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2018/02/12

ジョーバーグにマリファナ喫茶誕生「420カフェ」

1971年のことだ。米カリフォルニア州の高校生5人が某日午後4時20分、サンラファエル高校のルイ・パスツール銅像前に集合した。マリファナ生産者が残したという地図を手がかりに、捨てられたと噂される大量の大麻を探そうというのだ。5人はこの計画を「420ルイ」(420 Louis)と名づけた。何度か探索を行ううちに、「420ルイ」は「420」に短縮された。

探し物は結局見つからなかったが、「420」(フォーツウェンティ)は「マリファナ」の隠語として若者の間に定着する。

そして、やはり「420」である4月20日は、世界中の反体制文化にとって、いつしか特別な日となった。集まってマリファナを謳歌し、一緒に喫って楽しむ日になったのだ。時刻はもちろん4時20分。集会の多くはマリファナ合法化を求める政治色を帯びるようになる。

ハウスメートやルームメートを求める広告で「420フレンドリー」とあれば、マリファナを喫っても構わないということ。また、「マリファナを持っている」または「喫いたい」と伝えたいときに「420」と言ったりする。

マリファナ喫茶「420カフェ」の外観(Times Live

ジョハネスバーグにマリファナ喫茶が誕生した。その名も「420カフェ」(420 Café)。

2015/02/12

国の惨め度と国民の幸せ度

人の幸せなんて、主観的なものだ。貧困にあえぎ、明日の食事されおぼつかない人は「お金さえあれば・・・」と切望するかもしれない。寄って来る人はすべて金目当てと思い込み、孤独をかみしめる超大金持ちは「お金さえなければ・・・」と嘆くかもしれない。肥満に悩む人は痩せることを夢見るかもしれないし、超痩せの男性は「もっと筋肉があれば」と鏡を見る度に溜息をつくかもしれない。

南アフリカは世界有数の惨めな国だという。アメリカのケイトー研究所(Cato Institute)が2015年1月に発表した、2014年度の「世界悲惨指標」(World Misery Index)で10位という不名誉なランキングを獲得した。

リストを作成したのはジョン・ホプキンス大学のスティーブ・ハンク(Steve Hanke)教授。「どの国も、低いインフレ率、低い失業率、低い貸出金利、そして1人当たりのGDPを増やすことを目指している」から、この4つを使って各国の惨め度を計算したという。

計算式は「(失業率)+(貸出利子) +(インフレ率)-(国民一人当たりの実質GDPの変動率)」。この4種類のデータを公表している国だけが対象になるため、2013年度は89か国、2014年度は108か国のランキングとなっている。

2014/06/29

勝者のいないストライキ 労働者、企業、経済に大打撃

労働組合AMCUによる、5か月にわたるプラチナ鉱山ストライキがやっと終わり、6月25日、7万人強の組合員が職場に戻った。企業側と合意に達した後で新たな要求を突きつけるという、交渉のルール違反っぽい行動もあった。


AMCU組合員(SABC

AMCUは意気揚々と勝利宣言。だが、勝ち得たのは要求していた最低賃金月1万2500ランド(12万5千円)ではなく、3年で約20%の賃上げ。

ストに参加した組合員は5か月間無給。ストを行っていなかったら支払われていた給料の合計は106億ランド(約1060億円)にも上る。故郷に仕送りしている出稼ぎ労働者が多いことから、南アフリカの東ケープ州や隣国のレソト、モザンビークに住む家族・親戚も生活に困った。

ストが行なわれた鉱山の半数は、その前から利益を出していなかったという。それに加えて、5か月のストによる総損失額240億ランド(約2400億円)。このストにより、南アフリカ経済は今年第1四半期マイナス成長となった。

ケープタウン大学のハルーン・ボラット(Haroon Bhorat)経済学教授は、大打撃を受けた鉱山が労働力を削減するのは恐らく避けられないとみている。つまり、AMCUの組合員は5か月無給の挙句、会社の営業不振により解雇される可能性があるのだ。踏んだり蹴ったりである。

2014/06/12

マリカナを考える 鉱山労働組合闘争の陰に政治権力争い

2012年8月16日、ジョハネスバーグの北西に位置するマリカナ(Marikana)鉱山で、ストライキ中の労働者に警察が発砲し、34人が死亡した。犠牲者の多くが、貧しい東ケープ州からの出稼ぎ労働者だった。

("Marikana: One year after the massacre")

