2012/12/30

サイのツノの新しい効用? 「二日酔い」の薬用に密猟

パンダのロゴで知られるWWF(World Wide Fund for Nature:世界自然保護基金)が野生動植物の不正取引に関する、何ともやるせない報告書を発表した。

アジアでの需要増加が、アフリカでの密猟増加に直結しているというのだ。アジア人の虚栄心や迷信や流行のために、数多くのサイやゾウが命を落としているというのである。

南アフリカでは2007年以来、サイの密猟が3000%も増加した。サイのツノと言えば、古くは「媚薬」。「ガンに効く」という迷信もはびこっている。最近は、「二日酔い」の薬として使うことが金持ちアジア人の「ステイタスシンボル」となっているらしい。

ワシントン条約付属書Iに含まれ、商業目的のための国際取引が全面的に禁止されているサイ。そのツノを買える、というのはステイタスシンボルになるのだろう。

サイのツノは爪と同じ成分だから、勿論効果なし。金持ちが暴飲したために殺されてしまうのでは、サイも浮かばれまい。

また、昨年一年で少なくとも2500頭のアフリカ象が殺されたのは、象牙製の小間物が中国人の間で流行していることが一役買っている。中国人の購買力の増加とアフリカ象の密猟には、緊密な相関関係があるという。

2012/12/11

マヤの終末予言 南アフリカは安全?

2012年12月21日に、「終末」が訪れるそうである。「終末」というからには、核世界戦争が起きるとか、天地がひっくり返るような地殻変動があるとか、氷河期に突入してしまうとか、大きな彗星がぶつかって地球が軌道からはずれるとか、宇宙人が攻めて来るとか、少なくとも人類は絶滅するのであろう。

ところが、南アフリカにいれば安全、と唱える予言者がいる。

「終末後の新世界構築の責任者」を自負するベルギー人、パトリック・ゲリル(Patrick Geryl)氏だ。2012年12月21日に、火山爆発、大地震、大津波が世界中で起こるが、ゲリル氏が用意した南アフリカの農場は安全という。避難場所として200ヘクタールの土地を購入し、過去5年にわたり、「南アフリカに避難しよう!」と人類を説得してきた。参加費約100万円。

2012/12/07

南アフリカ政府、読み書き算数の出来ない子供たちを大量生産

南アフリカの子供たちの殆どは、読み書きも算数も満足に出来ない。

全国2万校以上の学校で学ぶ、1年生から6年生及び9年生の7学年、計720万人を対象とした調査結果だ。12月3日、アンジー・モチェハ(Angie Motshekga)基礎教育相が発表したもの。(南アフリカの初等中等教育は、1年生から12年生まで。)

1年生と2年生の成績はそれほど悪くないが、3年生から点数が下がる一途という。

3年生の場合、読み書きの平均点は100点満点で52点。去年の35点より大幅に上昇している。しかし、去年の調査は2月、今年は9月。小学3年生の読み書き能力を測定するのに、この7か月の差は大きい。また、第一言語の読み書きで70点以上取れたのは、全体の24%しかいなかった。

3年生の算数は平均点41点。昨年の28点から大幅上昇だが、これも読み書きと同じ理由で手放しに喜べない。80点以上は全体の僅か4.4%。25点以下が31.7%もいた。

6年生になると、読み書きの平均点36点(去年は28点)。算数の平均点は27点。昨年の30点から後退している。算数で80点以上は0.8%、25点以下が66%とかなり悲惨な状態。

9年生は更にひどい。読み書きの平均点35点。算数の平均点は、なんと13点! 50点以上取れた9年生は、全体の2.3%。

目もあてられないのが、リンポポ州。算数で80点以上取った9年生が、ひとりもいない!!! 50点以上ですら、0.5%にも満たなかった。

南アの子供たちが数学を苦手としていることは、世界経済フォーラム(World Economic Forum)の最新調査でも実証済み。参加62か国中最下位だった。

2012/11/27

存続の危機 ジョハネバーグ交響楽団

11月15日、ジョハネスバーグ交響楽団(Johannesburg Philharmonic Orchestra)、通称JPOの、今年最後の公演。曲目はグリンカの「リュスランとルドミラ序曲」、サンサーンス「ピアノ協奏曲第2番」、それにドボルジャークの「交響曲第9番『新世界より』」。

