2014/01/05

強盗殺人犯、「セルフィー」をフェイスブックにアップ

「セルフィー」(selfie)という言葉は日本でも使われているんだろうか。

デジカメや携帯で撮った自分の写真のことだ。ツーショット、グループフォトでもよい。腕を伸ばして撮ったり、鏡の前で撮ったりして、そのまま、フェイスブックなどのソーシャルメディアにアップすることが多い。

2005年に使われた例があるが、大ブレークしたのは2012年。同年、『オックスフォード英語辞典』(Oxford English Dictionary)デジタル版に掲載。2013年には、『オックスフォード英語辞典』「ワード・オブ・ザ・イヤー」(the word of the year)に選ばれた。

最近では、ネルソン・マンデラ追悼式でのバラク・オバマ(Barak Obama)米大統領のセルフィーが有名。デンマークのヘレ・トーニング=シュミット(Helle Thorning-Schmidt)首相がスマートフォンでオバマ、ディヴィッド・キャメロン(David Cameron)英首相とのスリーショットを撮っているところを、たまたま居合わせた報道カメラマンが撮影し、ネットで爆発的に広まって、「追悼式という厳粛な場ではしゃぐとは不謹慎」と大いに非難された。


 (意図に反する大反響を生んでびっくりした当のカメラマン、ロベルト・シュミット(Roberto Schmidt)は、「追悼式というより、お祭りのような和やかな楽しい雰囲気だったから、このセルフィーは場違いではなかった」と説明している。この写真ではひとりそっぽを向いているミシェル夫人も、ちょっと前まで仲良く談笑していたとのこと。)

そのセルフィーのお蔭で、強盗殺人犯が捕まるかもしれない。

南アフリカ北西州ラステンバーグ(Rustenburg)に住むウェンツェル・スミット(Wentsel Smit)と妻のリネット(Lynette)は結婚して12年、やっと子供を授かった。ところが2012年のクリスマスイブのこと・・・。

夫婦は寝室でテレビのクリスマス番組を見ていた。赤ちゃんが泣き出したので、リネットさんは寝室を出て、哺乳瓶にミルクを用意し息子に飲ませた。その時、誰かに見られているような気がした。寝室に戻って夫に伝えたが、「家じゅうの鍵が閉まっているんだから、心配しないでいい」と言われた。

真夜中をちょっとすぎた頃、ふたりは物音で目が覚めた。見知らぬ男がふたり、ベッドの傍に立っていた。

男たちはいきなり発砲。ウェンツェルさんは肩と胸、リネットさんは胸を撃たれた。5匹の犬も射殺された。

強盗は全部で4人。盗んだのは携帯電話とノートパソコン。

リネットさんは夫の手を握り、「頑張って!」と声をかける。夫の腕から力が抜けた。生後2か月の息子を残し、ウェンツェルさんは死んでしまった。

数日後、リネットさんはウェンツェルさんのフェイスブックに書き込みがあることに気がつく。そこには、夫の命を奪った犯人の写真!



ウェンツェルさんのiPhoneは、撮った写真を自動的にフェイスブックにアップするよう設定してあったのだ。それを知らない犯人たちは、盗んだスマホを使ってセルフィーを楽しんでいたのである。

リネットさんはすぐ警察に通報。ところが、さすが無能な南ア警察。なにもしてくれない。

助けの手を差し伸べたのが、犯罪撲滅を目指す、インターネットをベースにした市民団体「eブロックウォッチ」(eBlockwatch)。4人の身元を特定するため、100人からなるグループを結成。テクノロジーを駆使して、とうとう、モザンビークにいる4人を探し出すことに成功した。

4人に関するありとあらゆる情報を集めたという、eブロックウォッチ。情報は全て警察に渡したという。いくら無能な南ア警察でも、ここまでお膳立てしてもらったら犯人を逮捕できるのではないか。でも、一抹の不安。。。

(参考資料:2014年1月2日付「The Star」など)

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