2012/06/29

FIFA事務局長、南アフリカ国民に

FIFA(国際サッカー連盟)の事務局長、ジェローム・ヴァルケ(Jerome Valcke)が6月15日、南アフリカの国籍を取得した。

「へ~、ヴァルケって、南アに住んでたの?」と一瞬びっくりしたが、実はFIFAの本部があるスイスに在住。

じゃあ、どうして・・・?

南アフリカ内務省のホームページ及び内務省スポークスマン、ロニー・マモエパ(Ronnie Mamoepa)によると、国籍取得には以下の条件を満たさなければならない。

  • 少なくとも5年(南ア人と結婚している人は2年)、南アに住んでいる。
  •  公用言語のひとつが話せる。
  •  性格が立派で、南ア人としての責任をわきまえている。
  •  今後も南アに住むつもりである。
  •  雇用されているか、学生ビザを持ち、収入がある。または、南アに投資し、雇用を創出する。

ヴァルケは今年の初め、南ア女性と結婚したとされるものの、(性格や責任感については不明だが、その他の)条件は満たしていない。

しかも、内務省は永住権申請を処理する事務能力が低いため、条件を全て満たし且つ高いスキルを持つ外国人ですら、南アで永住権を取るのにものすごく時間がかかる。

当然のことながら、「ヴァルケは国籍取得の条件を満たしていないのみならず、順番を飛び越して、永住権どころか、いきなり国籍を与えられた」という批判が出て来た。

大体、フランス人が何故、南ア国籍を取りたいのだろうか。南アのパスポートでは、近隣諸国以外どこに行くにも査証が必要。不便なだけではないか。理由を勘ぐってしまう。

ヴァルケが南アの国籍取得申請をした理由は不明だが、南アがヴァルケに国籍を与えた理由は、「南アが2010年サッカーワールドカップを主催できるように尽力し、南アのサッカーの進歩に貢献したこと」(マモエパ談)。

そんなの、法律で決まっている条件にはないよな~。つまり、特例! ずるい~!

結局、権力とコネ(場合によっては金)さえあれば、国籍だって簡単に取れてしまうということか。

(参考資料:2012年6月29日「The Times」など)

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2012/06/24

車椅子でスピード違反!?!

ジョハネスバーグ在住のマリエット・ハネコム(Mariette Hanekom)さんの携帯電話に、市警察からメッセージが届いた。スピード違反の罰金500ランド(約5000円)の支払い催促だ。違反日は2009年3月21日という。

「スピード違反なんて、とんでもない!」とまず憤慨。一瞬置いて、車も運転免許証も持っていないことを思い出し、大笑い。

マリエットさんが「運転」するのは・・・。


そう、電動車椅子

膝を痛めて以来、歩くことも不自由なのだ。

近所に出歩くときは、この電動車椅子で歩道を走る。最高時速22キロ

とんだ笑い話だが、笑ってばかりもいられない。

マリエットさんがスピード違反の罰金を科せられたのは、誰かがマリエットさんの名前を騙(かた)って、自動車を登録したから、と警察では見ている。つまり、個人情報を盗まれてしまったのだ。

盗まれた個人情報が更に悪用されて、身分証明書とか、パスポートとか、クレジットカードなどが勝手に作られてしまう危険だってある。知らぬは本人ばかりなり。

(参考資料:2012年6月22日付『Northcliff Melville Times』)

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2012/06/14

女に生まれて嬉しい国、嬉しくない国 G20最新調査

女に生まれて一番ラッキーな国は、「カナダ」。

「社会でどんなに差別されても、夫と一緒にいるのが一番幸せ」という女性も中にはいるかもしれないが、これはジェンダー専門家370人を対象とした、G20のイメージ調査の結果だ。

カナダが1位を占めたのは、男女平等を促進する政策、医療ケアへのアクセス度、暴力や搾取に対する対策などで高成績を上げたため。

G20(ジートウェンティ)は、「Group of Twenty」の略。主要国首脳会議(G8)に参加する8か国、欧州連合、新興経済国11か国の計20か国・地域からなる。

具体的には、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、ロシア、トルコ、欧州連合、中国、日本、韓国、インド、サウジアラビア、インドネシア、オーストラリア、アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、そして南アフリカ共和国。