より良い生活を求める民衆を国家権力が弾圧する姿は、アパルトヘイト時代の事件と重なり合った。パス法廃止を求め集まった無防備の国民に警察が発砲し69人が死亡した、1960年3月21日の「シャープヴィル虐殺」(Sharpville massacre)、アフリカーンス語による授業に反対する子供たちに警察が発砲した、1976年6月16日の「ソエト蜂起」(Soweto Uprising)、アパルトヘイト政権が樹立した黒人国家シスカイ(Ciskei)の国防軍が解放組織ANC(アフリカ民族会議)の支持者に発砲し28人が死亡した、1992年9月7日の「ビショー虐殺」(Bhisho massacre)・・・。

マリカナ鉱山は世界有数のプラチナ鉱山会社「ロムニン」(Lomnin)が所有している。「マリカナ虐殺」は、大資本家による労働者の搾取の象徴のようにも受け取られた。

だが、私はマリカナに関して、これまで何も書かなかった。なんだか釈然としなかったからだ。「国家権力」対「民衆」、「大資本家」対「労働者」、そして前者(国家権力、大資本家)が悪、後者(民衆、労働者)が善、という単純な構図では割り切れなかったからだ。

2014/03/28

南アビジネスマン3人がドバイの刑務所に 南ア政府のお墨付き投資話に騙される

フリーステート州のビジネスマン、アリ・モコエナ(Ali Mokoena)さんは「オラ・フロリカルチャー」(Ora Floriculture)という共同組合の代表者。生花輸出ビジネスに海外から投資家を募ろうと、2012年2月、南ア貿易産業省(Department of Trade and Industry)に依頼して、同省の海外事務所で情報を配布してもらった。3か月後、アミット・ランバ(Amit Lamba)というインド人から電話があった。「ドバイの南ア領事館で、投資家募集の案内を見た」「1億8000万ランド(約18億円)投資したい」という。

貿易産業省から、同省ドバイ事務所が調査を行うまで、ランバ氏とビジネス交渉を開始しないようアドバイスがあったので待ったところ、一週間後、同省から「ランバ氏は信用できる。交渉を開始しても良い」とEメールで通知。フリーステート州経済担当部長のオフィスが、州都ブルームフォンテインのホテルで、契約調印式をオーガナイズしてくれた。

モコエナさんによると、ランバ氏はブルームフォンテインやジョハネスバーグで他のビジネスマンにも会ったらしい。リンポポ州の投資貿易部とは、「了解覚書」(memoranda of understanding)に調印したという。この覚書があったことで、ランバ氏を信用したビジネスマンも数多くいた。

リンポポ州との覚書調印
ランバ氏は2012年10月、モコエナさんたちをドバイに招待した。交通費、経費はランバ氏持ちだ。

ところが、 ドバイに着いたら、様々な支払いを求められる。共同出資会社設立の費用、銀行口座開設費用、その銀行口座への入金・・・。そして、アラビア語で書かれた「出資合意書」にサインすることを求められ、サインしたら・・・。

ドバイ当局に逮捕されてしまった!


サインしたのは「出資合意書」ではなく、ランバ氏に大きな借金があることを認める文書だったのだ。

2014/01/14

頭脳逆流! 出戻り南ア人、増加傾向

ここ数年、南アフリカの頭脳流出が止まっている。それどころか、「逆流」しているらしい。

アドコープ(Adcorp)社が1月13日に発表した最新調査によると、高スキルを持つ南アフリカ人が2008年以来、35万9000万人も戻ってきたという。その37%が弁護士、医師、エンジニア、会計士などの専門職。といっても、一斉にホームシックに罹ってしまったわけではなく、純粋な経済的理由。

2004年から2008年にかけての世界的な好況期、南アフリカ人、特に白人がどんどん海外に移った。白人バッシングが強烈だったターボ・ムベキ(Thabo Mbeki)大統領のころだ。「犯罪が深刻な南アフリカで子供を育てたくない」「子供が大きくなっても、白人は良い職につけない」などの不安が高まる中、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどの英語圏先進国から多くの求職があった。南アよりずっと給料が良い。このチャンスを見逃せようか。スキルのある黒人も、南アを去った。教師や看護婦が不足しているイギリスなどに、大量に引き抜かれてしまったのである。

2013/11/11

まだまだ捨てたもんじゃないヴィッツ大学。各種世界ランキングに食い込む


かつて南アフリカの最高学府だった「ヴィットヴァータースランド大学」(University of the Witwatersrand)、通称「ヴィッツ」(Wits)。

