2017/12/31

シリル・ラマポザってどんな人? ANC新党首、そして恐らく次期南ア大統領

2017年12月18日、南アフリカ与党ANC(アフリカ民族会議)の党大会で、シリル・ラマポザ(Cyril Ramaphosa)副大統領が新党首に選出された。対抗馬はジェイコブ・ズマ(Jacob Zuma)大統領の元妻ンコサザナ・ドラミニ=ズマ(Nkosazana Dlamini-Zuma)。得票数は2440対2261。わずか179票の差。

まず、有効投票数が4701という少なさに驚く。総選挙で6割以上の得票率を過去20年以上勝ち得てきた与党の党首、そして恐らく次期大統領が5000人以下の投票で決まったわけだ。わずか2440人が人口5000万人以上の国の次期大統領を決めたことになる。

次に、ラマポザの勝利が僅差であったことに驚く。

2017/12/14

トランプ大統領誕生までを振り返る(3)トルドーの気配り組閣 トランプの「ワニで沼地を満たす」組閣

2016年8月から2017年2月までに別ブログに書いたトランプ関連記事転載の第3弾は、『トルドーの気配り組閣 トランプの「ワニで沼地を満たす」組閣』(2016年12月21日)。

 🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼  

カナダの首相がかっこいい。ジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)。フランス語読みではジュスタン・トリュドー。1971年クリスマス生まれの、もうすぐ45歳。去年第29代首相に就任したときは弱冠43歳だった。父親は第20・22代首相のピエール・トルドー。父親が首相だったときに生まれ、一旦は教鞭を取るものの、父の死後政界入りした。

見た目は「いいとこのお坊ちゃん」風キュート。これまで何度かインタビューを聞いた限りでは、頭脳明晰で進歩的、ユーモアがあり温かみに溢れる。「私はフェミニスト」と公言し、女性の地位向上に理解がある。堕胎に関しては「プロチョイス」(pro-choice)、つまり当事者である女性に選択の権利があるという立場。

大麻の合法化に賛成。大麻の普及を促進したいわけではなく、合法化することによって、子供たちを公に守り、違法麻薬販売で儲けている犯罪者を一掃することが目的という。また、これまでないがしろにされてきた、先住民の保護・援助にも力を入れている。更に、先進国の間で反難民感情が高まる中、人道的な立場から難民の受け入れに熱心である。

トルドー首相の理念は、組閣にはっきり表れている。適材適所、半数以上が女性(首相を除く閣僚29名のうち15名)、国の多様性を反映(シーク教徒4名、先住民2名など)、障害者2名、地域バランスへも配慮(全州から閣僚を選出)・・・。気配りの細かいこと!

トルドー首相(最前列中央)と閣僚たち

2017/12/12

あなたの世界観を変える200人の女性たち

2017年2月、ニュージーランドの出版社から長いメールが入った。

「男女不平等をテーマにしたプロジェクトを企画している。世界中の女性200人を取材し、400ページの本として出版する予定。また、写真とオーディオの展覧会を世界中で開催する。更に、収益の少なくとも10%を女性の保護や人権拡大に貢献している団体に寄付する。何百万人もの女性の生活を向上させ、世界中の男たちを啓蒙し、心を開かせる可能性があるプロジェクトだ。ついては、200人のひとりになってくれないか。OKなら、3月9日か10日にジョハネスバーグでインタビューしたい」という内容。

あまり表に出るのは好きではないので、テレビ出演(こんなところに日本人がいた、みたいな)などは全部断ってきたが、人権問題に長年関わってきた良心的な出版社であるし、世の中のためになりそうなプロジェクトなので、あまり深く考えず承諾する。普段まったく世の中に貢献していない身としては、せめてこのくらいのことでもしないとバチがあたろう。

メールに添付されていたPDFの説明書によると、「世界中の様々なバックグラウンドを持つ女性200人へのインタビューを基にした、画期的な本と国際的な展覧会」。

「様々なバックグラウンドを持つ女性」って・・・?

「有名な女性、無名な女性。華々しくもてはやされている女性、社会の周縁にいる女性。裕福な女性、貧乏な女性。黒、茶、赤、黄、白。逆境に打ち勝った女性、先頭に立つ女性。被害者と英雄。聖人と罪びと。あまりにも多くの女性たち、少女たちが基本的な自由や平等を求めていまだに戦っている今このときに、私たちを啓発し、鼓舞し、ポジティブな変化をもたらしてくれる女性たち。」

なぜ私なんぞに話が来たか不明だが、それなりの理由があるのだろう。「多様性」(diversity)に花を添えるくらいか。(「無名」の「黄色人種」代表?)

2017/12/07

トランプ大統領誕生までを振り返る(2)柵になるかもしれないトランプの壁

2016年8月から2017年2月までに別ブログに書いたトランプ関連記事転載の第2弾は、『柵になるかもしれないトランプの壁』(2016年11月18日)。大統領就任に選出されてから初めてのテレビインタビューを見て、候補者トランプが選挙中に行った公約を、大統領に選出されたトランプがどう考えているかをまとめたもの。

この一年ではっきりしたのは、米国民の30-35%がトランプの熱烈なファンであり、トランプの言うこと(その多くが虚言)を鵜呑みにするということ。公約を守らなくても全然OK。それどころか、トランプのツィッターをフォローする支持者たちは、トランプが公約を実現していると思い込んでいる。「有言実行の素晴らしい大統領」と信じている。

「公約を破れば支持者が納得しないのでは?」というのは、まったくの懸念だった。
 
🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼  

11月13日、米CBS「60 Minutes」(シックスティ・ミニッツ)がドナルド・トランプ(Donald Trump)の独占インタビューを放映した。2000万人ものアメリカ人が見たという。第45代アメリカ合衆国大統領に選出されてから、初めてのテレビインタビューだ。インタビュアーは1991年から「60 Minutes」で働くベテランジャーナリスト、レスリー・スタール(Lesley Stahl)。

「60 Minutes」の撮影現場(CBS News

選挙運動期間中、トランプはかなり無責任で扇動的な公約を繰り返した。それを信じて投票した人も多いだろう。選挙公約をどの程度実現するつもりか、支持者にとっても、反対者にとっても気になるところ。

トランプの姿勢・考えと公約をまとめてみる。

1.移民問題
現状では、外国人はチェックもなく米国に入り放題。テロリストも野放し。犯罪者やレイピストを送って来ているメキシコとの国境に、高くて厚い壁を築き、費用はメキシコに出させる1000万人以上の不法移民を子供も含め国外退去させる。イスラム教徒の入国を一時的に全面禁止する。

2.ヒラリー・クリントンのEメール問題
大統領に就任したら直ちに、特別捜査班を任命し、ヒラリーを有罪にして投獄する

3.国民健康医療制度
2000万人の国民をカバーする通称「オバマケア」(Obamacare)は「完全な失敗」(total disaster)なので撤廃する。

4.外交
プーチン、フセイン、金正恩などの独裁者は素晴らしいクリミア自治共和国のロシア強制編入は問題ない。ロシアと協力して、イスラム国を倒す。テロリストは家族まで殺すべき拷問OK分担金を払っていないNATO加盟国が苦境に陥っても助けない日本、韓国が自衛できるよう、核兵器を持たせてもよい。(最後の点に関しては、選挙後「言っていない」と否定しているが、インタビューに答えて明言している映像がしっかりある。確言した映像や音声が証拠としてあるのに、平気な顔をして「言っていない」と否定するのは、トランプにはよくあること。)

5.経済・貿易
アメリカの産業・経済を復興させるため、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)やNAFTA(北米自由貿易協定)から脱退し、輸入品への関税を大幅に引き上げる。所得税の課税方法をシンプルにし、富裕層の所得税率を大幅に下げ、遺産税を撤廃する。

6.国内政治の改革
腐りきっている政治を一新する。自分ほどアメリカの政治システムに精通している者はいないから、自分だけが改革できる

7.人権
妊娠中絶に反対。中絶した女性は罰せられるべき。最高裁の裁判官は、中絶反対派を選ぶ。

8. 環境
地球温暖化は科学者の支持を得ていない空論

・・・などなどなど。

2017/12/06

「あなたは生涯の父」 カトリック神父が明かしたムガベ辞任の裏話 ジンバブエ

2017年11月15日、ジンバブエ国軍がロバート・ムガベ(Robert Mugabe)大統領を自宅監禁し、首都の要地を占拠した。その直後、与党Zanu-PFグレース派に対する将軍たちの不満に耳を傾けるため兵舎に急いでいたカトリック神父のフィデリス・ムコノリ(Fidelis Mukonori)に、エマーソン・ムナンガグワ(Emmerson Mnangagwa)から電話が入る。

「ババ(お父さん)と、どうしても話したい。」

ムガベと話す仲介役を頼まれたのだ。

ムガベ、ムナンガグワ、軍隊に信頼されているムコノリ神父(CNN

2017/11/28

トランプ大統領誕生までを振り返る(1)ドナルド・トランプの壁

ドナルド・トランプが第45代アメリカ合衆国大統領に選出されてから、もう1年経ってしまった。これまでそれほどアメリカの政治に関心がなかった私も、2016年前半からユーチューブに釘付けになっている。(テレビがないのでニュース映像はユーチューブで見ている。)

 この機会に、2016年8月から2017年2月まで、別ブログに書いたトランプ関連記事を振り返ることにする。

まずは2016年8月7日の記事『ドナルド・トランプの壁』。共和党大統領候補トランプの公約のうち、一番有名なものだったが、大統領になってからいつの間にか立ち消えになってしまった。