演奏前に、副チェアマン(Deputy Chairman)のスティーヴン・ジューリシッチ(Stephen Jurisich)氏がステージに上がる。「忘れないで携帯電話を切ってくれ」とか「ライトをつけっ放しの車がある」とかいったお知らせを毎回ユーモアたっぷりに行なうスティーヴン、今日はなんだか神妙な面持ちだ。

「JPOに関して、最近、色々な噂が流れていますが、事実を伝えたい。確かに、財政困難ではあります。しかし、破産したというのは本当ではありません。」

とはいっても、状況は厳しい。ミュージシャンへの給料支払いが滞っている。8月分は75%が支払われたのみ。9月分、10月分にいたっては、ゼロ。住宅ローンが払えなくなったメンバーもいる。。。

生活苦などにより参加できるミュージシャンが減る中、次世代の音楽家を育てる「JPOアカデミー」(JPO Academy)のメンバーや、別のオーケストラのメンバーが今日の演奏のために駆けつけてくれたという。

ミュージシャンが舞台に登場した。最近にしては珍しく、9割方埋まった会場から、大きな拍手が起こる。ひとりふたりと立ち上がり、あっという間に総立ち。今日が最後の演奏となるかもしれない。。。

2012/11/20

アフリカよ、ノルウェーを救え!

ラッパーの「ブリージーV」(Breezy V)は語る。

アフリカ人を団結させて、困っているノルウェーに救いの手を差し伸べようという運動を行っているんだ。

えっ? アフリカがノルウェーを救う?

「ノルウェーで何が起こっているか気がついていない人が多いけど、僕に言わせれば、寒いというのは貧困と同じくらいひどいことなんだ。日の光は人々に笑顔を与える。人間は飢えている人々を無視したりしない。だから、寒さに震えている人々を無視すべきじゃない。凍傷で死ぬ人だっているんだから。アフリカの皆さん、ノルウェーのためにひと肌脱ごうじゃないか。ストーブを集め、ノルウェーに送り、暖かさ、光、そして微笑みを広めようじゃないか。ラディエイドに協力してください。」

そして、音楽が始まり、複数のアフリカ人シンガーの歌声が重なる。。。

2012/11/14

映画『シュガーマンを探して』(Searching for Sugar Man)


映画館で何週間も上映されるのはハリウッドの大作。多くの国で、そう相場が決まっている。南アフリカでも事情は同じだ。

では、地味な、心温まるアートハウス作品が好きなお年寄りとか、英語以外の映画が見たい国際人とか、ドキュメンタリーに目がない知識人とか、インディー系に心惹かれる若者の行き場は・・・?

南アフリカの大手映画配給会社兼映画館チェーン「スターキネコー」(SterKinekor)がジョハネスバーグ、プレトリア、ケープタウン、ダーバンの4都市に計5軒を展開している、「シネマヌボー」(Cinema Nouveau)だ。

(ジョハネスバーグには、人種を問わずヒップでトレンディーな若者が集まる、インナーシティの活性化を狙った再開発地区「マボネン」(Maboneng)がある。ソーホーやウェストビレッジの雰囲気で、その中には南アアートシーンの先端を行く「アーツ・オン・メイン」(Arts on Main)や、インディー系映画館「バイオスコープ」(BioScope)があるが、インナーシティを怖がる、お年寄りや普通の会社員にはまだ行きにくいかも。全然怖くなくて、素敵&面白いところなんですが・・・。)

それでも、大抵の映画は2-4週間で打ち切り。人気のある作品でも、2週目からはガラガラ。最初から全然客が入らない作品も多い。

ところが、最近、上映開始後4週間経っても、「ソールドアウト」(売り切れ)が続出する映画が登場した。それも、人が集まりにくいドキュメンタリー。

2012/10/28

レディー・ガガの前座を断った南アバンド、新作ビデオでガガをケチョンケチョン

あなたが今売出し中の新人歌手だったら、そしてもし、あの、「レディー・ガガ」(Lady Gaga)に前座を頼まれたら・・・? 大感激? 光栄? プロモーションの絶好のチャンス? いずれにせよ、「断る」という選択肢はありえないかもしれない。
 
ところが、南アフリカのバンド「ディー・アントヴアルト」(Die Antwoord)は、「南アツアーで前座を務めて欲しい」というレディー・ガガの依頼を鼻にもかけなかった。レディー・ガガは「クールさがイマイチ」というのがその理由。

