2014/07/28

「ブラック・イズ・ビューティフル」に囚われる必要はない ナイジェリアの女性ジャーナリスト

ケニアのモデルで社交界の花、ヴェラ・シディカ(Vela Sidika)が先月、「大金を注ぎ込んで肌を漂白した」と認めた時、サハラ以南アフリカのソーシャルメディアで大論争が起こった。その多くは批判という。

ヴェラ・シディカがインスタグラムにアップした写真。漂泊の前と後。(blAck americaweb.com

これに対し、ナイジェリア人のジャーナリスト、写真家、弁護士であるセデ・アロンゲ(Sede Alonge)が英『デイリー・テレグラフ』紙に反論を投稿した。もっともな意見だと思うので、以下、要旨を紹介する。

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私が住むナイジェリアでは、何百万人もの女性たちがコウジ酸配合の石鹸や、ヒドロキノン (hydroquinone) によりメラニン色素形成を抑えて白く見せる「フェードクリーム」(fade cream)や、ヤギの乳配合のシャワージェルなど、美白効果があるといわれる製品をこぞって使っている。中には、肌に直接、漂白効果のある薬品を注射する者もいる。

ところが、シディカが「私は自分の外見に誇りを持っている。アフリカ社会は偽善的」と正直に述べたところ、自分が属する人種に対する裏切りとか、白人コンプレックスの表れだとか、大きな非難を浴びてしまった。

WHO(世界保健機関)によると、ナイジェリア女性の77%が美白製品を使っているという。そんな女性たちを批判するのはマスコミだが、論者の殆どは男性。そして、ナイジェリアの男性が「先日、美人に会ったよ。スタイルが良い上に色が白いんだ」などど口にするのはよくあること。つまり、男性は肌の白い女性を好む傾向にあるのに、女性が肌を白くする製品を使うと非難するのだ。男が女性の肌の色を気にしなければ、美白化粧品がこれほど売れることはないはずである。

「ブラック・イズ・ビューティフル」(Black is beautiful)というのは正しい。しかし、ホワイトだって、ブラウンだって、イエローだって、どんな肌の色だって美しい。

セデ・アロンゲ(The Guardian
白人が日焼けローションや紫外線放射ベッドなどを使って肌の色を黒くしても、他の白人から「ホワイト・イズ・ビューティフル」とたしなめられることはない。それどころ、そんなことを言えば、他の人種の人々から「人種差別的」と非難されるだろう。

アフリカの女性が肌を白くみせようとすることは、自己否定でもなければ、コンプレックスの表れでもない。肌を白くすることで美しく見えるとその女性が思っており、肌を白くすることで自信が増すなら、社会はそれを認めるべきだし、その女性が持つ美の概念が良いとか悪いとか決めつけるべきではない。

かつては「ブラック・イズ・ビューティフル」というスローガンが必要な時代があった。しかし、2014年の今、黒人としてのアイデンティティや自信を持つために、そんな言葉は必要ではない。アフリカの人々はアイデンティティの問題に関して過剰に敏感になるのを止める時期に来ている。

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確かに、肌の色を白くしようが黒くしようが、社会に迷惑をかけているわけではないし、個人の自由だと思う。ただ、強い漂白作用を求めるあまり、健康に危害を及ぼす製品を使うのは問題だろうが。いや、それも個人の自由かもしれない。
(参考資料:2014年7月18日付「The Daily Telegraph」"Not all African women believe 'black is beautiful'. And that’s OK")

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