この時点では、大金持ちの家に生まれ、詐欺同然の手口を用いて私腹を肥やすことにそれまでの人生を費やし、多くのビジネスで失敗し、世界政治経済にうとく、集中力が3分もなく、発言の大部分が嘘であり、人種差別やセクシャルハラスメントを平気で行う、ナルシストで傲慢なトランプを大統領候補に選んだ共和党員にあきれていた。もっとちゃんとした候補者が複数いたのに。。。

「トランプ=成功」「大富豪の凄腕ビジネスマン」というイメージがリアリティTVで浸透していた。テレビが作り出したイメージを本当の姿と信じる多くの米国民。「バカじゃないの」と思う一方で、デマゴーグに簡単に扇動される民衆が空恐ろしかった。

🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼  

不法移民の入国を阻止するために、アメリカ・メキシコの国境に防壁を築く」と息巻いていたドナルド・トランプ(Donald Trump)が、米共和党の大統領候補に指名されてしまった。共和党の党大会での指名受諾演説でも、「壁を築く」ときっぱり。

トランプは「建設費用はメキシコに負担させる」と断言するが、メキシコ政府は「絶対払わない」。

メキシコに無理やり払わせる妙案でもあるのか。メキシコが払わないとしたら、誰が負担するのか。そもそも、3200キロにわたる国境に壁を建設するのに、一体いくらかかるのか。

Economist.com

バーンスタイン・リサーチ(Bernstein Research)の最新レポートによると、リオ・グランデ川など天然の国境のおかげで、壁を建設する必要があるのは国境の約半分。そこに高さ12メートルの壁を築くには、7億1100万ドル相当のコンクリートと2億4000万ドル相当のセメントが必要。工賃を含めると、150億ドルから250億ドルの費用がかかるという。

2017/11/25

ロバート・ムガベの興隆と没落 ジンバブエ

生きているうちにこの日が来るとは思わなかった。」

ロバート・ムガベ大統領(93歳)の辞任を聞いて、多くのジンバブエ人がこう語った。なにしろ、1980年の独立以来、37年も政権の座に居座っていたのだから。37歳以下のジンバブエ人はムガベ以外の国家元首を知らない。

ロバート・ムガベ(Robert Mugabe)は1924年2月21日、英植民地・南ローデシア(現ジンバブエ)の貧しい家庭に生まれた。6人兄弟の3番目。父親は大工。敬虔なカトリック教徒だった母親は、村の子供たちにキリスト教の教義を教えていた。

ムガベ一家が住んでいたクタマ(Kutama)村は、イエスズ会が設立した布教村。イエスズ会の教えに従い、ムガベは子供のときから厳しい自己鍛錬を積み、自制心が強い人間に育った。

田舎の子供なら誰もがそうしたように、牛追いが日課だった。牛追いをしながら本を読む、勉強好きの子供だった。

(因みに、南アフリカのジェイコブ・ズマ大統領も子供時代、牛追いをしたが、そのまま学校教育をまったく受けずに成人し、読み書きを習ったのはロベン島で服役中のことだった。今でも原稿を読むのがたどたどしい。自力で演説原稿が書けるとはとても思えない。)

勉強はよくできたものの、スポーツをしたり、他の子供と遊んだりするより、ひとりで本を読むことを好んだ。同級生たちからは「お母さんっ子」「腰抜け」とからかわれた。

1934年、長兄が下痢で亡くなり、次兄も毒入りトウモロコシを食べて死亡。同じ年、父親が大きな町ブルワヨへ。仕事を探すためだったが、そこで別の女性と知り合い、クタマ村の家族は捨てられてしまう。ロバートは若干10歳にして、ムガベ家の家長となった

2017/11/20

トランプ、アフリカにも悪影響 野生動物保護の危機

アフリカにはあまり影響がないと思われていたトランプ政権だが、11月15日(水)大変迷惑な発表を行った。「アフリカでの狩猟を促進する」というのである。

その理由は、アメリカ人ハンターがアフリカに出向き、絶滅危惧種を含む大型動物を殺すために大金を払うことで、地元のコミュニティが経済的に潤い、動物保護資金が増える。つまり、これまで欧米のハンティング愛好者が主張してきた「野生動物を殺すことが野生動物の保護につながる」という変な理屈の受け売りである。

その一環として、ジンバブエとザンビアで「合法的」に狩猟したゾウの牙をアメリカに輸入することを許可した。(絶滅危惧種を「合法的」に殺せるアフリカ諸国の政策は絶対おかしいと思う。しかし、大統領が率先して狩猟全面禁止に踏み切ったボツワナ以外の国では、政治家や役人の多くが欧米ハンターやロビー団体がもたらす大金に目が眩んでしまっている。)

トランプの息子、ドナルド・ジュニアとエリックは狩猟が大好き。アフリカに来ては野生動物を殺している。

長男のドナルド・ジュニアはこんな写真をソーシャルメディアにアップしている。

ゾウは絶滅危惧種

殺したゾウの尻尾をナイフで切り取ったもの。

生まれてから何一つ不自由なく生きてきたお金持ちのボンボンが、完璧に安全な環境の中、何百万円も払って払ってゾウを射殺し、その尻尾をナイフで切り取り、自慢げにソーシャルメディアにアップしている。そんなこと、なんの自慢にもならないことに全然気がついていない。

2017/11/16

「立派な国ランキング」発表。世界に最も貢献している国は?

6月23日、「Good Country Index」が発表された。この指標における「グッド・カントリー」の定義は、自国の枠を超え、より良い世界を築くために貢献している国。いわば、「立派な国ランキング」である。

調査を行ったのは、過去20年間に世界中の大統領や首相計53人にアドバイスしてきたというサイモン・アンホルト(Simon Anholt)。プロの政策アドバイザーだ。

サイモン・アンホルト(Wikipedea

人々が最も称賛するのは、立派な国というイメージだということに気がついた。経済力があるとか、美しいとか、強大であるとか、近代的とかいうことより、ずっと大切なのだ。そこで、人類に最も貢献していると思われているのはどの国か、そしてどの国が実際に立派なのかを知りたいと思った。」

アンホルト氏は世界125か国を以下の7つのカテゴリー別に貢献度の点数をつけ、それに基づいて総合ランキングを決定した。

科学技術(Science and Techonology)
文化(Culture)
世界平和・安全(International Peace and Security)
世界秩序(World Order)
地球・気候(Planet and Climate)
繁栄・平等(Prosperity and Equality)
健康・福祉(Health and Wellbeing)

各カテゴリーの点数は、5つのデータの総合点。例えば「世界秩序」カテゴリーには、開発援助の金額や国連条約の批准・署名数などのデータが含まれる。世界への貢献度しか考慮されないので、いくらGDPが大きくても、いくら自国民の福利厚生が整っていても、点数に加算されない。

勿論、「立派」という言葉そのものが主観的。カテゴリーの分け方や、データの選び方や、計算の仕方などに批判は沢山ある。また、入手できるデータにも限りがある。これが完全とか絶対とか断言できる「立派な国リスト」作成は不可能だ。それでも、敢えてランキングを作成し公表したのは、普通の人々に自分の国が「立派」かどうか考えて欲しいから。

2017/11/11

南アフリカの公的医療 悲惨な現実(3)お父さんの死

10月16日朝4時、エミリア(お母さん)から電話。アケ(お父さん)が亡くなった。たった今、病院から連絡が入ったという。10月9日の夕方に入院してから、6日半後の死だった。その間、検査も診断もされず、医師にも看護婦にもスタッフにも冷たく扱われた。午後1時間、夜1時間の面会時間以外は、家族も会わせてもらえない。十分な看護ができなかった悔いが残る。

家族には検死を要求する権利がある。お腹の腫瘍は何だったのか。死因は何だったのか。医師による検査や診断がなかっただけに、知りたい。もちろん死因がわかったところで、亡くなった事実が変わるわけではないが、たとえば「腫瘍を調べたところ、末期の大腸がんだった」とはっきり言われれば、「そうだったのか」と納得でき、精神的な幕引きができる。

しかし、悲嘆に暮れるエミリアは「検死しなくていい。遺体の確認にも行きたくない。葬式もしない。火葬した灰だけ受け取ればよい」。未亡人の意思を尊重し、息子たちも検死を主張しないことにした。医師が記した死亡原因は「自然死」。

それにしても、ひどい国立病院。そういえば、アケが前回入院したときは私立病院だった。(病院嫌いなので、風邪をこじらせ肺炎になってから漸く病院に行き、即入院だった。)今回はなぜ国立病院に・・・? 実は、数年前、メディカルエイド(企業が提供する保険)を解約したというのだ。

元気なころのアケ

南アフリカは日本と違い国の健康保険制度がない。公的医療機関の料金は、収入や扶養家族の人数によって決まる。一番高い料金でも私立病院よりかなり安い上、1日に払う額に上限がある。収入がとても少なければ無料だ。妊婦、6歳以下の子供、社会保障を受けている人も無料である。

制度的には、全然悪く聞こえない。

問題は中身である。国民の大多数が公的医療のお世話になっているから、とても混んでいる。医師や看護婦の数が不足している。働きすぎの医師たちは疲れ切り、看護婦やスタッフの質は悪化する一方だ。適切な治療を受けていれば元気に退院できた人が、公的医療機関に行ったばかりに命を落とす例が後を絶たない。