リーダーのニンジャ(Ninja)曰く、「自分たちだけで、新鮮で未来的な音楽とビデオを作り出してきた。自分たちだけで、世界一のライブを行ってきた。自分たちだけで、頑張ってツアーしてきた」。レディー・ガガの前座を務めては、その「クールさ」が台無しになってしまう、というのだ。

それどころか最新ミュージックビデオ「ファティー・ブーム・ブーム」(Fatty Boom Boom)で、レディー・ガガを散々コケにしている。

2012/09/26

「唐揚げ男」の「白人の愚痴」 ギターを抱えたユダヤ系コメディアン

金曜の夜、「唐揚げ男」の「白人の愚痴」に行ってきた。

「ディープ・フライド・マン」(Deep Fried Man)はユダヤ系コメディアン「ダニエル・フリードマン」(Daniel Friedman)の芸名。フリードマンを「マン」の前で区切ると、前半部分が「fry」(フライ)の過去分詞「fried」(フライド)と同じ綴りになる。

「fry」は「牡蠣フライ」の「フライ」ですね。フライパンに油を少量入れて焼いたのが「pan-fried」、炒めたのが「stir-fried」、そして油を大量に使って揚げたのが「deep-fried」。例えば、「stir-fried vegetables」は「野菜炒め」、「deep-fried vegetables」は「野菜の天ぷら」。

 かくして、「ディープ・フライド・マン」は「唐揚げ男」となる。

ショーの題名『ホワイト・ワイン』(White Whine)も凝っている。「white wine」と綴れば「白ワイン」。同じ発音だが「whine」となると、非建設的な愚痴をブツブツタラタラメソメソこぼすこと。

2012/09/20

美白クリームが黒人女性に大人気

「ブラック・イズ・ビューティフル」(Black is beautiful)と声高々に叫ばれたのは、アメリカ合衆国でのこと。南アフリカの黒人たちは、アジア人同様、白い肌に憧れるらしい。

知り合いのロバート君はシャンガーン族。黒人にしては色白で鼻の小さいP嬢と、色黒のN嬢に二股をかけていた。ふたりとも、ズールー族。P嬢は怠け者で、頭も悪そう。一方、N嬢は見るからに聡明で、優しく面倒見の良い性格。私から見ると、どちらも普通の顔。内面からにじみ出る知性のせいか、外見もN嬢の方が魅力的だと思った。

しかし、ロバート君が選んだのはP嬢。「Nはブスだから、友だちに笑われる。Pはバカだけど自慢でき、一緒に歩くと皆が振り返る」というのがその理由。全く男って・・・。

当然のことながら、美白クリームが人気だ。世界保健機関(WHO: World Health Organisation)によると、南アフリカ女性の35%、つまり3人に1人が、肌の色を白くするクリームを使っているという。それも、名のある化粧品会社の製品は安全性を気にするから、効果についても「本当に白くなっているのかしら? 気休めじゃあないの?」と思えるほどだが、南ア女性が使用するクリームは、目に見えて色が変わるものが多い。

勿論、危ない。白血病、肝臓ガン、腎臓ガン、腎臓病、不可逆的色素障害などを引き起こす、と問題になっている。目に見えて白くなり、且つ安全な成分があったら、日本の化粧品メーカーはこぞって売り出していることであろう。

2012/09/15

親友は身長2メートル 「キリン乗り」の特訓中

シャンドー・ラレンティ(Shandor Larentry)君(17歳)の親友は、マラ(Mara)とパーディ(Purdy)。マラはまだ生後3か月だが、身長2メートル。大人のパーディは、6メートルもある。

なにを隠そう、マラとパーディはキリンなのだ。2頭とも、赤ちゃんの時から、人間を親代わりに育った。

学校から帰ると、パーディが出迎えてくれる。名前を呼ぶとやってくる。犬みたいだ。

パーディの食事の世話は楽。自分で木の傍へ行って、ムシャムシャ葉っぱを食べる。

まだ赤ちゃんのマラは、そうはいかない。一日に卵の白味を12個分と、ミルクを12リットル与える。

シャンドー君は現在、マラに乗馬の特訓中。

2012/09/09

ハリウッド映画のボディダブルは、乳ガンのサバイバー

ハリウッド映画『ダーク・タイド』(Dark Tide)の劇場上映が始まった。主演は『Monster's Ball』(邦題『チョコレート』)でアカデミー賞主演女優賞を獲得した、ハリー・ベリー(Halle Berry)。