アパルトヘイト時代はリベラルな学生が集まり、アパルトヘイト政権に反対したデモが繰り広げられ、警察の手入れが日常的だった時期もある。反アパルトヘイト運動に身を投じた在学生、卒業生も多かった。(安保反対で揺れた東大の拡大版みたいなものか。)一方で、経済界のエリートも多数生み出した。

ところが、アパルトヘイト後、どうも冴えないのである。昔からヴィッツと何かと比較され、東大に対する京大の観があったケープタウン大学は、花形学長を次々にゲットし、美しい土地の利も大いに利用し、「反アパのリベラル大学ナンバーツー」から、自他とも認める「南ア一の大学」として見事に生まれ変わった。

一方のヴィッツは、昔のプライドが邪魔をして世の中の動きについて行けなかったのか、冴えない学長が続出したためか、イメージダウンの一途を辿った。ジョハネスバーグという町のイメージも悪すぎる。優秀な学生がケープタウンに行きたいと思っても仕方ない。ヴィッツの卒業生としては、目に余る凋落ぶりが寂しい限りだ。

2012/02/15

マンデラ紙幣発行で通貨と株価が下落!?!

南アフリカのジェイコブ・ズマ(Jacob Zuma)大統領がマンデラ紙幣の発行を発表。その影響で、ドルに対するランドの価値が2.6%、ジョハネスバーグ株式市場の全株指標が1.1%、トップ40が1.27%下がったという。

といっても、ネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)が紙幣の顔になるから下がったわけでは当然ない。

発表のやり方が問題だった。

「明日、大統領による記者会見がある」と発表があったのは、2月10日の金曜日。つまり、記者会見の日は土曜日なので市場が閉まっている。土曜日の記者会見の如何によって、月曜日に損失が出ることをなるべく避けたいから、金曜のうちに出来るだけの手を打っておきたいというのは人情。

ところが、「紙幣の顔がマンデラになりま~す」という金融政策にも国家財政にも関係ないお知らせなのに、それを告げなかった。それどころか、大統領、ジル・マーカス(Gill Marcus)準備銀行総裁、プラヴィン・ゴーダン(Pravin Gordhan)蔵相という、超大物3者による「国家的重要事項」(a matter of national importance)の発表と予告したのだ。

「国家的重要事項」の発表、それも金融取引が行われない日に・・・。これは市場にネガティブな影響を与える政策発表に違いない・・・。

2012/01/21

働きたがらない国民性? 労働市場が抱える問題点

南アフリカは失業率が高い。公式発表で約25%、実際は40%と言われる。そのため、雇用拡大が政府にとって大きな課題だ。

しかし、「何でもいいから仕事を作れば良い」というものでもない。高校進学率が97%、国民のほぼ全員が読み書き算数できる日本とは事情が違う。20歳以上の国民のうち、高校卒業以上の教育程度を有するのは白人65%、インド系40%、カラード17%、黒人は僅か14%。

とすると、手っ取り早いのは、公共投資で肉体労働者を増やす?

ところが、誰でも出来る職をいくら増やしても、雇用拡大につながらるとは限らない。

アドコープ(Adcorp)社の分析によると、働きたくない人間が沢山いるのである。

2011/01/26

金貨自動販売機 犯罪大国南アで生き残れるか

犯罪大国として悪名高い南アフリカに、金貨の自動販売機を設置しようと目論む男がいる。ドイツ人のトマス・ガイスラー(Thomas Geissler)氏。

既に、ドイツ、イタリア、スペイン、UAE、アメリカなどに計18台設置済み。世界で一番高い建物(ドバイのBurj Khalifa)の1階と125階に、昨日1台ずつ設置したばかり。観光客が集まるケープタウンのウォーターフロントには、今年中に設置したいという。

このATM、その名も「ゴールド・ツー・ゴー」(Gold To Go)。ファーストフードレストランで注文する際、レストラン内で食べるのを「ツー・ステイ」(to stay)、お持ち帰りを「ツー・ゴー」(to go)というから、「ゴールド・ツー・ゴー」は金貨のテークアウト、お持ち帰り、といった御茶目なニュアンス。