2017/11/04

南アフリカの公的医療 悲惨な現実(2)タンボ記念病院

アケ(お父さん)が国立総合病院「タンボ記念病院」に入院した。タンボ記念病院はジョハネスバーグから東へ30キロ。ボックスバーグという町にある。

今までの経過をまとめると、

10月9日(月) 
しばらく下痢が続いたので病院に行く。この時点では普通に会話をしており、車の運転もできた。一日中待って、やっと触診。「腹部にしこりがあり、悪性腫瘍かもしれない。検査のため即入院」と言われる。

10月10日(火)
エミリア(お母さん)が朝病院に行ったところ、アケは冬並みに寒い病棟で、石のように冷たくなっていた。上半身は昨日来ていた服。下半身はズボンもパンツも脱がされ、オシメだけつけて、あとは裸。枕も毛布も上布団もなし。「寒い、寒い」と繰り返す他は、言葉もでないほど衰弱している。自力で水を飲むことも食べ物を食べることもできない。点滴を頼む。「面会時間は午後3時から4時と、午後7時から8時のみだけ」と言われる。夕方、エミリアとペッカ(息子)が上布団など持ってまた病院へ。アケはすでに意識が朦朧(もうろう)としている。点滴がされていないので、重ねてお願いする。明日、しこりの検査をすると言われる。

10月11日(水)
検査なし。点滴もなし。水分と栄養分の補給を懇願する。

10月12日(木)
朝電話したところ「退院した」と言われる。面会時間に行ってみたら、外科病棟に移されていた。点滴、酸素吸入が施される。元々やせ型だったのが、下痢のためやせ細っていた82歳の老人に、公的医療機関が3日以上、水分も栄養分も与えなかったことになる。「明日、手術」と言われる。何の手術か説明なし。

10月13日(金)
手術なし。

10月14日(土)
早朝待ち構えて、初めて医師と話す。担当医ではなく、その日の巡回医。「私たちには何もできないから家に連れて帰りなさい」と突き放される。

* * * * * * * * * *

車や掃除機が故障したのなら、修理工が言うことに余裕をもって反論もできる。しかし、こと医療に関しては医者の独壇場だ。元々権威を敬う傾向にある日本人やアフリカの人たちは、概ね医者にすべてを委ねがちである。医者を信じ、医者に言われるままに治療を進める。それに、医学・医療は高度に専門化しているから、「それは違うんじゃないの」とは言いにくいし、一般人には反論する知識もない。

医者に「家に連れて帰りなさい」と指示されたら、殆どのアフリカ人は黙って言われるままにするだろう。特に、田舎の人や古い世代や教育程度の低い人は、都会の教養人よりずっと権威を敬う傾向にあるので尚更だ。

しかし、家に連れて帰ってどうすればよいのだろう? 検査も診断もされていないのに、どんな看護をすればよいのだろう? しかも医者は退院にあたって、「医師の判断に賛成します」という書類にサインを求める。検査も診断もないのに、「判断に賛成」はできない。

2017/10/30

南アフリカの公的医療 悲惨な現実(1)お父さんが入院

南アフリカの公立病院に行ったら、元気な人でも病気になってしまう。」

どういう話の展開だっただろうか。エチオピア旅行中、誰かがそんなことを言った。冗談めかしたかなり本気の言葉に、その場にいた南アフリカ人たちは全員が真顔で頷いた。

その数日後、エチオピアから戻って来た私を、パートナーのペッカが空港まで迎えに来てくれた。

「お父さんが昨日入院したらしい。今からお母さんと病院に着替えを持って行く。」

連絡があったばかりで、詳しい事情はよくわからないという。ちょっと風邪気味だったが、お父さんが心配だ。「着替えを持って行くくらいなら」と一緒に病院へ向かうことにした。

ジョハネスバーグの我が家から別の町ベノニのエミリア(お母さん)宅まで車で40-50分。着替えどころか、なぜか上布団や枕まで用意してある。そこから隣町ボックスバーグにある国立病院「タンボ記念病院」(Tambo Memorial Hospital)まで更に30分。保健省のウェブサイトによると、1905年設立、「機能している」ベッドが540床という総合病院だ。


アケ(お父さん)は大の病院嫌い。それでもしばらく下痢が続き心配になったので、前の日の10月9日、病院に行ったという。丸一日待ってやっと診察を受ける。腹部に固まりがある。悪性腫瘍かもしれないから検査要。即入院となった。

エミリアはそのまま帰宅。翌朝友人に運転してもらって病院へ。アケのいる大部屋に足を踏み入れてびっくり。ここ数日、冬並みに寒くなっていたのだが、アケには上布団もかかっていない。ズボンとパンツを脱がされオムツ姿。パジャマも着せてもらえず、下半身は剥き出しのまま。暖房はない。体が石のように冷たくなっていた。82歳の病気の老人がそんな有様で、一晩放っておかれていたのだ。(数日後、母親が国立病院に入院したことのある友人が、「枕と上布団は持参することになっているのよ。食事がひどすぎるので、食べ物も毎日持って行ったわ」と言っていた。)

2017/10/27

フィンランドの夏が世界一である10の理由

日本で夏至の頃、北欧諸国では「ミッドサマー」が祝われる。夏が超短い北の国の人々にとって、ミッドサマーは一年の中でも大切なお祭りだ。

Vivasというウェブサイトで、「フィンランドの夏が世界一である10の理由」という記事を見つけ大笑いした。ひとりで笑うのはもったいないので、ご紹介する。(フェイスブックのコミュニティ「All Things in Finland-Suomi」でも紹介されていたから、フィンランド人自身も可笑しいと思ったのだろう。)

1.夏は一年で一番いい日だから

「夏が待ち遠しい。一年で一番いい日だから。」

一瞬、「日」ではなく「季節」のタイプミスではないかと思ったが、実は、「フィンランドには夏が一日しかない」というジョーク。

2017/10/23

娘をレイプした男たちを殺傷した「ライオン・ママ」 不起訴に

ライオン・ママ」の異名を持つ女性がいる。南アフリカ東ケープ州在住の56歳。性犯罪の被害者となった娘のアイデンティティを守るため、実名は公表されていない。

ライオン・ママが住むのは、舗装された道路まで歩いて20分という、小さな村。こんな村でも、携帯電話が普及しているおかげで、ライオン・ママにも連絡がつく。

2017年9月2日、夜中の1時をちょっとまわった時、ライオン・ママの電話が鳴った。電話をしてきたのは、3キロ離れたところに住む同じ村の女性。ライオン・ママの娘(27歳)が10時から泣き叫んでいるという。レイプされているらしい。

(お互いを知り尽くしているであろう小さな村の出来事なのに、誰もその家に行って止めようとか、警察を呼ぼうとかせず、3時間も泣き叫ぶ声が続いてようやく、その家の隣人が被害者の母親に電話という状況はちょっと変な気がするが、その辺の事情はわからない。娘が諦めて途中からおとなしくなっていたら、連絡は来なかったのだろうか。)

ライオン・ママは即座に地元の「ポリスフォーラム」(警察と協力して治安を守る住民団体)担当者に電話したが、応答なし。しばらく鳴った後、留守電メッセージに切り替わった。

ライオン・ママはパジャマ姿のまま、包丁をつかみ、副村長の家に走った。途中で村の若者がひとり加わり、3人で犯罪現場へ急ぐ。

電話をしてくれた女性の家に到着。娘の叫び声が闇を切り裂くように貫く。副村長は「ポリスフォーラムに通報する」と家を出た。

残された3人はライオン・ママの携帯電話の光を頼りに、真っ暗な隣家に近づく。隣家の女性と若者に出口を見張るよう頼んで、ライオン・ママは単身、家の中に乗り込んだ。

2017/10/18

ロッシーニのシンデレラ METライブビューイング

METライブビューイング(Metropolitan Opera Live in HD)今シーズン最後の出し物は、ジョアキーノ・ロッシーニ(Gioachino Rossini)の『チェネレントラ』(La Cenerentola)。童話『シンデレラ』をオペラ化したもの。

といっても、子供向けのオペラではない。妖精のお婆さんとか、カボチャの馬車とか、12時までの時間制限は出てこない(以上はディズニーのアニメ版のお話)。ロッシーニは魔法の要素をなくし、大人向けの素敵なロマンチックコメディーに仕上げている。3週間でこのオペラを書き上げた時、ロッシーニは弱冠25歳。前年に発表した『セビリアの理髪師』(Il Barbiere di Siviglia)が大ヒットし、ノリに乗っていた時期だ。

主人公はアンジェリーナ(Angelina)。いいところのお嬢さんだったが、寡婦になった母親がドン・マニフィコ(Don Magnifico)と再婚したことから、運命が狂ってしまう。落ちぶれた男爵ドン・マニフィコには先妻との娘、クロリンダ(Clorinda)とティスベ(Tisbe)がいる。いずれも高慢で我儘で贅沢好き。ドン・マニフィコはアンジェリーナの母親が亡くなった後、実の娘に贅沢をさせるため、アンジェリーナが受け継いだ遺産を勝手に使い果たした。ソファもボロボロの家に住む男爵はメイドも雇えないらしく、アンジェリーナを召使いとしてこき使い、ボロを着たアンジェリーナを「チェネレントラ」(灰かぶり)と呼んで馬鹿にしている。(暖炉の掃除などで、灰だらけになってしまうのだろうか。)おとなしくて心優しいアンジェリーナは、いつかこの環境から抜け出ることを夢見つつも、黙って耐えている。