ハリー・ベリーが演じるのは、サメと心が通じるといわれるプロのダイバー、ケイト。自分の監督下のダイビングで同僚がサメに殺されて以来、海に戻れないでいる。しかし、収入がないのは辛い。銀行にボートを没収されるかもしれない事態に追い込まれた時、高い報酬をオファーされる。スリルを求める大金持ちが、サメのいる危険な海でダイビングしたいというのだ。。。

撮影場所はケープタウン近くのハンスベイ(Gansbaai)とハウトベイ(Hout Bay)。

水中のスタントウーマン、ハンリ・プリンスルー(Hanli Prinsloo)さんとダイビングシーンのボディダブル、エリーズ・フェルナンデス(Elise Fernndez)さんは、いずれも南ア人女性。

2012/09/05

スマホでエイズ検査 南アと韓国の共同プロジェクト

ソウルのクンミン大学(国民大学校;英称「Kookmin University」)の医用生体工学者(bioimedical engineer)チームが、プレトリア大学家庭医療学部と共同で、スマホでエイズ検査を行なうプロジェクトに取り組んでいる。

エイズが蔓延するアフリカの農村部は、エイズ検査が出来る都市部の施設から遠い。そこで、写真に撮った血液サンプルをスマホ上で分析しようというものだ。CD4値はもとより、免疫システムがどのくらい機能しているかまでわかるという。

既に、特殊な顕微鏡「スマートスコープ」(Smartscope)とスマホ用アプリの開発は終わった。来年、臨床試験を行う予定だ。

「スマートスコープ」は、大きさ1ミリの顕微鏡にライト(明かり)がついたもの。スマホのカメラ上にクリップで取り付ける。血液サンプルを顕微鏡を通してスマホで撮影し、それをスマホにインストールした特別なアプリで分析するだけだ。

臨床試験が成功すれば、HIV感染者数世界一(約600万人)の南アと、HIV感染率世界一(25%以上)のスワジランドで実際に使用する予定。

韓国、やるじゃん。今までアフリカでは影が薄かったが、さすが、サムソン「ギャラクシー」(Galaxy)を生んだ国!

(参考資料:2012年9月1日付「Saturday Star」など)

【関連記事】
エイズ治療薬から麻薬!?! エイズ患者を狙った強盗増加 (2010年11月29日)

2012/08/29

アフリカの大きさ

日本でも、欧米でも、「アフリカ」をひとくくりする傾向がある。

「アフリカって、行ってみたい国のひとつなの~」と言われたこともある。

違う~! 国じゃないの~!

アフリカは世界で2番目に大きな大陸(一番大きいのはアジア)。面積約3022万平方キロメートル。1884-85年のベルリン会議の原則にのっとり、列強が現地の事情を無視して、勝手に地図上で分割した「植民地」が、現在の国境の元になっており、57か国(うち国連加盟国54か国)に、10億人を超える人々が住んでいる。

話される言語数は2100以上。3000以上存在するという学者もいる。数多くの民族、文化が息づく大陸だ。

 
といっても、ピンとこないかもしれない。そんなあなたにぴったりの地図がこれ。名付けて、「アフリカの本当の大きさ」(The True Size of Africa)。



アメリカ合衆国、中国、インド、フランス、ドイツ、スペイン、ポルトガル、イタリア、スイス、ベルギー、オランダ、イギリス、日本、そして東欧諸国が、アフリカ大陸の中にうまい具合にぴったりと収まっている。(中国とインドは2分してある。)

2012/08/15

ビジネス化する海賊稼業 レターヘッドまで作成

世界に名高いソマリアの海賊。国際海事局(International Maritime Bureau)では、昨年1年間に世界経済に与えた損害70億ドル、せしめた身代金1億6000万ドルと推定している

ここまで規模が大きくなると、手順をシステム化しようというのは、当然の成り行きだろう。また、追いかけられて、捕まえられて、裁判に掛けられ、牢屋に入れられるどころか、「顧客」と「交渉」して「料金」を受け取っているのだから、海賊当人が「まっとうな商売」に関わっていると信じても不思議はないかもしれない。

例えば、某社の石油タンカーがハイジャックされた後、「パイレート・アクション・グループ」(Pirate Action Group)からオーナーと保険会社にレターヘッドを使った手紙が届いた。

「ご担当者様へ」(To Whom It May Concern)という書き出しの後は、「件名」。「企業/オーナー様、おめでとうございます」(Congratulations to the Company/Owner)とある。

2012/08/08

刑務所に戻るために、94歳の老女をレイプ 恩赦が裏目

ズマさん、なんてことをしてくれたんだ?