一人あたりのGDPは、一番少ない南アでも世界25位くらいだから、世界の金持ち国の集まりといってよいだろう。従って、この19か国(欧州連合は国でないので除く)で順位が低いと言っても、全世界レベルでみれば、それほどひどいと言えないかもしれない。

以上を含みおいて、結果をみると。。。

2012/06/08

逆境に負けない! 14歳で大学入学 ジンバブエ

ジンバブエ中部のクェクェ(Kwekwe)は首都ハラレ(Harare)、第2の都市ブラワヨ(Bulawayo)の、ほぼ中間に位置する鉱山の町。人口10万人弱。


この町で生まれたモード・チファンバ(Maud Chifamba)さんが、8月からハラレのジンバブエ大学(University of Zimbabwe)に通うこととなった。

モードさんはまだ14歳。それも、数々の困難を克服しての快挙だ。

2012/06/03

小学生の妊娠 急増

初等中等教育を管轄する「基礎教育省」(Department of Basic Education)では、毎年3月、公立と私立の学校に通う児童・生徒を対象として、アンケート調査を行っている。その「2009-2010年版」が最近公表され、ショキングな実態が明らかになった。

昨年度の調査では、2008年に妊娠した小学3年生が全国で17人もいた。小学3年生である。10歳にもなっていない少女がレイプされ、17人もが妊娠したのだ。それが翌2009年には、109人に急増していた!

2008年に妊娠した小学4年生は69人、2009年には107人に増加。5年生になると、その数は更に増え、2009年の場合、297人もが妊娠していた。

妊娠した生徒数が一番多いのは、7-9年生という。日本の中学1-3年生だ。

2009年、全国で4万5276人もの小中高校生が妊娠した。(そのうち、何人が出産したのだろうか。。。)

これらはアンケートに正直に答えた子供たちの数だから、実際に妊娠した女の子はもっと多いはず。更に、レイプされたものの、幸い妊娠しなかった少女の数を想像すると、空恐ろしい。

幼い子供をレイプした男たちの殆どは、捕まっていない。捕まらないのだから、悪いという気も起らないだろう。そんな大人が大手を振って町を歩く。それを見て育った少年たちが、同じような行動に走る。。。悪循環である。

この調査ではまた、100万人もの子供たちが、父親のいない家庭で育っていることが明らかになった。そして、父親がいない家庭では勿論、父親がいる家庭の多くも、何らかの社会福祉手当に頼って生活している。

年長の少女たちの中には、児童手当を受け取るために、あえて妊娠する者も多いという。

何らかの社会福祉手当を受給している児童・生徒の数は、2009年に281万3976人、翌年には311万688人。東ケープ州では2010年、全児童・生徒の37%もが社会福祉手当を受け取った。ムプマランガ州では32%だった。その額、僅か月260ランド(約2600円)。

社会福祉手当に依存する子供たちの教育を担う学校の多くは、基本的な設備・施設すら整っていない。

なにしろ、全国の小中高校のうち、54%しか電話番号を持っていないのだ。Eメールアドレスを持っている学校となると、僅か25%。リンポポ州ではなんと、3%。(因みに、南アで唯一野党「民主連合」(DA)が取り仕切る西ケープ州では、98%もの学校がEメールアドレスを持っている。)

そのため、多くの学校では、個人の携帯電話が主な通信手段となっているという。

政府にお金がない訳ではない。実際、中央政府は教育に大きな予算を充てている。しかし、公務員が概して無能なことから、学校に基本的な設備がなかったり、教科書や文房具が届かなかったりしているのだ。

公務員が無能なのは、教育がひどいために、読み書き計算、論理的思考が出来る程度の能力のある人が全般的に少ないこと、労働倫理が欠落傾向にあること、そして、縁故採用により、能力よりコネが重視されること、などのためである。

教師の質もひどすぎる。

一方で、政界財界を牛耳る一部の金持ちは、コネの力で益々豊かになっていく。彼らは金にモノを言わせて、授業料の高い一流私立学校へ、自分の子供たちを通わせる。だから、公立学校がどうなろうと、知ったことではないのである。

一体、どこから手をつけたら良いのか。お先真っ暗な、南アの教育事情である。

(参考資料:2012年5月31日付「The Times」など)

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