METライブビューイング最新情報

一方のラミーノ(Ramiro)王子。後継ぎを心配する重病の父王から「すぐ結婚しなければ勘当する」と脅され、しぶしぶ嫁探しをしている。「愛していない相手でも、この際仕方がない」と嘆きながら、宮殿で舞踏会を開き、一番美しい娘と結婚することにした。勿論、「一番美しい」といっても、小作民の娘が玉の輿に乗るわけではなく、貴族や有力者しか対象にならないのだろう。王子の家庭教師を務める哲学者のアリドーロ(Alidoro)が乞食に身をやつし、家族構成を記録した台帳を頼りに、適齢期の娘がいる家庭をまわって下調べをしている。

2017/09/26

サイの角の密輸最新トレンド ブレスレッドなどに加工

野生動物取引をモニターする世界的NGO「TRAFFIC」が今月、"PENDANTS, POWDER AND PATHWAYS:A rapid assessment of smuggling routes and techniques used in the illicit trade in African rhino horn"(ペンダント、粉、経路 ~アフリカサイの角の違法取引に使われる密輸経路と手口に関する概説)という報告書を発表した。



サイの角の密輸形態に変化があるという。

サイの角は国際取引が禁止されているから、産出国のアフリカ諸国から消費国のアジア諸国に送るには密輸しかない。これまでは、角の形のまま、うまく隠して送るのが一般だ。

サイの角 密輸経路 2016年‐2017年6月に把握されたもの(TRAFFICの報告書から)

しかし、サイの角はデカい。隠すのはなかなか大変である。

昨年マレーシアで押収され、記者会見の席に展示されたサイの角(The Citizen

これは電気コイルの中に隠した例。チェコの捜査官が見つけた。

TRAFFICの報告書から)

詰めやすいよう角を輪切りにし、いくつかのフライトに分けて持ち込んだ例もある。これは2015年7月26日と27日、モザンビークからの便で送られれ、香港で見つかり押収されたもの。2本の角をそれぞれ5つに輪切りしている。

2017/09/21

これは役立つ! 間違いやすい英語の言い回し

20年以上昔の話だが、ニューヨークの某語学学校で日本語と英語を教えていたことがあった。英語を日本人に、日本語をアメリカ人その他に教えていたのだ。

学校の事務員のキムさんは、日本語が流暢な韓国人。とてもいい人なのに、時々、心がグサッとくるような発言をする。「そんなこと、言う人じゃないのに・・・」と注意してみると、原因はちょっとした日本語の言い回しにあった。ほんの小さな言い回しのせいで、とても非人情に聞こえるのだ。勿論、本人は気がついていない。ネイティブ並みの流暢さのために、聞いている日本人も、まさか言い回しを間違っているとは気がつかない。知らないうちに、すごい損をしている。

アメリカの大学の英語教授法修士課程で、第2外国語習得のセオリーと、教え方のテクニックや実技を随分勉強したが、その時、外国語を話す上で、「正確さ」(accuracy)、「流暢さ」(fluency)、「適切さ」(appropriacy)の3つが大切であることを教わった。

実習で中級のクラスを教えた時、出身国の文化や伝統が会話能力に大きく影響していることに気がついた。日本人やタイ人の学生は、元々、授業で積極的に話すことに慣れていない。その上、文法的に正確な英語を話そうとするあまり、恐れて口を開かず、口を開いても小さい声でボソボソ。一方、コミュニケーションに長ける中南米の学生は、手振り身振り入りで、立て板に水のように流暢に話しまくるが、文法はめちゃめちゃ。うまくコントロールしないと、授業はラテンアメリカンに乗っ取られてしまう。

時間をかけて勉強すれば「正確さ」は身に付く。間違いを恐れずに場をこなせば、「流暢さ」は身に付く。体で覚えるしかないのが、「適切さ」である。状況に合った表現を使い、「文法的には正しいけど、普通、そうは言わない」という事態やとんでもない誤解を避けるためには、英語を沢山聞いて、沢山読んで、フィーリングを掴むしかないのである。

それでも、日本にいながら英語を体で覚えるのは至難の業。なにか良い教材はないかなと思っていたら、「Business Insider」に素晴らしい記事があった。日本人が間違って使いやすい、文法的には正しいが言いたいこととはかけ離れた英語表現を分析し、それではどう言うば良いのかが説明してある。

2017/09/17

どうやって消せばいいの? フォトショップの助けを求めたらミームの嵐

「親友のお姉さんが婚約直後に撮った写真を永久保存したがってるんだけど、後ろの男が邪魔。どうやってフォトショップで削除したらいいのかわからない! 誰か助けて!」

・・・というようなメッセージをソーシャルネットワークサイト「Rising Tide Society」に載せたアシュリーさん。



ミーム(Meme)がこれほど流行っている中、ソーシャルメディアでこんなお願いをするの無謀じゃないかな・・・?

案の定、来たわ、来たわ・・・。

出来の良い作品をいくつかご紹介する。


2017/09/14

アフリカのマジックリアリズム 『ヤマアラシの回想録』

ヤマアラシがペンを握り、月明かりの中で執筆をしている。机の上にはインク壺。「博識、俗悪なユーモア、効果的な言葉遣いの、眩暈(めまい)がするような取り合わせ」という英『ファイナンシャル・タイムズ』(Financial Times)紙の評。(これ、褒めてるのかなあ。きっと、褒めてるんだろうなあ。)

題名は『ヤマアラシの回想録』(Mémoires de porc-épic)。私が手にしているのは、その英訳Memoirs of A Porcupine


かなり好奇心をそそられる。どんな内容なんだろう。本当にヤマアラシが回想録を執筆しているのか。それとも、着ぐるみを着た人間なんだろうか。村上春樹の羊男みたいな。。。ヤマアラシの皮はコビトが着るにしても小さすぎるけど、着ぐるみなら。。。子供向の本だろうか、ファンタジーだろうか、カフカの『変身』風純文学だろうか、倒錯した大人の物語だろうか。少なくとも、ありきたりの本でないことは確か。

表紙をめくると、著者の簡単な経歴があった。

アラン・マバンク(Alain Mabanckou)は1966年、コンゴに生まれた。現在ロサンゼルスに在住し、UCLAで文学を教える。『青・白・赤』(Bleu-Blanc-Rouge)で「サハラ以南アフリカ文学賞」(Subsaharan African Literature Prize)、『ヤマアラシの回想録』で「ルノドー賞」(Prix Renaudot)受賞。

コンゴには元ベルギー領の「コンゴ民主共和国」(首都キンサシャ)と元フランス領の「コンゴ共和国」(首都ブラザヴィル)のふたつあるが、マバンク氏の出身は後者。


緑がマバンク氏を生んだコンゴ共和国。赤がコンゴ民主共和国(元ザイール)。

ルノドー賞」といえば、ゴンクール賞」((Prix Goncourt)などと並んで、フランスで最も権威のある文学賞のひとつだ。

小説はこう始まる。

そう、僕はただの動物だ。人間だったら、バカで手に負えない動物、って言うところだろう。尤も、僕に言わせれば、人間の殆どはどんな動物よりバカで手に負えないけど。でも、人間にとって、僕はただのヤマアラシ。そして、人間は目に見えることしか信じないから、僕が特別だとは思わない。長くて尖ったハリに覆われ、猟犬ほど早く走れず、餌を食べている畑から動くこともしない怠け者の、あの哺乳動物の一匹に過ぎない。

やっぱり、着ぐるみじゃなく、本物のヤマアラシが主人公だったんだ。

2017/09/11

世界で最もストレスが大きい国は? ブルームバーグのランキング

アメリカの金融メディア企業「ブルームバーグ」(Bloomberg)は公表されている統計資料を駆使して順位をつけるのが大好きだが、そのひとつに世界各国のストレス度ランキングがある。

考慮しているのは以下の7項目。

  • 人口10万人当たりの殺人率
  • 一人当たりのGDP(購買力調整済)
  • 所得の不平等度(ジニ係数)
  • 汚職の認識度
  • 失業率
  • 都市の大気汚染
  • 平均寿命

まず項目ごとに点数をつける。たとえば、殺人率が一番低い国は0点、一番高い国は100点。残りの国には相対的な点数がつけられる。そして、7項目の点数を合計し、7で割った値をストレス度とみなす。


そうやって得られた値が正しいストレス度を表すかどうかには疑問がある。この7項目がストレスを測る上での適正な尺度であるかどうか、また、この7項目に均等な重要度を与えるべきかどうか、異論があることだろう。

そもそも何をストレスと感じるかは、個人によって随分違う。ひとりの人にとって耐えられないストレスになることが、別の人には全然気にならないかもしれない。それどころが、俄然やる気を起こさせる「元気の元」になる可能性だってあり得る。

2017/09/07

誘拐犯に間違われリンチ殺人 群集心理の恐ろしさ

9月5日(火)の夕方。クワズルナタール州パインタウン(Pinetown)でのこと。ブキサ・ケレ(Bukisa Cele)さんは乗り合いタクシーのターミナルに、学校帰りの息子(11歳)を車で迎えに行った。会社の同僚であり、親友でもあるムルンギシ・ンクマロ(Mlungisi Nxumalo)さんも一緒だ。

息子が「お腹空いた」という。ブキサさんはムルンギシさんに息子の世話を頼み、おやつを買うため車から降りた。その途端、息子が泣き叫び始めた。精神に障害がある子供で、これまでもこんなことがよくあったという。

ところが、「誘拐だ!」という噂があっという間に群集に広まってしまう。怒り狂った群集は車の窓を割り、車を横倒しにし、ムルンギシさんに襲いかかった。一瞬車を離れただけのブキサさんの目の前で、信じられない光景が繰り広げられる。ムルンギシさんを殴る蹴るする群集を前にして、ブキサさんには手の出しようもない。

2017/09/04

口座に間違って大金が振り込まれた女子学生 ラッキー!と使い込み

ある日突然、自分の口座に1200万円振り込まれていることに気が付いたらどうしますか? どこから振り込まれたか、そして何らかの間違いであることを知っていたら・・・?

