2017/09/26

サイの角の密輸最新トレンド ブレスレッドなどに加工

野生動物取引をモニターする世界的NGO「TRAFFIC」が今月、"PENDANTS, POWDER AND PATHWAYS:A rapid assessment of smuggling routes and techniques used in the illicit trade in African rhino horn"(ペンダント、粉、経路 ~アフリカサイの角の違法取引に使われる密輸経路と手口に関する概説)という報告書を発表した。



サイの角の密輸形態に変化があるという。

サイの角は国際取引が禁止されているから、産出国のアフリカ諸国から消費国のアジア諸国に送るには密輸しかない。これまでは、角の形のまま、うまく隠して送るのが一般だ。

サイの角 密輸経路 2016年‐2017年6月に把握されたもの(TRAFFICの報告書から)

しかし、サイの角はデカい。隠すのはなかなか大変である。

昨年マレーシアで押収され、記者会見の席に展示されたサイの角(The Citizen

これは電気コイルの中に隠した例。チェコの捜査官が見つけた。

TRAFFICの報告書から)

詰めやすいよう角を輪切りにし、いくつかのフライトに分けて持ち込んだ例もある。これは2015年7月26日と27日、モザンビークからの便で送られれ、香港で見つかり押収されたもの。2本の角をそれぞれ5つに輪切りしている。

2017/09/21

これは役立つ! 間違いやすい英語の言い回し

20年以上昔の話だが、ニューヨークの某語学学校で日本語と英語を教えていたことがあった。英語を日本人に、日本語をアメリカ人その他に教えていたのだ。

学校の事務員のキムさんは、日本語が流暢な韓国人。とてもいい人なのに、時々、心がグサッとくるような発言をする。「そんなこと、言う人じゃないのに・・・」と注意してみると、原因はちょっとした日本語の言い回しにあった。ほんの小さな言い回しのせいで、とても非人情に聞こえるのだ。勿論、本人は気がついていない。ネイティブ並みの流暢さのために、聞いている日本人も、まさか言い回しを間違っているとは気がつかない。知らないうちに、すごい損をしている。

アメリカの大学の英語教授法修士課程で、第2外国語習得のセオリーと、教え方のテクニックや実技を随分勉強したが、その時、外国語を話す上で、「正確さ」(accuracy)、「流暢さ」(fluency)、「適切さ」(appropriacy)の3つが大切であることを教わった。

実習で中級のクラスを教えた時、出身国の文化や伝統が会話能力に大きく影響していることに気がついた。日本人やタイ人の学生は、元々、授業で積極的に話すことに慣れていない。その上、文法的に正確な英語を話そうとするあまり、恐れて口を開かず、口を開いても小さい声でボソボソ。一方、コミュニケーションに長ける中南米の学生は、手振り身振り入りで、立て板に水のように流暢に話しまくるが、文法はめちゃめちゃ。うまくコントロールしないと、授業はラテンアメリカンに乗っ取られてしまう。

時間をかけて勉強すれば「正確さ」は身に付く。間違いを恐れずに場をこなせば、「流暢さ」は身に付く。体で覚えるしかないのが、「適切さ」である。状況に合った表現を使い、「文法的には正しいけど、普通、そうは言わない」という事態やとんでもない誤解を避けるためには、英語を沢山聞いて、沢山読んで、フィーリングを掴むしかないのである。

それでも、日本にいながら英語を体で覚えるのは至難の業。なにか良い教材はないかなと思っていたら、「Business Insider」に素晴らしい記事があった。日本人が間違って使いやすい、文法的には正しいが言いたいこととはかけ離れた英語表現を分析し、それではどう言うば良いのかが説明してある。

2017/09/17

どうやって消せばいいの? フォトショップの助けを求めたらミームの嵐

「親友のお姉さんが婚約直後に撮った写真を永久保存したがってるんだけど、後ろの男が邪魔。どうやってフォトショップで削除したらいいのかわからない! 誰か助けて!」

・・・というようなメッセージをソーシャルネットワークサイト「Rising Tide Society」に載せたアシュリーさん。



ミーム(Meme)がこれほど流行っている中、ソーシャルメディアでこんなお願いをするの無謀じゃないかな・・・?

案の定、来たわ、来たわ・・・。

出来の良い作品をいくつかご紹介する。


2017/09/14

アフリカのマジックリアリズム 『ヤマアラシの回想録』

ヤマアラシがペンを握り、月明かりの中で執筆をしている。机の上にはインク壺。「博識、俗悪なユーモア、効果的な言葉遣いの、眩暈(めまい)がするような取り合わせ」という英『ファイナンシャル・タイムズ』(Financial Times)紙の評。(これ、褒めてるのかなあ。きっと、褒めてるんだろうなあ。)

題名は『ヤマアラシの回想録』(Mémoires de porc-épic)。私が手にしているのは、その英訳Memoirs of A Porcupine


かなり好奇心をそそられる。どんな内容なんだろう。本当にヤマアラシが回想録を執筆しているのか。それとも、着ぐるみを着た人間なんだろうか。村上春樹の羊男みたいな。。。ヤマアラシの皮はコビトが着るにしても小さすぎるけど、着ぐるみなら。。。子供向の本だろうか、ファンタジーだろうか、カフカの『変身』風純文学だろうか、倒錯した大人の物語だろうか。少なくとも、ありきたりの本でないことは確か。