数種類の金貨から、お好みのものを選ぶ。支払いは、現金またはクレジットカード。お値段は、10分毎に更新される金のスポット価格に基づく。

南アでのチャレンジは、いわずと知れた犯罪の多さ。警察の統計によると、犯罪の増加は頭打ちという。だが、ATMの襲撃は急増している。2010年には前年比35%増。この数字は、通りがかった親切な人のふりをしたり、ATMに細工をしたりして、カードや暗証番号を盗むヤワな犯罪者は含んでいない。文字通り、機械自体の「襲撃」数。例えば、昨日、センチュリオン(プレトリア近郊の町)でアブサ銀行のATMが爆破された。

南ア最大の金貨取扱商South African Gold Coin Exchangeのアラン・デンビー(Alan Demby)会長は、金貨ATMの問題を指摘する。紙幣なら前もって印をつけておくことができるが、金貨は溶かして売りさばけるので、一旦盗まれたら打つ手がないというのだ。

もしケープタウンに設置が実現したら、金貨のお持ち帰りを享受するのは果たして消費者か、それとも犯罪者か。

(参考資料:2011年1月26日付「Business Day」など)

2011/01/25

納税者数が73%も増加 それでも就業人口の半数以下

南アフリカ国税庁(South African Revenue Service: SARS)が昨日発表したところによると、2009/10年度に所得税を払った個人は590万人。2002/03年度の340万人から73%も増加した。

これは大変喜ばしい。というのは、南アフリカでは全国で1200万人、つまり人口の約4分の1もが、なんらかの福祉手当を受給しているからだ。ちゃんと税金を払っている人が増加すれば、福祉手当を受け取る人数の減少と福祉手当を払う財源の増加につながる。

SARSでは大幅増加の理由を次の4点にあるとする。(1)経済成長、(2)フォーマルセクター就業者の増加、(3)SARSの徴税拡大努力。そして、(4)税金を払う人が元々少な過ぎたこと。

フォーマルセクター就業者というのは、法人税を払っている企業などに勤めている人。源泉徴収があるから、所得税を払わないわけにはいかない。一方、インフォーマルセクターというのは、路上で物を売っている人、家政婦、個人の乗合タクシー営業者など、会社形態をとらない自営業やその従業員などで、法人税も所得税も払っていない。本人が申請しない限り、SARSには実態がつかみづらい。

所得税を払っていない人の銀行口座に多額の入金があればシッポをつかむことが可能だが、現金商売が殆どだし、また、銀行口座を持っていない人も多い。持っていても、入金額が少ない口座をいちいち調べるのは、そこから得られるかもしれない僅かな税収を考えると、SARSにとって労力の無駄。

そこで、SARSでは数年にわたり、大々的なキャンペーンを実施。期限までに納税者申告をすれば、それまで払わなかった税金をすべてチャラにするというもの。73%という納税者大幅増加は、このキャンペーンの成果が大きい。

統計局(Statistics South Africa)によると、15-64歳の人口3135万人から、学生や主婦や働く意欲のない人を除いた労働人口は1711万人。そのうち、就業人口は1280万人。内訳は、農業を除いたフォーマルセクター897万人、インフォーマルセクター201万人、農業65万人、メード・庭師など個人の家庭に雇われている人が117万人。失業者は431万人。失業率25.2%。

2009/10年度の所得税は総額20億7000万ランド。歳入の35%にあたる。2008/09年は31%だった。

歳入の第2位はVATの25%。Value Added Tax(付加価値税)の略で、日本の消費税に当たる。率は商品価格の14%。食料品にはかからないが、サービスには課せられる。因みに、法人税は23%で第3位だった。

2009/10年度の場合、課税所得が5万4200ランド(約65万円)以上ある個人は所得税を払う義務があった。しかし、SARSの税金恩赦キャンペーンにもかかわらず、納税者申告をしていない自営業者がまだ数百万人いると見られている。

(参考資料:2011年1月25日付「Business Day」など)

2011/01/05

お土産に100兆ドル札はいかが? ジンバブエ

100兆ドル札。1のあとにゼロが14ついたお札だ。全世界の人間に1000ドルずつ配っても、まだおつりが来る額である。このお札が最近、観光客のお土産として人気があるという。

ドルと言っても米ドルではなく、ジンバブエのお話。ムガベ大統領の悪政がたたって、経済が崩壊していた頃の名残り。とにかくものすごいインフレで、新しい紙幣を刷っても刷っても追いつかなかったのである。

初めてジンバブエを訪問したのは1993年。車で2週間国中をまわったが、どこに行っても活気があり良い国だった。国民の教育レベルが高く、南アフリカの通貨1ランドが1.5ジンバブエドル程度だった。