殆どの日本人は振り込んだ人に教えてあげるだろうなあ。。。

実は、「もしも」の話ではなく、南アフリカで実際に起こったこと。

舞台はイーストロンドン(East London)のウォルター・シスル大学(Walter Sisulu University)。2年生のシボンギレ・マニ(Shibongile Mani)は会計学を専攻する27歳。国の奨学金制度NSFAS(National Student Financial Aid Scheme)から月1400ランドの援助を受けている。

NSFASの奨学金でカバーされるのは学費、家賃、食費、本代、交通費だ。NSFASは奨学生ひとりひとりに口座を設け、カードを発行する。学生はそのカードを使って本と食料を買うことになっている。

今年6月1日、シボンギレのNSFAS口座にいつもの1400ランドではなく、1410万ランドが振り込まれた。1万倍の金額!

シボンギレはどうしただろうか? 即座にNSFASに間違いを通報? それとも、しばらく悩んでからNSFASに報告?

いやいや、「ラッキー!!」とばかりに、早速贅沢三昧の生活を始めたのだ。

2017/08/31

復活! ジョハネバーグ交響楽団

2012年に解散の危機を迎えたジョハネスバーグ交響楽団(JPO: Johannesburg Philharmonic Orchestra)。(存続の危機 ジョハネバーグ交響楽団

解散はなんとか免れたものの、2013年はわずか2シーズン(前年までは4シーズン)。そして、とうとう、「ビジネス・レスキュー」(business rescue)、即ち、日本の会社更生法・民事再建法のようなもののお世話になることになった。

シーズンは取りやめ、1年に片手で数えられるほどの単発公演のみ。フルタイムの音楽家たちは意気の上でも、財布の上でも、さぞかし辛かっただろう。

その後、2015年CEOに就任したボンガニ・テンベ(Bongani Tembe)の元で改革に取り組み、苦節の甲斐あって借金をすべて返済。2017年8月に新しい理事会、新しいロゴ、新しいドナーの元で活動を再開した。

2017/08/28

「人肉を食べるのに飽き飽きした」 男が警察に自首

8月18日(金)夕方6時ごろ、クワルズナタール州エスコート警察署にひとりの男がやってきた。吐き気がするような臭いをプンプンさせて。(エスコートはダーバンの北西175キロに位置する町。)

男は地元住民のニコ・ムバタ(Nico Mbatha)。「人肉を食べるのに飽き飽きした」という。

半信半疑の警官たちの前で、ムバタは手に持っていた袋を開けた。中には人間の手と足! 悪臭はここから発していたのだ。その場から思わず逃げ出した警官たちもいたという。

人肉を食べることを強要されるのにうんざりしている。なんとか抜け出したいから、警察に通報しに来た」というムバタ。「被害者をレイプし、殺してから食べた」と主張する。

エスコート警察署

ムバタが警察官たちを連れて行った家では、鍋の中に入った耳が8つ見つかった。少なくとも4人が食べられてしまった計算になる。

2017/08/23

「聖なる」サルは、とんだイタズラもの バリ島

聖なるサルの森保護区」(Sacred Monkey Forest Sanctuary)という英語名に惹かれ、バリ島の「モンキーフォレスト」に行ってみた。正式な名称は「Mandala Wisata Wanara Wana」。所有・管理するのは、地元のパンダンテガル(Pandangtegal)村。

聖なるサルの森」なんて、動物大好き人間の心をくすぐるような響きだ。「保護区」に当たる「サンクチュアリー」(sanctuary)は、元々「神聖な場所」「聖域」を意味する。敷地内には聖なる(holy)お寺が3つあるという。「sacred」「sanctuary」「holy」と、「神聖」のオンパレードである。

地元の人々が神聖なものとして崇めて来たサルが、今はその数も減り、原始林にひっそり暮らしているのだろう・・・と勝手な想像を巡らす。

私の頭にあったのは、ウガンダのチンパンジー保護区のイメージ。レンジャーに連れられ、小数グループで、昼間も暗い、うっそうとしたジャングルに入る。チンパンジーとの遭遇を期待するが、会えるとは限らない。ラッキーにもチンパンジーに巡り合えたら、声を殺してそっと観察する。野生の邪魔をしてはならないのだ。

しかし・・・、人里から離れたジャングルと思い込んでいたが、ウブドの町のすぐそばじゃん。しかも、立派な駐車場。入口では、おばさんがバナナを売っている。サルにやるためだという。

え・・・? 野生動物にエサをやってはいけないのは、常識じゃないの・・・? 野生動物の生活に介入したり、ジャンクフードを与えることで食生活を乱してしまうことも問題だが、賢いサルの場合、「盗賊ザル」「暴力ザル」を生み出す原因にもなる。宮島のサルでも、ケープ半島のヒヒでも、「餌をやらないでください」とはっきり書いてあるはず・・・。

2017/08/20

強盗に遭った白人農家に思わぬ救いの手

南アフリカ共和国ムプマランガ州で農業を営むアフリカーナ、クアシー・ファンデルメルヴァ(Kosie van der Merwe)さんは8月10日の午後、ヴィットバンク(Witbank)の空港に向かっていた。空港でパイロットの試験を受けることになっていたのだ。

窓を開けたまま運転していたのは、真っ赤なピックアップトラック「トヨタ・ハイラックス」(Toyota Hilux)。赤信号で停車する。男がひとり近づいて来たかと思うと、いきなりナイフを突きつけて携帯電話を要求! おとなしく携帯電話「サムソンS8」を渡す。男は野原を走って逃げた。

しばらく車で追いかけたクアシーさんだが、男が道路を横切って、乗り合いタクシーのターミナルに逃げ込んだのを見て諦めた。乗り合いタクシーのターミナルにいるのは黒人だけ。「白人のオレが足を踏み入れても、トラブルに巻き込まれるのが関の山」と思ったのだ。

空港から家族に電話して、強盗に遭ったことを伝える。ところが、お父さん曰く、「お前の携帯電話は乗り合いタクシーのターミナルにあると、誰かから電話があったよ」。

クアシーさんは「罠に違いない」と思い、警察に届けることにした。道を聞くため途中で止まったとき、車が一台近づいてきた。乗客のひとりが言う。「携帯電話を探しているのか?」

2017/08/17

バリ島でハッシュ!

「バリ島でハッシュを初体験しちゃった!」

嬉々として報告する私に、英系南ア白人の親友が唖然、憤然、憮然。

「あなたがそんなことをするなんて思ってもみなかったわ!」

???

何故そんなにショックを受けるのか、皆目わからない。

ハッシュ」(hash)とは「ハッシュ・ハウス・ハリヤーズ」(Hash House Harriers)という世界的なランニング愛好団体が行うイベント。大英帝国がマレー半島に設立した「イギリス領マラヤ」(Federated Malay States)のセランゴール(Selangor)州で1938年に始まった。

イギリス人役人その他の現地に滞在する外国人が、週末の飲み過ぎによる二日酔いを吹き飛ばそうと、月曜日の夕方走り始めたのだ。月曜の朝は二日酔いがひどすぎて、運動どころではなかったのだろう。「毎週月曜日に開催」ということは、「毎週末酔いしれた」ということか。

2017/08/14

暴力社会の「ウーバー」 乗客も運転手も犯罪の被害者

世界70カ国の450都市以上で展開している「ウーバー」(Uber)。日本では、2014年8月より東京都内全域でタクシーの配車サービスを開始したものの、「自家用車による運送サービスは白タク行為に当たる」という国土交通省の判断により、2015年3月に業務を中止している。

一般人が自分の空き時間と自家用車を使って他人を運ぶ仕組みだが、南アフリカの都市、特に流しのタクシーがほぼないジョハネスバーグでは好評である。スマホのアプリを使って予約を入れると、ウーバーが顧客の近くにいる登録運転手に連絡する(各車両の位置はGPSで把握している)。顧客のスマホには、運転手の名前、車の種類と登録ナンバーが送られる。支払いはクレジットカードで後払いできるから、手持ちの現金がなくても平気だ。財布を忘れても、スマホさえあれば良いのだ。

ウーバーが大好きな友人・知人も結構いる。しかし、私は利用していない。大きな理由は、携帯電話でデータ通信をしていないこと。ケータイはショートメッセージと緊急電話以外には使わないことにしている。

もうひとつの理由は、友人のお姉さんが犯罪の被害に遭ったこと。

2017/08/09

名門ホテルまで「マンデラ」商売 ケープタウンのマウントネルソン

ケープタウンの名門ホテル「ベルモンド・マウントネルソン・ホテル」(Belmond Mount Nelson Hotel)がネルソン・マンデラの回顧録 Dare Not Linger:The Presidential Years 発売を記念したパッケージを売り出す。

マンデラの回顧録といえば、自伝『自由への長い道』(Long Walk to Freedom)が有名。1994年に発行され、これまでに1500万部売れたという。

Dare Not Linger は『自由への長い道』の続編にあたり、大統領時代の1994年から1999年までを扱っている。

マンデラは2013年に既に亡くなっているのに、なぜ今ごろ回想録を…?