『ザ・タイムズ』紙の一面に、こんな見出しが躍った。


「ズマさん」とは、ジェイコブ・ズマ(Jacob Zuma)南アフリカ大統領のこと。大統領特別恩赦で釈放されたばかりの男が、クワズルナタール州の村で、94歳の老女をレイプしたのである。

男は30歳。子供の頃からの犯罪常習者。釈放された時は、強盗罪で6か月の実刑判決を受け、服役中だった。犯罪を犯しては逮捕され、刑務所に出入りを繰り返す男に長年困っていた祖母は、「6か月じゃなくて、終身刑を6つ宣告されたのなら良かったのに」と嘆く。

男が恩赦を受けることになった時、祖母は釈放書類に署名するのを拒否したという。それでも、男は釈放されてしまった。

男は刑務所に戻るために犯罪を犯した、と警察では見ている。家族に見放され、他に行くところがない男にとって、刑務所が唯一の「家」なのである。(しかし、刑務所に戻るためだったら、なにも老女をレイプする必要はなかったのに。。。)

2012/07/30

あなたは死んでいます!?! 運転免許更新に行ってビックリ

ロナルド・バーソロミュー(Ronald Bartholomew)さんは、運転免許の更新に行って腰を抜かした。「あなたは一年前に死亡しているから、免許更新は出来ません」と言われたのだ。80歳という高齢だが、まだピンピンしている。

ロナルドさんの運転免許は7月24日に失効した。それでも、運転を続けるという。しかし、警察に尋問されることを恐れて、高速道路や長距離運転は避けるつもりだ。

「だって、死人が運転してるなんて、どうやって説明したらいいんだ?

運転免許を更新するには、まず、内務省へ行って、死んでいないことを証明する必要がある。手続きに2か月もかかる上、料金約700円。

「私が犯した過ちではないのに、料金を払わなければならないとは!」 ロナルドさんは絶句する。

私の知り合いの中には、運転免許証に記載された生年月日が父親のものになっていた若者や、性別が「男性」になっていた女性がいるが、いずれも運転免許を発行する役所の事務的な手違い。

内務省の記録で死んでいるとなると、誰かが「死亡届」を出したのだろう。南アフリカの永住権や国籍を取得するために、外国人が内務省の職員にワイロを払って、南ア人と法律上、密かに結婚してしまうというのが一時よくあった。知らない間にナイジェリア人が夫になっていた、という女性に会ったことがある。今回のように死亡扱いにされたというのは、保険金目当ての犯罪絡みか?

ランドバーグ運転試験場のマネージャー、チャールズ・ファンデルヒアヴァール(Charles van der Heever)さんは否定する。老人が運転するのを心配して、家族が死亡届を出すことがタマにあるそうだ。ロナルドさんの場合も、家族の仕業だったことが調べでわかったという。

確かに80歳の老人が運転して事故に遭ったり、事故を起こしたりするのを家族が心配するのは理解できる。本人はしっかりしていると思っても、ハタからみると危なっかしいこともあるだろう。しかし、死亡届を出すとは余りにも過激・・・。

ある一定の年齢になったら、ちゃんと運転できることを証明するためにテストを受けさせるよう法律で定めるなど、他に手段がありそうなものだが。。。

大体、生きている人間の死亡届を出すのは、法律に触れないのだろうか。家族の愛情から生まれた行為でも、ロナルドさんの人権を無視してはいないだろうか。


(参考資料:2012年7月27日付「Northcliff Melville Times」)

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2012/07/15

海賊に誘拐された南ア人カップル 20ヶ月監禁される

「海賊」といえば、「大海原を舞台にした、男のロマン」。

ジョニー・デップ(Johnny Depp)が演じる『パイレーツ・オブ・カリビアン』(Pirates of Carribean)シリーズのジャック・スパロウ(Jack Sparrow)。『フック』(Hook)でピーターパンの敵役、フック船長を演じたのは、ダスティン・ホフマン(Dustin Hoffman)。古くは、エロール・フリン(Errol Flynn)の『海賊ブラッド』(Captain Blood)。。。



ハリウッド映画の海賊たちは、ヒーローでも、悪漢でも、常軌を外れたスケールの大きさを感じさせ、どこかすがすがしい。(「ヒゲ」と「化粧」と「カツラ」と「カブリモノ」は必須?)