2001年に行った時は通貨の闇市場が出来ていた。政府の定める為替レートが現実を反映していないためだ。1ランドが50~60ドル。その直前に「外国人の身の安全は保証しない」と大統領自ら公言していた。

2004年には国内でガソリンが入手できないということで、南アからガソリンを積んで出かけた。1ランドが1200~1300ドル。インフレが急速に進み、刷りかけの50ドル札が2万ドル札として転用されていた。隅に「50」と印刷してある紙の上に「20000」を印刷したものだ。かつて紙幣を飾った動物も風景もなくがっかりしていたら、表の真ん中になんと!

「2004年12月31日まで有効」

の文字。生まれて初めて、有効期限付きの紙幣を手にした。発効日は2003年12月1日。

経済が完全に破綻し、南アに難民がなだれ込んだ2008年。世界最高を誇るインフレ率は数十億%。毎時間のように物価が上昇する。7億ドルで買えるのはパン一斤。商店の棚はからっぽ。ジンバブエ国民は「世界で最も貧しい億万長者」と自嘲した。

ジョハネスバーグの難民キャンプで出会った女性は、「大統領は国民にとって父親のようなもの。私たちのお父さんは子供のことを気にかけてくれない」と嘆いた。

発行された最高額の紙幣は「100禾予」(のぎへんに予。「ジョ」)。つまり、
100,000,000,000,000,000,000,000,000。
10の25乗。ゼロが26個。

その後、ゼロをいくつか取り去って通貨の切り下げをおこなったが、焼け石に水。ついにムガベ大統領は反対勢力の弾圧を緩め、野党との連立政権に踏み切る。

経済が安定し、活気が蘇りつつあるジンバブエ。観光客も戻って来た。そこで人気が出てきたのが冒頭のお札である。100兆ドル紙幣の相場は5ドルとのこと。余りの人気に、残り少なくなっているらしい。入手したい方はお早めに。

説経済が安定していた時代の20ドル札(表)

裏にはゾウとビクトリアの滝の図柄

有効期限付きの2万ドル札(表) 右下に50の文字


殺風景な裏側
(参考資料:2011年1月3日付「Mail & Guardian Online」など。写真は筆者による)

2010/09/21

大統領と食事 お値段は600万円

権力のあるところに金は集まるもの。元解放運動組織のANC(アフリカ民族会議)も例外ではない。アパルトヘイト下で虐げられていた貧しい黒人のチャンピオンだったはずなのに、政権を取ってからはしっかり財界と癒着している。

現在ダーバンで開催中の与党ANCの党大会。開幕前日の夕食会には、利権のおこぼれを狙って、ビジネスマンが群がった。

選挙で他党を圧倒するANCは、中央政府を完全掌握しているだけではない。9つの州のうち、8つまでを掌中に収める。中央政府各省の大臣、副大臣は勿論ANCからだが、次官クラスにも党員が多い。政治家や官僚と親しくなって、入札などで便宜をはかってもらおうとする企業家にとって、ANCの有力党員が一堂に集まる党大会は、絶好のチャンスである。政治家側も多額の袖の下を期待する。

ANCは「これを党の資金集めに活用しないはずはない」と席に値段をつけた。大統領と同じテーブルに座る代金は、なんと50万ランド(600万円)。閣僚クラスで、10万ランド(120万円)以上。見返りの大きさを考えると高くはないという。

ズマ大統領と同席したひとりは、パトリス・モツェペ。1962年1月28日生まれの48歳。鉱業界の大物。総資産が100億ランド(1200億円)を超えると推定されている(2009年)。「フォーブス」誌の金持ちランキングでは、世界で503番目(2008年)。10年前には既に、南アで屈指の超大金持ちとしてマスコミを賑わしていた。

モツェペ自身の能力や才覚もさることながら、短期間にここまでのし上がった陰には強力なコネの力がある。姉ツェピソの夫は、シリル・ラマポザ。マンデラを次いで大統領になるとまで言われたANCの有力者で、その後財界へ移った大富豪。もうひとりの姉ブリジットは、やはりANCの重鎮のジェフ・ハデベ現法相と結婚している。

ターボ・ムベキ元大統領の弟で政治学者のモエレツィ・ムベキは、黒人がコネでのし上がる現状を「縁故資本主義」(crony capitalism)と呼び、競争を阻害するシステムと批判的だが、モエレツィがビジネスマンとしても成功したのは、失脚前の兄が政界の大物だったオカゲが大きいから、偉そうなことも言えない。