2017/08/03

キャベツを散歩させる中国の若者たち

今月初め、「キャベツと散歩するのが中国で流行っている」というニュースを南アフリカのラジオ『クラシックFM』(Classic FM)で耳にした。散歩といえば「犬」、と相場が決まっていると思いきや、中国では友達のいない若者が「キャベツ」を連れて散歩に行くというのだ。

ホントかな~。。。

5月6日には、同じ内容のニュースが南アフリカでも大手の日刊紙『ザ・タイムズ』(The Times)に掲載された。オーストリアの英字新聞『オーストリアン・タイムズ』(Austrian Times)や『ハッフィントン・ポスト』(Huffington Post)でも紹介されたとか。映像付きのテレビ報道があれば、真偽がはっきりしただろうけど、我が家にはテレビがないのでチェックできない。まさかキャベツに首輪とか、引きひもはつけないだろうから、こんな感じだろうか・・・?


実名のインタビューによると、

「キャベツと散歩していると人が話しかけてくれて、お喋りの機会が出来る。」

キャベツと散歩している他の人と会話が生まれる。」

「キャベツは犬より良い。餌がいらないばかりでなく、公園で他のキャベツと喧嘩することがない。」

「キャベツと話すと心が安らぐ。」

「キャベツに思いのたけをぶちまけた後、そのキャベツを捨てることによって、すっきりする。」・・・

果ては、

「親より好き。キャベツは私のことをわかってくれる。」

という17歳の談話まで。

2017/07/31

医師によるマンデラ暴露本に許可を与えたのは元妻と娘?

ネルソン・マンデラ元大統領の晩年を描いた、元軍医総監ヴェジャイ・ラムラカン(Vejay Ramlakan)の暴露本が、グラサ・マシェル未亡人、マンデラ家の跡取りマンドラ、マンデラの遺言執行者などから非難を浴び、出版社が発売1週間で前代未聞の回収に踏み切ったことについては数日前にお伝えしたが(ネルソン・マンデラ晩年の暴露本 発売1週間で出版社が回収 )、2017年7月30日付けサンデー・タイムズ(Sunday Times)紙が興味深い情報を公開した。



サンデー・タイムズが入手したのは、ウィニー元夫人と娘マカジウェがラムラカンに宛てた自筆のメッセージ

南アで一番有名な絵画モデル、天寿を全う トレチコフ『中国人の少女』


1950年のケープタウン。モニカ・シン・リー (Monika Sing-Lee)さんはおじさんが経営する洗濯屋で働いていた。そこに入って来たカーリーヘアの男性。モニカさんに目が釘付けになる。

二人きりになった時、男性は言った。

「こんにちは。トレチコフという者です。あなたの絵を描きたいのですが。」

ウラジミール・トレチコフ(Vladimir Tretchikoff)という画家だった。

トレチコフは1913年12月26日、シベリアの、とある町で、8人兄弟の末っ子として生まれた。家庭は裕福だった。1917年のロシア革命時、トレチコフ一家はロシア移民が多かった中国のハルビンに逃れる。ハルビンで16歳まで学校に通い、また市内のロシアオペラハウスで風景画家として働く。絵は独学という。

上海の広告・出版会社で働いていた時、やはりロシア人移民の女性と恋に落ち結婚。ふたりはシンガポールに移る。太平洋戦争勃発後は、英情報省のプロパガンダアーチストとして働いた。

1942年2月、乗っていた南アフリカ行きの脱出船が日本軍に爆破される。生き残った42人がボートを漕いで辿り着いたスマトラは、既に日本軍に占拠されていた。そこから19日かけて、更にジャワまでボートを漕ぐ。しかし、ジャワも日本軍の手に落ちており、トレチコフは捕虜となった。3か月間独房に収容されたものの、「ロシア人だから釈放されるべき」と主張し釈放され、戦争が終わるまでバタビア(現在のジャカルタ)で日本人アーチストの元で働く。

2017/07/28

ネルソン・マンデラ晩年の暴露本 発売1週間で出版社が回収

ネルソン・マンデラが亡くなって3年半。「マンデラ」のブランド力は増すばかりだ。

アマゾンでマンデラを題材にした塗り絵本が約1万7千400ランド(現在の為替レートで約15万円)で売り出されているという。メアリー・ベンソン(Mary Benson)のマンデラの伝記は約6万ランド(約51万円)、マンデラのサイン入り自伝 Long Walk to Freedom (邦訳は『自由への長い道』)は約5万ランド(約42万7千円)。

そんな中、マンデラの晩年を描いた暴露本が出版された。題して、Mandela's Last Years: The true story of Nelson Mandela's final journey, by the head of his medical team (マンデラの晩年:医療チーム長が見たネルソン・マンデラ最後の旅の実話)。著者は元軍医総監のヴェジャイ・ラムラカン(Vejay Ramlakan)。



軍医総監(surgeon general)とは国軍で最高位の医者。元大統領の健康管理は国軍の仕事であり、ラムラカンはマディバの医療チームの長だった。衰弱したマディバの状況を知り尽くしていた数少ない人物のひとりだ。

2017/07/25

映画『The Promise』(ザ・プロミス~約束) 美しくて悲しすぎる一大歴史ドラマ



The Promise 
2016年

監督 
テリー・ジョージ(Terry George)

主演 
オスカー・アイザック(Oscar Isaac)
シャーロッテ・ルボン(Charlotte Le Bon)
クリスチャン・ベイル(Christian Bale) 

🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼

「20世紀初頭のトルコを舞台にした映画」程度の認識だけで映画館に入った。トルコは好きな国だし、主演のオスカー・アイザックは『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』(A Most Violent Year)の演技が素晴らしかった、個人的に注目している役者だし、クリスチャン・ベイルはまだ12歳くらいだった『太陽の帝国』(Empire of the Sun)以来、幅広く徹底した役作りに脱帽していた役者だし、監督は『父の祈りを』(In the Name of the Father)の脚本、『ホテル・ルワンダ』(Hotel Rwanda)の監督を担当したテリー・ジョージだし、見る価値はあると思ったのだ。

そして・・・見てよかった! 感動のあまり、後半は泣き通しだった。。。

イングリッシュ・ペイシェント』(English Patient)を彷彿とさせる、一大歴史ドラマ。歴史に翻弄されながらも、愛と信念に忠実に、一生懸命生きる3人の主人公はいずれも魅力的。IMDb(インターネット・ムービー・データベース)で10点満点をつけてしまった。なによりも心にズキっときたのは、ベースとなっている史実だ。

2017/07/19

ディズニーの秘密コード 「A113」

ディズニー映画のファンでも、恐らく見逃している秘密のコードがある。

A113だ。

トイ・ストーリー」(Toy Story)でも・・・


2017/07/17

ルイボス茶で糖尿病の愛犬を治療 中学生が理科の学習プロジェクトで

ラブラドル犬のジェシー(9歳)がめっきり痩せた。家具にぶつかる。大量の水を飲むようになった。眠くて仕方がないようだ。獣医に連れて行く。糖尿病という診断。

インシュリンを注射し、特別な食餌療法を行う。その費用、ひと月に約2万円。飼い主のキャロライン・ルール(Caroline Rule)さんにとって、バカにできない出費だ。そんなある日、キャロラインさんと娘のザリア(Zaria)さんは、ラジオで興味深い話を耳にする。

糖尿病にロイボス茶がよいという。

日本ではなぜか「ルイボス」と呼ばれてるが、南アフリカでは「ロイボス」(rooibos)と発音する。アフリカーンス語で「赤い灌木」という意味だ。南アフリカ共和国西ケープ州のシーダーバーグ(Cederberg)山脈のみに自生する植物である。

ロイボスの収穫

現地のコイサン族は昔から、乾燥させたロイボスの葉をお茶として飲んでいた。これに目をつけたのが、ヨーロッパからの入植者。ヨーロッパから輸入するしかなかった高価な紅茶の代用品としたのだ。

2017/07/13

室内楽のイメージを打ち破るドイツの美女カルテット「サルートサロン」(Salut Salon)

室内楽(chamber music)というと、宮廷の応接室など(chamber)でオスマシして優雅に奏でる優等生的なイメージがあるが、ドイツの女性カルテット「サルートサロン」(Salut Salon)は押さえきれないエネルギーがほとばしり出る豪快さと、女性らしい繊細さと、ヴィジュアル的な麗しさを併せ持つ、ゴキゲンなグループ。楽しくて、ひたすらカッコいい。

まずはこちらをご覧ください。


2017/07/10

各国で一番値段を知りたいものは? アメリカは「特許」、オーストラリアは「体外受精」、日本はなぜか「スイカ」

アメリカのFixr(フィクサー)社が面白い地図を作成している。「世界各国で、一番値段が気になるものはなにか」を表わした地図だ。



まともに調査したのでは、予算と時間がかかって仕方がない。もともと冗談半分のリサーチである。フィクサーではグーグルのオートコンプリート機能を利用することにした。

グーグル検索で言葉やフレーズを入力すると、勝手にいくつも予測が出て来る、アレである。

フィクサーが使ったフォーマットは「how much does a * cost in (country name)」。「(国名)で*はいくらするか」と入力すると、過去の同じような質問を基にして、*部分に予測が表示される。最初に出てきたのが、これまで一番多かった結果だろうということで、世界各国の国名を入力し、結果を地図にまとめた。