表紙をめくると、著者の簡単な経歴があった。

アラン・マバンク(Alain Mabanckou)は1966年、コンゴに生まれた。現在ロサンゼルスに在住し、UCLAで文学を教える。『青・白・赤』(Bleu-Blanc-Rouge)で「サハラ以南アフリカ文学賞」(Subsaharan African Literature Prize)、『ヤマアラシの回想録』で「ルノドー賞」(Prix Renaudot)受賞。

コンゴには元ベルギー領の「コンゴ民主共和国」(首都キンサシャ)と元フランス領の「コンゴ共和国」(首都ブラザヴィル)のふたつあるが、マバンク氏の出身は後者。


緑がマバンク氏を生んだコンゴ共和国。赤がコンゴ民主共和国(元ザイール)。

ルノドー賞」といえば、ゴンクール賞」((Prix Goncourt)などと並んで、フランスで最も権威のある文学賞のひとつだ。

小説はこう始まる。

そう、僕はただの動物だ。人間だったら、バカで手に負えない動物、って言うところだろう。尤も、僕に言わせれば、人間の殆どはどんな動物よりバカで手に負えないけど。でも、人間にとって、僕はただのヤマアラシ。そして、人間は目に見えることしか信じないから、僕が特別だとは思わない。長くて尖ったハリに覆われ、猟犬ほど早く走れず、餌を食べている畑から動くこともしない怠け者の、あの哺乳動物の一匹に過ぎない。

やっぱり、着ぐるみじゃなく、本物のヤマアラシが主人公だったんだ。

2017/09/11

世界で最もストレスが大きい国は? ブルームバーグのランキング

アメリカの金融メディア企業「ブルームバーグ」(Bloomberg)は公表されている統計資料を駆使して順位をつけるのが大好きだが、そのひとつに世界各国のストレス度ランキングがある。

考慮しているのは以下の7項目。

  • 人口10万人当たりの殺人率
  • 一人当たりのGDP(購買力調整済)
  • 所得の不平等度(ジニ係数)
  • 汚職の認識度
  • 失業率
  • 都市の大気汚染
  • 平均寿命

まず項目ごとに点数をつける。たとえば、殺人率が一番低い国は0点、一番高い国は100点。残りの国には相対的な点数がつけられる。そして、7項目の点数を合計し、7で割った値をストレス度とみなす。


そうやって得られた値が正しいストレス度を表すかどうかには疑問がある。この7項目がストレスを測る上での適正な尺度であるかどうか、また、この7項目に均等な重要度を与えるべきかどうか、異論があることだろう。

そもそも何をストレスと感じるかは、個人によって随分違う。ひとりの人にとって耐えられないストレスになることが、別の人には全然気にならないかもしれない。それどころが、俄然やる気を起こさせる「元気の元」になる可能性だってあり得る。

2017/09/07

誘拐犯に間違われリンチ殺人 群集心理の恐ろしさ

9月5日(火)の夕方。クワズルナタール州パインタウン(Pinetown)でのこと。ブキサ・ケレ(Bukisa Cele)さんは乗り合いタクシーのターミナルに、学校帰りの息子(11歳)を車で迎えに行った。会社の同僚であり、親友でもあるムルンギシ・ンクマロ(Mlungisi Nxumalo)さんも一緒だ。

息子が「お腹空いた」という。ブキサさんはムルンギシさんに息子の世話を頼み、おやつを買うため車から降りた。その途端、息子が泣き叫び始めた。精神に障害がある子供で、これまでもこんなことがよくあったという。

ところが、「誘拐だ!」という噂があっという間に群集に広まってしまう。怒り狂った群集は車の窓を割り、車を横倒しにし、ムルンギシさんに襲いかかった。一瞬車を離れただけのブキサさんの目の前で、信じられない光景が繰り広げられる。ムルンギシさんを殴る蹴るする群集を前にして、ブキサさんには手の出しようもない。

2017/09/04

口座に間違って大金が振り込まれた女子学生 ラッキー!と使い込み

ある日突然、自分の口座に1200万円振り込まれていることに気が付いたらどうしますか? どこから振り込まれたか、そして何らかの間違いであることを知っていたら・・・?

殆どの日本人は振り込んだ人に教えてあげるだろうなあ。。。

実は、「もしも」の話ではなく、南アフリカで実際に起こったこと。

舞台はイーストロンドン(East London)のウォルター・シスル大学(Walter Sisulu University)。2年生のシボンギレ・マニ(Shibongile Mani)は会計学を専攻する27歳。国の奨学金制度NSFAS(National Student Financial Aid Scheme)から月1400ランドの援助を受けている。

NSFASの奨学金でカバーされるのは学費、家賃、食費、本代、交通費だ。NSFASは奨学生ひとりひとりに口座を設け、カードを発行する。学生はそのカードを使って本と食料を買うことになっている。

今年6月1日、シボンギレのNSFAS口座にいつもの1400ランドではなく、1410万ランドが振り込まれた。1万倍の金額!

シボンギレはどうしただろうか? 即座にNSFASに間違いを通報? それとも、しばらく悩んでからNSFASに報告?

いやいや、「ラッキー!!」とばかりに、早速贅沢三昧の生活を始めたのだ。