南アフリカのこの辺り(Wikipedia) |
洞窟「ライジングスター」(Rising Star)内で、洞穴「ディナレディ」(Dinaledi)が見つかったのは2013年9月13日。同年11月から本格的な発掘調査が開始され、2014年3月に少なくとも15の個体に属する化石約1550個が発掘された。
発掘現場(Wikipedia) |
そして、2015年9月10日、ヴィッツ大学のリー・バーガー(Lee Berger)教授がジョハネスバーグで化石と新説の発表を行う。もしかしたら、人類の祖先の新種かもしれない、というのだ。名付けて「ホモ・ナレディ」。「ナレディ」とはソト語で「星」を意味する。
ホモ・ナレディはアウストラロピテクスとホモの両方の特徴を持っている。アウストラロピテクスに近いのは骨盤、肩、胸郭、親指以外の指、脳の大きさなど。ホモに似ているのは足、足首、椎骨、手首、親指、掌など。アウストラロピテスクスからホモへの移行途中の種なのだろうか。全般的な構造がホモに近いことから、バーガーらは「ホモ」属に分類することにした。
まだ年代が測定・推測されていないので、進化のどこに位置づけるのか難しいものの、「見つかった個体は死後、意図的にこの小さくて奥まった洞穴に運び込まれた」とバーガーたちは考える。初期の「埋葬」ではないか。つまり、ホモ・ナレディには「儀式」の概念があったというのだ。それが本当だとすると、「儀式」は「ホモ・サピエンス」や「ホモ・ネアンデルターレンシス」(ネアンタール人)から始まった、という通説がくつがえされる。