2017/07/06

フィンランド語で「犬」を何というか

日本語には冠詞も、単数と複数の区別もないから、「犬」は「犬」である。なんと楽なことか! しかし、冠詞複数単数の区別、格変化などがある言語では「犬」が「犬」で済まない。

その良い例が、この漫画。(元ネタはimgru.com

イギリススウェーデンが立ち話(?)をしている。

イギリスが何故か突然、「a dog」「the dog」「two dogs」と言い出す。「犬が一匹」、「その犬」(単数)、「犬が二匹」(複数)というわけだ。英語には不定冠詞の「a」、定冠詞の「the」、複数形を表す「-s」があるため、この3通りが可能である。(「the dogs」を入れると4通りだが、この漫画には含まれていない。)

スウェーデンが応える。スウェーデン語だと、同じことが4通りの言い方で表現できる。

そこに現れたのが、ドイツ。ドイツ語の名詞は格変化する。主格、属格、与格、対格の4つあるので、「犬」はもっと多くの言い方で表すことができる。

「おもしろそうじゃん!」と顔を出したのが、フィンランド。さて、なにが起こるか。下をご覧ください。

2017/06/30

白ワインの意外な真実 糖分が赤ワインの10倍!など

アルコールの摂取量の目安として、「ユニット」(unit)という言葉が良く使われる。100%アルコール10mlのことだ。イギリスの国民保健サービス(NHS)は、1週間のアルコール摂取量を14ユニット以内に留めるよう推奨している。1ユニットはビール(アルコール含有量4%の場合)250ml、ウィスキー(40%)25ml、ワイン(13%)76mlに相当する。

アルコール1ユニットはこのくらいの量(Drinkaware


別の見方をすると、330ml入りのビール1瓶は1.6ユニット、中サイズ(175ml)のワイン1杯は2.3ユニット。

これは何ユニット?(Drinkaware


日本酒(15%)は67mlが1ユニット。カップ酒5杯程度で14ユニットになる。

2017/06/22

ナショナルシアターライブ 『ウォーホース~戦火の馬~』(War Horse)

METライブビューイング」(Metropolitan Opera Live in HD)のおかげで、ニューヨークのメトロポリタンオペラの公演がアフリカにいながら観れるようになったが(「オペラも容姿の時代? METライブビューイング 」)、「ナショナルシアターライブ」(National Theatre Live)のおかげで、ロンドンの国立劇場の公演もアフリカにいながら観れるようになった。現在上映されているのは『ウォーホース~戦火の馬~』(War Horse)。

National Theatre Liveから)

原作はイギリス人作家マイケル・モーパーゴ(Michael Morpurgo)による同名の児童文学(1982年)。第1次世界大戦で離れ離れになったアルバート少年と馬のジョーイの物語を軸に、戦争の悲惨さと平和の大切さを描く。

第1次世界大戦では、英軍だけでなんと100万頭もの馬が「戦死」した。戦場はヨーロッパだから、海を越えて行ったわけである。多くはマシンガンや鉄条網に向かって突撃させられ命を失った。重労働の挙句、疲労困憊して死んだ馬もあった。幸運にも生き残った馬の殆どが肉屋に売られた。

2017/06/12

虐待から救出されたライオン、アフリカの「聖地」で密猟の犠牲に

2017年6月5日の朝、サヴァンナ・ハウザー(Savannah Heuser)さんと母親のミヌエット(Minuette)さんはいつも通りボランティア2人を連れて、ライオンの餌やりに出発した。ところが、普段なら首を長くして餌を待っているオスライオンのジョゼ(José)とリソ(Liso)の姿が見えない。呼んでもやって来ない。

不吉な予感。

あっ、数メートル離れたところに横たわっている2頭が見える。頭と足としっぽが切り取られた悲惨な姿で。。。

ライオンやトラなど大きな猫が大好きなサヴァンナさんは、弱冠16歳だった2012年、南アフリカのリンポポ州にハウザー家が所有する5000ヘクタールの土地に、大型猫のための聖地「エモヤ」(Emoya)を開設したサーカスや動物園などで虐待されてきたライオンたちに、アフリカの地で幸せな余生を送ってもらいたいという一念からだ。

サヴァンナ・ハウザーさん(Emoya Big Cat Sanctuary

最初にやって来たのは、カイロで救出されたライオン。2013年6月のことだ。保護する猫たちは3年間で8頭になった。あくまでも、虐待されていた猫たちに安息の地を与えることが目的だから、商売ではない。また、繁殖も行わない。メスには避妊薬を与えている。

2016年、サヴァンナさんとエモヤは、大きくニュースで取り上げられた。世界中で動物保護のロビー活動を展開する「アニマル・ディフェンダーズ・インターナショナル」(Animal Defenders International)が、コロンビアとペルーのサーカスから救出したライオン33頭の終の棲家として、エモヤを選んだのだ。

2017/06/07

グラビギャング ピンクのサリーと竹の棒で闘うインドの女性自衛団

エル・パイス』(El País)紙で「グラビギャング」(Gulabi Gang)という言葉を目にして、思わず手を止めた。昨年、南アフリカの「三大陸人権映画祭」(Tri Continental Human Rights Film Festival)で図らずも見逃してしまったドキュメンタリーの題名だったからだ。

グラビギャングはサンパット・パル・デヴィ(Sampat Pal Devi)さんが2006年に設立した女性の人権を守る団体。ピンク色(ヒンディー語で「グラビ」)のサリーを身にまとい、竹の棒で武装する。

(「グラビギャング」のHPから)

メンバーの殆どは貧しく教育のない、低いカースト出身の女性。1958年生まれのサンパットさん自身、貧しい家庭に育ち、学校に行かせてもらえなかった。どうしても勉強したくて、独学で読み書きを習った。その後、なんとか小学4年生まで学校に通わせてもらったものの、11歳か12歳で結婚させられ、最初の子供を15歳で生んだ5児の母。肝っ玉母さん的な活動家である。

インド、特に農村地帯では女性の地位がとても低い。夫のDV嫁殺しの被害に遭う女性が多くいる。グラビギャングはDV夫を竹で叩くなどして懲らしめるのだ。そして、「また奥さんを苛めたら、私たちがやってくるからね!」と脅す。1対1ではか弱い女も、集団になればパワーを発揮する。お蔭で、サンパットさんが住む村では女性の待遇が改善した。

2017/06/05

ドキュメンタリー映画『モガディシュ・ソルジャー』(Mogadishu Soldier) 出口の見えない内戦に身を置く平和維持部隊の兵士たち


エンカウンターズ国際ドキュメンタリー映画祭」(Encounters South African International Documentary Festival)。南アフリカで1999年から毎年開催されているドキュメンタリーの祭典だ。今年は6月1日から11日まで、ケープタウンとジョハネスバーグで約50作品が上映されている。

6月3日の土曜日、『モガディシュ・ソルジャー』(Mogadishu Soldier)を見に行った。2016年の作品。



モガディシュは東アフリカの「アフリカの角」(Horn of Africa)に位置するソマリア共和国の首都だ。

エチオピア、ケニアと国境を接するソマリアは、1980年代から内戦状態にある。1990年代半ばからイスラム原理主義グループが台頭し、2006年6月、とうとう首都モガディシュを占拠してしまう。同年12月にソマリア暫定政府軍とエチオピア軍が首都を奪回。しかし、内戦はまだ続いている。

2007年からはアフリカ連合(AU)が平和維持部隊を派遣している。現在の敵ナンバーワンはイスラム過激派の「アル・シャバーブ」(Al-Shabaab)だ。AU平和維持部隊、ソマリア政府軍、それにアル・シャバーブが首都モガディシュで睨み合っている中、ノルウェー人のドキュメンタリー映画監督がブルンジ人の平和維持部隊兵士2人にカメラを与えた。「これを使って1年間、自分が面白いと思うものを撮影してくれ」。

1年間に使ったテープ523本。それを編集したのがこの映画である。

2017/05/31

オペラも容姿の時代? METライブビューイング

ポスターを見てちょっと驚いた。これがオペラ歌手・・・?


カッコいいけど、この体格で声が出るの・・・?