一方、ズマ大統領は小学校にも行っておらず、解放運動に身を投じ、政治家になるまでは働いて給料をもらった経験がない。経済観念が欠如しており、賄賂や縁故に甘いと見られている。

モツェペとズマが仲良く座ったテーブルは、失業率25%、黒人労働者の年平均所得が約1万2000ランド(14万4000円)、貧富の差の拡大が懸念される南アで、なにやら象徴的である。

(参考資料:2010年9月20日付「The Times」など)

2010/09/02

暴動を起こそう!

3週目に突入した全国公務員スト。とうとう政府が折れて、7.5%の賃上げと月800ランドの住宅手当を提示。組合の要求はそれぞれ8.6%と1000ランド。これまでの政府のオファーは、7%と700ランド。ここでお互いに折れるのが妥当・・・という論理・心情は、南アフリカの労働組合には通じないらしい。なんと、オファーを蹴ってしまった。それどころか、今日、ヨハネスブルグ市内で組合員がデモ。

警察や刑務所の看守はまだストに参加していないものの、サッカーワールドカップで1ヶ月休校し、それでなくてもカリキュラムをこなすのが遅れている公立学校は、教師のストで休みのまま。公立病院も、看護婦などの職員ストが続いている。

それに加え、昨日からガソリンスタンドの従業員がスト。南アフリカでは、都市でも公共の交通機関が発達していないため、通勤や子供の送り迎えなどにマイカーを使う人が多い。ガソリンスタンドはセルフサービスではないから、従業員ストはいい迷惑だ。

隣国モザンビークの首都マプトでは、住民の暴動が始まった。光熱費と物価の上昇に対する住民の不満が爆発したもの。電気代13.4%、水道代11.7%、パンの価格25%の値上げを政府が発表したことが引き金になった。暴動の初日は死者6名、負傷者27名、逮捕者142名が確認されている。

マプトの空港が閉鎖されたことで、南アフリカとマプトの間の飛行機が全てキャンセル。数百人の南ア人がモザンビークから出国できない事態になった。

「困ったものだ」と思いながら、ヨハネスブルグ市から来た光熱費・固定資産税の8月分請求書を開けてびっくり。これまでは電気代、上下水道代、ゴミ回収代、固定資産税をあわせて月1000ランド(約1万2千円)弱。それでも高いと思っていたら、先月の請求書では一挙に2500ランドに。しばし呆然としながらも、黙って支払った。それがなんと、今回は3600ランドというのである! 4万3000円。いくら市の財政が苦しいとはいっても、行政の不手際を棚に挙げて、全てを住民に押しつけるのはアンマリではないか。これから毎月、どうやって払っていったらよいものやら、目の前が真っ暗になった。

私も暴動を起こしたい。

2010/08/27

史上最悪の公務員スト

8月18日、史上最悪と言われる公務員ストが南アフリカ全国で始まった。参加者130万人と言われる。

小中高の教師30万人以上が授業をボイコット。組合に入っていなかったり、入っていても子供のために授業を続ける同僚をののしり、授業を妨害する。南アフリカの学校年度は、1月から12月まで。そろそろ年度末試験が近づいている。特にマトリック(高校卒業試験)を目前にした生徒には、迷惑もいいところである。元々、教師の質の悪さが問題となっているところに、アパルトヘイト後取り入れられた教育システムにより、読み書きの出来ない高校生が続出している現状だ。

更に、困るのは医療従事者のスト。さすがに医師で参加する者は殆どいないものの、清掃夫や調理師から看護婦まで、医療現場で働く、あらゆる職種の人々が職場を放棄。ソエトのバラグワナ病院のノエル・ハウザー医師は、「医者は出てきているけど、看護婦をはじめとするサポートスタッフがいないと、どうしようもないんだ」と顔を曇らせる。未熟児に食事が与えられず、重病患者を世話する人もいない。

スト参加者は職場放棄にとどまらない。細々と行われている治療の邪魔をする。手術室に乱入し手術を妨害したり、廊下にゴミをまき散らかしたり、病院の前に陣取って救急車を中に入れなかったり、とても医療に関わる人間とは思えない。患者が死んでいっても、知らん顔だ。

