2013/09/24

ヘクター・ピーターソンを抱えた少年がカナダの刑務所に!?!

南アフリカを物語る写真で一番有名なのは、サム・ンジマ(Sam Nzima)による「ソウェト蜂起」(Soweto Uprising)時のものではないか。死にかけたヘクター・ピーターソン(Hector Pieterson)を別の少年が腕に抱えて走る。少年の顔は苦悩に歪んでいる。隣で泣き叫びながら走るのは、ヘクターの姉アントワネット(Antoinette)。

South African History Archive
 1976年6月16日のことだ。「中学校の授業をアフリカーンス語と英語1対1で教える」という政府の新方針に反対して、子供たちがデモを行った。場所はジョハネスバーグに隣接する黒人居住区「ソウェト」。

人種の格付けがはっきりしていたアパルトヘイト時代、白人の言葉であるアフリカーンス語と英語の2言語が公用語だったが、誰もがそのふたつをバイリンガルに話していたわけではない。白人でも、英系は英語を、アフリカーナはアフリカーンス語を第一言語とした。

国民の大多数を占める黒人にとって、アフリカーンス語も英語も第一言語ではないが、住んでいる地域の白人の言葉を話す傾向にあった。首都プレトリアはアフリカーナが多いので、その近辺に住む黒人は英語よりアフリカーンス語が得意だったが、経済の中心ジョハネスバーグは英語が中心。従って、ジョハネスバーグに隣接するソウェトでは、英語の方がよく話される。

それを突然、現地で使われる言語とは関係なしに、授業をアフリカーンス語と英語で行い、アフリカーンス語での試験もあるというのだ。「国語」の授業ではない。理科とか算数とか地理とか歴史とかの授業を、よく理解できないアフリカーンス語で行うというのである。授業を行う先生だって、アフリカーンス語が話せない人が多いのに。。。大体、アフリカーンス語はアパルトヘイトを推進する「抑圧者」アフリカーナの言語である。

2013/09/22

チョークも買えない! 無料公立学校の実態

貧しい家庭の子供にも良い教育を受けさせたい。当然の願いだろう。

公立学校で、貧しい家庭の子供の授業料を減額または無料にする。民主国家の国民で、異議を唱える者はまずいないだろう。いてもごく少数ではないか。

そういえば、小学校の頃、母子家庭で生活保護を受けていた級友は少なめの月謝を払っていた記憶がある。

南アフリカでは家庭ごとではなく、学校ごとに「貧しさ」を測定している。5段階に分け、「貧しい学校」(父兄の収入が少ないということだろうか?)ほど、政府の援助を沢山受けることになっているのだ。一番「貧しい学校」では、父兄が払う授業料ゼロ。そして、全ての子供に教育の機会を与えるため、無料学校の数を増やしているという。

ところが、無料学校に十分な資金援助が与えられていないようなのだ。チョークなど必要最小限のものも買えないため、無料学校の多くは学校として機能していないという。

そう言明しているのは、アンジー・モチェハ(Angie Motshekga)。基礎教育相その人である。

2013/09/15

南ア人アーチスト、パリで逮捕。スティーヴン・コーエンの露出パフォーマンス

南アフリカ人のパフォーマンスアーチスト、スティーヴン・コーエン(Steven Cohen)が9月10日の朝、エッフェル塔の前で逮捕された。容疑は「露出行為」(exhibitionism)。

頭には雄鶏のようなカブリモノ、体には白いコルセット、腕には赤い長手袋、足には7インチのハイヒール。変態っぽくても、何を着ようが個人の勝手でしょ・・・と言いたいところが、問題はそれしか身に着けていなかったこと。しかも、ペニスは生きた雄鶏と紐で結ばれていた。

雄鶏の名前は「フランク」。フランクとスティーヴンはエッフェル塔の前で10分踊ったところで、警察に取り押さえられてしまったのある。

(「Sunday Times」より)
パフォーマンスアート」(performance art)ってなに? 

