が整っていても、社会的に受け入れられていても、悩みはある。ゲイカップルの多くにとって頭が痛いのがふたりの子供を持つこと。愛する人と家庭を築きたいのはやまやまだが、オス同士、メス同士では生物学的に不可能だからだ。
一般的な解決策は二通り。ひとつは養子を貰うこと。もうひとつは、カップルのうち、ひとりの卵子または精子を使うこと。女性の場合は精子銀行を利用したり、家族・友人に精子を提供してもらい自分で子供を産むことが可能だ。
友人のレズビアンカップルはこの手を使って、ふたりがひとりずつ子供を産んだ。精子の提供者は人種が違う男性ふたり。つまり、母親ふたり、父親なし、肌の色が違い、血がつながっていない子供2人という家族構成になる。
「ゲイは社会風紀・秩序を乱す!」と目くじらを立てる人々などは、「家族」とも認めないかもしれない。しかし、親がそれを当然のように自然に振舞っているし、また、家族・親類、友人、近所の人、学校の先生、クラスメート、クラスメートの親など、この家族を取り巻く人々が皆、ごく普通の家族として受け止め、受け入れているから、子供たち自身も屈託がなく、伸び伸び育っている。
男性カップルの場合はもっと面倒だ。まず、赤ちゃんを産んでくれる女性を見つけないといけない。その女性の子供として産んでもらい、出産後、養子手続きをする。代理母は探しは大抵、専門業者を使う。料金は5万ランド(60万円)程度。
ところが、2005年に子供法(Children's Act)が改正、今年4月に施行された。その38条19項は、代理母になることで収入を得ることを禁じている。
妊娠・出産は女性にとって大仕事である。重い悪阻、妊娠中毒症、難産などの可能性に加えて、産後の肥立ちが悪いとか、体の線が崩れるという心配もある。コミットする期間も長い。妊娠期間9か月半、その前の人工授精から考えると、場合によっては1年を超える。良いお金になるならまだしも、喜んでしかも無料で、他人の子供をお腹にかかえてくれる女性はザラにはいない。よっぽど妊娠好きか奇特な人であろう。
子供を切に欲しがるカップルから巨額の料金をむしりとる悪徳業者をなくすことが主眼だろうが、お蔭で代理母になってくれる人を見つけるのがむずかしくなった。
新しい子供法にはその他、代理母に関する次のような規定がある。
子供を持とうと決めてから、代理母と契約を交わすまでに7年かかったという。同じことをまた繰り返すのは大変なので、三つ子が欲しいとのこと。代理母には妊娠中、「脳の働きを高める」モーツァルトを聞いてもらう予定。既にそのためのiPodを用意しているとか。
(参考資料:2010年12月22日付「The Star」など)
例えば、同性愛者の権利。ゲイカップルには異性間夫婦と同じ権利が保証されている。また社会的にも、特に都会の白人社会では偏見があまりなく、ゲイであることをオープンにしている人が多い。
ただ、法律が整っていても、社会的に受け入れられていても、悩みはある。ゲイカップルの多くにとって頭が痛いのがふたりの子供を持つこと。愛する人と家庭を築きたいのはやまやまだが、オス同士、メス同士では生物学的に不可能だからだ。
一般的な解決策は二通り。ひとつは養子を貰うこと。もうひとつは、カップルのうち、ひとりの卵子または精子を使うこと。女性の場合は精子銀行を利用したり、家族・友人に精子を提供してもらい自分で子供を産むことが可能だ。
友人のレズビアンカップルはこの手を使って、ふたりがひとりずつ子供を産んだ。精子の提供者は人種が違う男性ふたり。つまり、母親ふたり、父親なし、肌の色が違い、血がつながっていない子供2人という家族構成になる。
「ゲイは社会風紀・秩序を乱す!」と目くじらを立てる人々などは、「家族」とも認めないかもしれない。しかし、親がそれを当然のように自然に振舞っているし、また、家族・親類、友人、近所の人、学校の先生、クラスメート、クラスメートの親など、この家族を取り巻く人々が皆、ごく普通の家族として受け止め、受け入れているから、子供たち自身も屈託がなく、伸び伸び育っている。
男性カップルの場合はもっと面倒だ。まず、赤ちゃんを産んでくれる女性を見つけないといけない。その女性の子供として産んでもらい、出産後、養子手続きをする。代理母は探しは大抵、専門業者を使う。料金は5万ランド(60万円)程度。
ところが、2005年に子供法(Children's Act)が改正、今年4月に施行された。その38条19項は、代理母になることで収入を得ることを禁じている。