スト2週間目に入り、全国の病院にボランティアが集まり始めた。清掃や食事の世話やベッドの移動など、特別な資格を必要としない雑務を行うためである。8月23日には、7州の37病院に軍隊が出動。医師やボランティアや患者の警護にあたっている。

アンシア・ヒーンさんは、バラグワナ病院の検査技師。20代前半のか細い女性だが、ラボにストライカーが乱入し、乱暴に肩をつかまれ、「お前、何故働いてるんだ。出て行け!」と脅された。軍隊のヘリコプターで病院への出入りを行った。「怖かった」と思い出して身震いする。

南アフリカで労働者のストは日常茶飯事。今年に入ってからも、5月に鉄道港湾を管理するトランスネットの職員が3週間にわたってスト。経済に与えた損害は73億ドルと言われる。組合は11%の賃上げを勝ち取った。

6月には、官営電力会社エスコムの職員が9%の賃上げと月1500ランドの住宅手当を求めてスト。サッカーワールドカップ開催を見越しての脅迫まがいの行為だった。8月には自動車業界がスト。2010年に10%、翌年と翌々年に9%ずつの賃上げで労使が合意に達した。

今回の公務員ストで組合が求めているのは、8.6%の賃上げ(インフレ率の2倍以上)と月1000ランドの住宅手当。国の提示は賃上げ7%と住宅手当700ランド。90%の職員には更に1.5%の賃上げを提示。「組合との要求との差は、0.1%しかない」と国は主張するが、組合は応じない。経済に与える損害は、1日10億ランド(120億円)と概算されている。

自分は一生懸命働いても賃金が低く生活が苦しいのに、政治家や政府高官や企業の幹部は豪勢な生活を送り、ゼロを数えるのが難しいほどの高い給料を貰っている。頭にくるのもわかる。しかし、看護婦や教師といった、人命や国の将来にかかわる重要な職業についている人たちが、僅かな昇給額にしがみついて、仕事の本質をおろそかにするのにはどんなものか。それも、失業率が3割とも4割ともいわれる中でのことである。

労使の話し合いに決着がつかず、ストが長期化しそうな気配の中、組合は全国の警官14万5000人と刑務所の看守をストに参加させる、と強気の構えだ。

(参考資料:2010年8月23日付「The Star」、8月24日付「The Times」、8月26日付「The Star」など)

2010/06/06

過熱するW杯商戦

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サッカーワールドカップ(W杯)開幕を目前にして、南アフリカではW杯商戦が熱く繰り広げられている。
 
世界不況の影響をモロに受けていたジュエリー業界は、W杯景気にホクホク顔。総重量900カ ラットのダイヤをちりばめた実物大サッカーボールには、既にヨーロッパのサッカーチームから購入のオファーがあるという。お値段は2000万ランド(約2億6千万円)。そこまでは手が出ないファンのために、1個8000ランド(10万4千円)のクリスタル製もある。 南アの国旗が刻まれた6角形の時計も人気アイテム。24カ ラットゴールド製が、195千ランド(253万円)。

「バファナバファナ」という名前のワインを見つけた。ナショナルチームの名前を勝手に使っていいの?とラベルを吟味したところ、しっかり南 アサッカー協会のロゴがついていた。さすが、商魂たくましい。    

W杯景気にあやかりたいのは、大企業も同じこと。オフィシャルスポンサーでなくても、Fifaの 機嫌を損ねない範囲で、なんとかサッカー熱を商売に利用しようと躍起だ。

携帯電話業界のオフィシャルスポンサーはMTN。ライバルのVodacomは、ファンがバファナバファナに携帯メッセージを送る「Join the Voice」キャンペーンを実施中。目標は1000万メッセージ。成功の暁には、ギネスブックに申請する予定。クリエイティブなメッセージには、一等の賞金100万ランドをはじめ、数々の豪華賞品が用意されている。ノーベル平和賞受賞の3人組、マンデラ元大統領、ツツ元大司教、FWデクラーク元大統領も既に激励メッセージを送ったとか。
 
ファーストフード業界とビール業界のオフィシャルスポンサー、マクドナルドとバドワイザーがファンパークに出店しないことを受けて、南ア企業のナンドーズとSABが名乗りを上げた。Fifaの条件は、ブランド名を出さないこと。それでも、800万から1000万本のビールが余分に売れるとSABでは見込んでいる。   