2013/09/09

ジョハネスバーグで大規模停電。職員が意図的に配電所のスイッチを切る。

「あれ?」 ツレが素っ頓狂(すっとんきょう)な声を上げた。「これ、ローランドの家じゃない?」

(「サタデースター」紙より)
新聞の一面に、夜、派手に燃え上がる家の大きな写真。別のページには、翌朝の写真。二階は全焼。一階も被害がひどい。庭を歩いているのは確かにツレの友人、ローランド。。。

ジョハネスバーグでは先週、30もの地区が停電になった。ローランド・ハンター(Roland Hunter)とアヴリル・ジョフィ(Avril Joffe)夫妻が住むオブザーヴァトリー地区もそのひとつ。

停電になって既に2日が経った9月4日水曜の夜、夫妻と3人の息子、それに82歳の祖父は、ロウソクを灯してテーブルを囲んだ。ユダヤ教の新年を祝う特別な夕食だ。

前菜が終わったところで、2階から大きな物音。ローランドの頭に反射的に浮かんだのは・・・「押し入り強盗!」 よりによって、停電の暗闇の中、強盗に襲われるなんて・・・。

ところが目に入ったのは火。火事だ! 二階全体が火につつまれている! 寝室に置いてあったロウソクの火が、カーテンかフトンに燃え移ったらしい。

一家は命からがら逃げ出した。

2013/09/01

同じ女性を愛する男性が「一妻多夫」結婚に合意 ケニア

2013年8月、ケニアでのこと。2人の男性が同じ女性と結婚することに合意した。南アフリカのジェイコブ・ズマ大統領をはじめとして、アフリカで一夫多妻というのは良く聞くが、一妻多夫というのは珍しい。

「一妻多夫」(polyandry)には2種類ある。夫たちが血縁関係にある「父性一妻多夫制」(fraternal polyandry)と、夫の間に血縁関係がない「非父性一妻多夫制(non-fraternal polyandry)だ。

一妻多夫制を取る社会の多くは(1)環境が厳しい、(2)男の死亡率が高い、または男が留守のことが多い、(3)社会の構成員(といっても大抵「男」を指すのだろうが・・・)が平等の権利を持つ、という。

最も良く知られた「一妻多夫制」社会はチベット。兄弟全員がひとりの女性と結婚することで、それでなくても狭い土地を、兄弟間で分配する事態を避けることができる。一人または少数の兄弟だけが相続する社会では、遺産を相続できない男たちは僧侶になったりする。日本の場合だと、婿養子に行くという手がある。だが、兄弟全員が同じ相続権を持つ社会で、全員が結婚して家庭を持つと、土地財産が細切れになってしまう。ただ、チベットの一妻多夫制は中国共産党に禁止されてしまったので、現在の実態は不明とのこと。

アフリカでも、ケニアのマサイ(Masai)族やナイジェリア北部のイリグウェ(Irigwe)族には、伝統的に一妻多夫があるそうな。

しかし、今回のケニアのケースはちょっと変わっている。

女性は2人の子供を持つ寡婦。シルヴェスター・ムウェンドワ(Sylverster Mwendwa)さん、エリヤー・キマニ(Elijah Kimani)さんの2人と、4年以上愛人関係にある。ムウェンドワさんもキマニさんも、この女性を心から愛しており、女性の方も、ひとりを選ぶことは出来ないという。そこで「境界線を決め」「平和を守るため」、女性がふたりの男性の両方と「結婚」することになったもの。

といっても、3人で一緒に住むのではない。男性ふたりは仲良しこよしで、心が広く、女性が他の男性と関係を持っても気にしない・・・というわけではないからだ。女性の家にライバルの男性ふたりが期間を決めて交代で住み、顔を合せるのを避けることで、血生臭い事態が発生するのを避けるとか。ふたりとも、女性の子供の養育に責任持つという。

一妻多夫はこの3人が属する社会の伝統的習慣ではないものの、女性の母親は喜んでいるらしい。

愛には色々な形がある。3人とも大人だし、関係者全員が幸せなら、社会に迷惑を掛けない限り、別にいいじゃないかと思う。それでも、男女の仲は難しい。いつまで続くことやら。。。

ところで、この女性の子供たちは、ムウェンドワさんとキマニさんの両方を「お父さん」と呼んでいるのかな?

(参考資料:2013年8月28日付「The Times」など)

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