・・・というのは、全くの懸念に終わった。

ヨナス・カウフマン(Jonas Kaufman)。今、人気絶頂のドイツ人テノールだ。演目はジュール・マスネ(Jules Massenet)の『ウェルテル』(Werther)。ゲーテの『若きウェルテルの悩み』をオペラ化したもの。

2017/05/29

すべてはミツバチのために 後ろ向きで走るマラソンランナー

来週の日曜日(6月4日)、今年度のコムレイズ(Comrades)が開催される。クワズルナタール州のダーバン/ピーターマリッツバーグ間の約89キロを走る、世界最古・最長のウルトラマラソンだ。参加できるのは2万人だけ。世界60か国以上から走者が集まる。

今年の参加者のひとりに、変わったスタイルで走る人がいる。コムレイズを走るのは今回で5回目という、ファライ・チノムウェ(Farai Chinomwe)さんだ。ファライさんは後ろ向きに走る。後ろ向きに走ることで、世間の注目を浴び、ミツバチに対する意識を高めることが参加の目的。優勝など目指していない。

ファライさん(storytelling.co.za


ファライさんの人生、人柄はまさに自然体

生まれたのはジンバブエの南東部の町、マスヴィンゴ(Masvingo)。自然に囲まれて育った。誰もが楽器を演奏する村だったという。

2000年にケープタウンに移り、ラスタファリアン(Rastafarian)になる。

カリブ海、特にジャマイカで、アフリカを帰還すべき約束の地と定め、エチオピアのハレ・セラシエ(Haile Selassie)皇帝を黒人の救世主として崇拝する宗教・政治的運動を「ラスタ主義」「ラスタファリアニズム」(Rastafarianism)という。ハイレ・セラシエの本名「ラス・タファリ」(Ras Tafari)からつけられた名称だ。

ラスタファリアンとはラスタ主義の信奉者のこと。マリファナの使用と、ドレッドロックス(長髪を縮らせて細かく束ねたヘアスタイル)と、レイドバックな生き方で知られる。

ドレッドロックスといえばボブ・マーリー

ファライさんの改宗の理由は、「けばけばしいライフスタイルとは関係ない生き方をしたかったから」。

2017/05/21

赤ちゃんなら誰でも知っている? 科学的手法

赤ちゃんなら誰でも知っている科学的手法・・・って?


そうか、赤ちゃんがなにげなくやっていることは、実は科学的な実験の手法に則ったことだったんだ!?!

幼い頃の「科学精神」を忘れて凡庸な大人に育つか、優れた科学者になるか、それとも、6番のいじわる傾向だけ助長してしまうか・・・人それぞれでしょうね。

🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼🔅🔽🔅🔼

✤この投稿は2014年4月9日付「ペンと絵筆のなせばなる日記」掲載記事を一部変更したものです。

【関連記事】
チョークの粉で口紅が取れる!?! 意外で簡単なシミ抜き方法 (2017年4月13日)
有名ブランド名の意外な由来 (2017年1月15日)
シャツのボタンの位置が男女で違うのはなぜ? (2016年11月30日)
ジャンケン必勝法 (2016年6月19日)
ホッチキスの謎 (2015年3月30日)
子供の取り違え 先祖の意見は? (2015年3月38日)
子供1人のお値段25ドル アフリカの人身売買 (2015年3月7日)
子供は養子に出すより捨てた方がいい 祖先崇拝に基づくアフリカ流論理 (2014年5月12日)

2017/05/18

遺伝交配で蘇ったクアハ 絶滅種を再び地上に

1883年8月12日、アムステルダム動物園でクアハ(quagga)のメスが死亡した。その3年後の1886年、南アフリカはクアハの狩猟を禁止する。しかし、誰も気がついていなかったのだけど、実は既に、世界のどこにもクアハは生存していなかった。つまり、1883年8月12日をもって、クアハは絶滅してしまったのである。

クアハ。体の前半分がシマウマ、後ろ半分と足がロバのような動物だ。

在りし日のクアハ(Cool Green Science

世界中に残っているクアハの皮は23体だけ。しかも、結構個体差がある。野生で生きるクアハを研究した者はいない。

2017/05/09

イラストが可愛い!「タリンで遭遇するかもしれない11タイプの外国人」

タリン(Tallinn)はエストニア共和国の首都。エストニアはバルト海の東岸に位置し、フィンランド湾を挟んで、フィンランドのお向かい。東はロシア、南はラトビアと国境を接する。ラトビア、リトアニアと併せて、バルト三国と呼ばれる。

外務省

「タリン」はエストニア語で「デンマーク人の城」を意味するという。13世紀にデンマーク王が築いた「トームペア城」のことだ。旧市街はユネスコ世界遺産に指定された観光地である。

トームペア城(Wikipedia

タリンのツアー業者「Tallin Traveller Tours」のウェブサイトで、「タリンで遭遇するかもしれない11タイプの外国人」(11 Types of Foreigners You Might Encounter in Tallinn)という記事を見つけた。とにかく、イラストが可愛い。早速、記事を書いたマート・ヴィルカス(Mart Virkus)さんに連絡を取って、記事とイラストの紹介許可を貰った。(イラストもマートさん。)

2017/04/11

ギャングから華麗な転身 地球と地域社会を大切にするエコビジネスマンへ

私腹を肥やすことにしか興味がなく、国の舵取りをする能力ゼロ、国民をないがしろにして権力にしがみつく大統領。大統領を頂点とした権力者とのコネにすがって、やはり私腹を肥やすことにしか関心がない、政治家、公務員、企業人、私人。。。政治、経済、教育、基本的公共サービス、社会制度のどれをとっても、悪化の一途。ついに南アフリカの信用格付けが「ジャンク」(junk)、つまり「ゴミ」「ガラクタ」並みに落とされてしまった。

このところ情けないニュースばかりで、なかなかブログを書く気になれなかったが、久しぶりに元気になる話を耳にした。

麻薬中毒のギャングが立ち直り、環境に優しい洗剤などの製造販売会社を設立したという。

2017/03/04

フォードクーガ 約50台が炎上したのに、お粗末な対応

フォードクーガ」(Ford Kuga)を日本語でグーグルしてみた。「低燃費なのにパワフル!」「走破性能や疲労度の少ないシートなど、高い実用性」「俊敏な走りは大きな魅力」・・・。

いいことばかりだなあ。南アフリカでは売れない車なのに。なにしろ、2015年以来、南アフリカ、スワジランド、ボツワナの3か国で、約50台もが走行中にいきなり火を噴いてしまっているのだ。今では「フォードクーガ」という名前だけで新車、中古車とも買い手がつかない。

炎上するクーガ(BBC News

2015年9月のある日、ショーン・トンプソン(Sean Thompson)さんは愛車のクーガを車庫に入れた。その夜、トンプソンさんにトラッキング会社から電話がある。トンプソンさんの車のバッテリーが上がりかけているから様子を見た方が良いという。エンジンを切ったはずなのに・・・。怪訝に思って車庫に行くと、なんと!車が燃えていた。そして、ドアが開かない!

翌日、クーガをフォードに持って行く。フォードは「前回の定期整備を行ったのはうちじゃない」と責任を取ることを拒否。保険会社も「フォードの整備がいい加減」と支払いを拒否。トンプソンさんは修理に約30万円払うはめになる。

整備工曰く、「エンジンが切ってあるのに、電気系統がまだ動いている」。トンプソンさんは直ちにフォードにメールで連絡。「誰かが死ぬことになるかもしれない」から、「他のオーナーに警告しクーガの電気系統をチェックした方がよい」と勧める。フォードから返事はなかった。

2017/01/21

人種差別と親切心 軽トラの荷台で檻に入った黒人女性の写真がソーシャルメディアで炎上

軽トラックの荷台に座る女性。檻の中にいるようだ。

Denise Rens/Oos-Kaap Plaaswerkers Opstand/Facebook (TimesLive)

東ケープ州クラドック(Cradock)近くで撮影されたこの写真を、農場労働者の団体が1月19日フェイスブックに投稿し、ソーシャルメディア上で大反響が起こった。日本では「炎上」というのだろうか。

「黒人女性を家畜のように檻に閉じ込め、トラックの荷台に載せて運ぶなんて、運転手はレイシスト(人種差別主義者)の白人に違いない」という思い込みから、南アフリカのフェイスブックやツイッターなどで怒りの投稿、コメントの嵐が吹き荒れたのだ。

2017/01/10

メイドからセレブシェフに 人生を変えたリアリティTV

3か月前キム・カーダシアン(Kim Kardashian)に銃を突きつけ、強盗を働いた容疑者のうち16名が逮捕されたとのニュースを先ほどCNNで見た。(我が家にはテレビがないので、テレビのニュースはユーテューブで見ている。)事件が起きた時は格別注意を払わなかったのだけど、今日のニュースによると、奪われたのは900万ユーロ相当の宝石! 11億円相当以上の宝石を身に着けていたわけだ。

有名であることで有名な、リアリティTVのスター、キム・カーダシアンの2015年度の所得は5250万ドル(約60億円)。ツイッター、フェイスブックなどソーシャルメディアのフォロワーは数千万人に上るという。何の才能もなさそうに見えるカーダシアン一家だが、TVとソーシャルメディアを最大限に利用して大金を儲けているのだから、大衆の欲するところを嗅ぎ分ける、類まれなる才覚があるといえる。

リアリティTV、特にタレント発掘のコンテスト形式の番組は、才能はあるがコネも資力ものない無名の人が一躍有名になる機会を与えてくれる。『ブリテンズ・ゴット・タレント』(Britains Got Talent)で人生が変わった歌手スーザン・ボイル(Susan Boyle)はその好例であろう。



最近の南アフリカでは、シポカジ・ムドラコモ(Siphokazi Mdlakomo)さんがいる。ケープタウンで住み込みのメイドをしていた2014年、『マスターシェフ 南アフリカ』(MasterChef South Africa)に出場。ダイナミックな人柄と、逆境に負けず人生に挑戦するメイドというキャラが受け、第2位の栄冠を勝ち取り、賞金10万ランド(約85万円)を手にした。39歳だった。

前列中央の小さい女性がシポさん(Mail Online

シポさんは東ケープ州の寒村で生まれ育ち、21歳の時、仕事を求めて大都市ケープタウンにやってきた。手に職がない多くの黒人女性同様、メイドになる。料理は働きながら身につけた。