「ワールドカップ」という言葉も疑似ブランドも使わなかったのに、Fifaの怒りを買ってしまった企業もある。

 ケープタウンのグラント・アブラハムズ氏は2004年、キーリングのデザインを通産省に登録した。2010という数字、ブブゼラの絵、南アの国旗がついたものだ。最近、商標・知的所有権侵害を理由にFifaに訴えられたアブラハムズ氏、「いじめっ子の巨人」相手に戦い抜くと鼻息荒い。

格安航空会社kulula.comといえば、オチャラケたコマーシャルで有名。その広告「Unofficial National Carrier of the 'You-Know-What'」も、Fifaの逆鱗に触れた。「『例のアレ』のオフィシャルじゃない航空会社」とやったわけだが、「例のアレ」がW杯を指すというのである。それだけではない。ケープタウンのスタジアム、サッカーボール、ブブゼラ、南アの国旗などの図柄や「南アフリカ」という言葉も使うなという脅しまでかけてきたのだ。
  
W杯を連想させる可能性のあるもの全てを知的所有権の対象としてしまう横暴さとユーモアのセンスのなさに、Fifaの株が下がる結果となったばかりか、Fifaの圧力で取りやめになった広告はインターネットで広まり、却って宣伝効果が高まった。 
 
優勝チームが決まる711日まで、W杯とFifaを巡るこもごもの悲喜劇に、南アフリカ中が振り回されそうである。

2010/05/25

W杯グッズでお祭り気分

ワールドカップ開幕まであと2週間ちょっと。バファナバファナが弱いせいか、今ひとつ盛り上がりに欠けていたヨハネスブルグでも、やっとお祭りムードが高まって来た。

土産物店、スーパー、スポーツショップなどで、ワールドカップグッズのオンパレード。各チームのユニフォーム、各国の国旗、サッカーボール型灰皿、ザクミ人形、マグカップ・・・。



日本チームサポーター用のリストバンドを見つけた。



路上行商人にとっても、かつてない稼ぎ時。普段は赤信号で止まった車相手に、ハンガー、身分証明書入れ、自家用車用携帯電話チャージャー、サングラス、靴下、果物などを売っている人たちが、賑やかな色の国旗を腕一杯に抱えている。一番人気はなんといっても、南アフリカ。ポルトガル、ドイツ、ブラジル、イタリア、ナイジェリアの旗も人気があるとか。


なかでも良く売れているのが、車につけるタイプ。クリップで窓に挟むもの、アンテナにつけるもの、サイドミラーにかぶせるミトン型などがある。お値段も20ランド(約260円)とお手頃。



マイカーだけではない。マイホームでも、南アの国旗を掲げる人が増えた。国旗を手にする人々の笑顔は、心なしかいつもよりちょっぴり誇らしげに見える。犯罪、失業、エイズ、汚職など、山積みする問題を一時忘れてお祭り気分に浸るのも、たまにはいいかもしれない。

2010/05/21

200ランドの偽札にご注意

「200ランド紙幣はお断りします。」 最近そんな張り紙を店で見かけるようになった。偽札が多いせいだという。

1994年、南ア紙幣の顔が変わった。アフリカーナーにとっての「建国の父」で17世紀のオランダ人、ヤン・ファンリーベックから、アフリカらしい「ビッグ5」になったのだ。「ビッグ」といっても大きさではなく、「射止めるのが難しい5動物」を指すハンター用語が語源。10ランドがサイ、20ランドがゾウ、50ランドがライオン、100ランドがバッファロー、200ランドがヒョウである。

2005年、準備銀行はセキュリティを強化した新紙幣を発行。比べてみると確かに違う。しかし、色とモチーフは1994年版と同じだし、両方とも正式の紙幣だから、普通の人はいちいちそこまで気をつけない。

100ランド、200ランドの偽札は以前から問題視されていた。それがこのところ、200ランド偽造紙幣が以前にも増して大量流通。W杯期間中の混乱が心配されるようになった。

そこで準備銀行は、1994年から2005年に発行された古いシリーズの200ランドの回収を決定。531日までなら、どこの銀行でも新しいシリーズに交換してくれる。61日以降は、準備銀行まで持って行かなければならない。準備銀行が遠い田舎では不評だ。混乱が収まるまで取りあえず、新しいのも古いのも、200ランド紙幣は受けつけない小売店が増えている。

日本でランドを用意してW杯観戦に臨む予定の皆さん、200ランド紙幣は持って来ない方がいいですよ。色々面倒です。

 (本物の見分け方を指南する準備銀行のポスター)