妊娠・出産は女性にとって大仕事である。重い悪阻、妊娠中毒症、難産などの可能性に加えて、産後の肥立ちが悪いとか、体の線が崩れるという心配もある。コミットする期間も長い。妊娠期間9か月半、その前の人工授精から考えると、場合によっては1年を超える。良いお金になるならまだしも、喜んでしかも無料で、他人の子供をお腹にかかえてくれる女性はザラにはいない。よっぽど妊娠好きか奇特な人であろう。
子供を切に欲しがるカップルから巨額の料金をむしりとる悪徳業者をなくすことが主眼だろうが、お蔭で代理母になってくれる人を見つけるのがむずかしくなった。
新しい子供法にはその他、代理母に関する次のような規定がある。
- 代理母には生存する自分自身の子供が最低ひとりいないといけない。
- 代理母が結婚している場合は夫の同意書が必要。
- 依頼するカップルには、ふたりとも出産することができず、その状態は恒久的であり、戻すことができないという医学的理由が必要。
- 依頼カップル両方の生殖体を用いる。妥当な生物学的または医学的理由がある場合は、ひとりの生殖体でも構わない。
- 関係者全員が合意書に署名し、裁判所がそれを認可しなければならない。
- 胎芽が母体に移される以前に、裁判所が代理母に対して、親としての権利・義務を放棄するよう命令を出さなければならない。
- 代理母は出産時に子供を引き渡す。子供は生まれた瞬間から依頼カップルの子供となり、養子手続きは不要。
- 代理母及び依頼カップルの少なくともひとりは南ア国籍。
子供を持とうと決めてから、代理母と契約を交わすまでに7年かかったという。同じことをまた繰り返すのは大変なので、三つ子が欲しいとのこと。代理母には妊娠中、「脳の働きを高める」モーツァルトを聞いてもらう予定。既にそのためのiPodを用意しているとか。
(参考資料:2010年12月22日付「The Star」など)
2010/07/19
民主国家による国民の人権侵害 ID発行に5年
南アフリカでは、内務省が発行するIDブック(身分証明書)が大きな力を持つ。ID番号なしには銀行口座を開くことも、自動車免許を取ることも、パスポートの発行も、年金や児童手当やエイズの薬を貰うこともできない。納税が出来ないから、まともな仕事に就くこともできない。
ID番号は出生や就学などの機会に自動的に割り当てられる訳ではなく、自分で内務省に発行を申請しなければならない。ID番号が貰えるのは国民と永住者のみ。発行には出生証明書が必要だ。今までIDと関係なく生活していた貧しい人が、年金やエイズ薬を貰うのにIDが必要となり、出生証明書がなくて苦労する話を数年前までよく耳にした。
アパルトヘイトが終わり、国民の大多数を代表する黒人政権が誕生し、国民を平等に扱う制度が出来て16年。そろそろ制度が浸透し、IDがなくて苦労する話は昔話になってもよさそうなのに、お役所の無能のために人生をめちゃめちゃにされた例が後を絶たない。
例えば、パトリック・カニーレ君(22)。5年前にマトリック(高校卒業試験)を受ける。試験結果には自信があり、クワズルナタール大学でフィジオセラピーを専攻するのが夢だった。
ところが、教育省が成績を教えてくれない。カニーレ君と同じID番号の人がいるというのである。びっくりしたカニーレ君は、内務省にIDブックの再発行を求めた。マトリックの試験結果なしには、大学に入学申請ができないのだ。だが、内務省は一向にIDブックを発行してくれる気配がない。とうとう、政府の仕事ぶりに対する国民からの苦情を受けつける役所「Public Protector」に救いを求めた。その甲斐あって、やっと今年4月に正しいIDを入手。内務省はIDの発行になんと5年もかかったのである。
喜び勇んで教育省に駆けつけたカニーレ君には、新たな驚きが待っていた。マトリックの成績が見当たらないというのである。そして、教育省が提示した解決策に、カニーレ君は目を丸くした。その年の平均点をカニーレ君の点にするというのだ。たまったものではない。めちゃめちゃな論理である上に、全受験者の平均点では、望みの大学への進学は無理である。
想像してみて欲しい。センター試験の結果をもらうのに戸籍謄本が必要と言われる。提出したら「あなたと同じ戸籍の人がいるから駄目」。市役所が正しい戸籍謄本を発行するのに5年もかかる。更に、「センター試験の結果が見つからないから平均点を使え」と言われる。お役所仕事にイライラさせられることは日本でも多いだろうが、ここまでひどいと立派な人権侵害だろう。
人権侵害は、政府に批判的な国民を逮捕・拷問するといった、独裁政権による言論・行動規制ばかりではない。南アのPublic Protector、ツリシレ・マドンセラ氏曰く、「IDの発行に5年かかるのは、南アフリカの憲法でも、国際的な人権保護法に鑑みても、重大な人権侵害」。制度はあっても、それを実施するやる気と能力がなければどうしようもない。しかも、マドンセラ氏の役所では、調査員僅か90名で年間2万件の苦情に対応しなければならない。政府に提出した報告書や提言は、これまで全て無視されているという。
IDブックの番号が間違っていなければ、また正しいIDブックがすぐ発行されていれば、カニーレ君は既に大学を卒業し、フィジオセラピストとして活躍していることだろう。教育省がマトリック結果を見つけるか、クワズルナタール大学が特別に温情入学を許すかして、一日も早く進学できることを祈っている。
(参考資料:2010年7月18日付「The Sunday Independent」など)
ID番号は出生や就学などの機会に自動的に割り当てられる訳ではなく、自分で内務省に発行を申請しなければならない。ID番号が貰えるのは国民と永住者のみ。発行には出生証明書が必要だ。今までIDと関係なく生活していた貧しい人が、年金やエイズ薬を貰うのにIDが必要となり、出生証明書がなくて苦労する話を数年前までよく耳にした。
アパルトヘイトが終わり、国民の大多数を代表する黒人政権が誕生し、国民を平等に扱う制度が出来て16年。そろそろ制度が浸透し、IDがなくて苦労する話は昔話になってもよさそうなのに、お役所の無能のために人生をめちゃめちゃにされた例が後を絶たない。
例えば、パトリック・カニーレ君(22)。5年前にマトリック(高校卒業試験)を受ける。試験結果には自信があり、クワズルナタール大学でフィジオセラピーを専攻するのが夢だった。
ところが、教育省が成績を教えてくれない。カニーレ君と同じID番号の人がいるというのである。びっくりしたカニーレ君は、内務省にIDブックの再発行を求めた。マトリックの試験結果なしには、大学に入学申請ができないのだ。だが、内務省は一向にIDブックを発行してくれる気配がない。とうとう、政府の仕事ぶりに対する国民からの苦情を受けつける役所「Public Protector」に救いを求めた。その甲斐あって、やっと今年4月に正しいIDを入手。内務省はIDの発行になんと5年もかかったのである。
喜び勇んで教育省に駆けつけたカニーレ君には、新たな驚きが待っていた。マトリックの成績が見当たらないというのである。そして、教育省が提示した解決策に、カニーレ君は目を丸くした。その年の平均点をカニーレ君の点にするというのだ。たまったものではない。めちゃめちゃな論理である上に、全受験者の平均点では、望みの大学への進学は無理である。
想像してみて欲しい。センター試験の結果をもらうのに戸籍謄本が必要と言われる。提出したら「あなたと同じ戸籍の人がいるから駄目」。市役所が正しい戸籍謄本を発行するのに5年もかかる。更に、「センター試験の結果が見つからないから平均点を使え」と言われる。お役所仕事にイライラさせられることは日本でも多いだろうが、ここまでひどいと立派な人権侵害だろう。
人権侵害は、政府に批判的な国民を逮捕・拷問するといった、独裁政権による言論・行動規制ばかりではない。南アのPublic Protector、ツリシレ・マドンセラ氏曰く、「IDの発行に5年かかるのは、南アフリカの憲法でも、国際的な人権保護法に鑑みても、重大な人権侵害」。制度はあっても、それを実施するやる気と能力がなければどうしようもない。しかも、マドンセラ氏の役所では、調査員僅か90名で年間2万件の苦情に対応しなければならない。政府に提出した報告書や提言は、これまで全て無視されているという。
IDブックの番号が間違っていなければ、また正しいIDブックがすぐ発行されていれば、カニーレ君は既に大学を卒業し、フィジオセラピストとして活躍していることだろう。教育省がマトリック結果を見つけるか、クワズルナタール大学が特別に温情入学を許すかして、一日も早く進学できることを祈っている。
(参考資料:2010年7月18日付「The Sunday Independent」など)
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