勿論、彼らがスクリーンの中にいるから、私たちは平気で笑ったり、ドキドキしたりできるのだ。

ところが、ブルーノ・ペリツァーリ(Bruno Pelizzari)とデビー・カリツ(Debbie Calitz)は、本物に遭遇してしまった。それどころか、捕虜になり、20ヶ月も監禁されてしまった。。。

2012/07/10

両足義足の短距離走者 ロンドン五輪に出場

公式HPより
両足にカーボン義肢をつけて走る南アフリカのスプリンター、オスカー・ピストリウス(Oscar Pistorius)が、自前の足を持つアスリートに混ざって、ロンドン五輪に出場する。あだ名は「ブレードランナー」(Blade Runner)。

1986年11月22日、ヨハネスブルグ生まれの25歳。膝から足首までを構成する脛骨(けいこつ)と腓骨(ひこつ)のうち、生まれつき腓骨がない。生後11か月で、両膝から下を切断。

根っからの頑張り屋、スポーツ好きなのだろう。障害をもろともせず、健常者と共に、ラグビー、水球、テニス、レスリングを楽しむ。いずれもかなりの腕前だった。

2003年6月、ラグビーで膝をひどく痛め、リハビリ中の2004年1月、ランニングを開始。現在、プレトリア大学商学部で、経営学とスポーツサイエンスを専攻している。

走り始めた2004年には早くも、アテネの夏季パラリンピックに参加。100メートル走で銅メダル(11秒16)、200メートルでは金メダル(21秒97)を獲得。いずれも、ライバルは義肢1本の選手だった。

2005年、健常者を対象とした南アフリカ陸上選手権で、6位という好成績を収める。2006年の障害者世界陸上選手権では、100メートル、200メートル、400メートルで3冠。翌年、100メートル、200メートル、400メートルで世界記録。

ここまで快進撃を続けると、「2008年の北京五輪に、健常者として出場したい」という夢を持つようになったのも当然だろう。

2012/07/04

西アフリカで『ハムレット』 「常識」の適応範囲


ピエール・バヤール(Pierre Bayard)著『How to Talk About Books You Haven't Read』(読んでない本について話す方法)を読んだ。(フランス語からの英訳)

「読んでない本について話す方法」といっても、普通のハウツーものではない。著者はパリ大学でフランス文学を教える大学教授。この本も、ふざけた題名からは期待外れの、マットーな文芸評論だった。

文芸評論の常として、概ね退屈だったが、中にひとつ面白い話があった。「主人公」は西アフリカのティヴ(Tiv)族。ナイジェリアとカメルーンに、合計約600万人が生活している。

そもそもの発端は、アメリカ人の文化人類学者ローラ・ボハナン(Laura Bohannan)が、「アメリカ人にシェイクスピアはわからない」とイギリス人に一蹴されたこと。「人間の性(さが)は世界中どこでも同じ!」というボハナンに、イギリス人は「証明してみろ」と挑戦した。

そこでボハナンは、アフリカにリサーチ旅行に出発する時、シェイクスピアの『ハムレット』を鞄に入れた。文化が違うティヴ族にも『ハムレット』が理解できることを証明するために。

2012/06/29

FIFA事務局長、南アフリカ国民に

FIFA(国際サッカー連盟)の事務局長、ジェローム・ヴァルケ(Jerome Valcke)が6月15日、南アフリカの国籍を取得した。

「へ~、ヴァルケって、南アに住んでたの?」と一瞬びっくりしたが、実はFIFAの本部があるスイスに在住。

じゃあ、どうして・・・?

南アフリカ内務省のホームページ及び内務省スポークスマン、ロニー・マモエパ(Ronnie Mamoepa)によると、国籍取得には以下の条件を満たさなければならない。

  • 少なくとも5年(南ア人と結婚している人は2年)、南アに住んでいる。
  •  公用言語のひとつが話せる。
  •  性格が立派で、南ア人としての責任をわきまえている。
  •  今後も南アに住むつもりである。
  •  雇用されているか、学生ビザを持ち、収入がある。または、南アに投資し、雇用を創出する。

ヴァルケは今年の初め、南ア女性と結婚したとされるものの、(性格や責任感については不明だが、その他の)条件は満たしていない。

しかも、内務省は永住権申請を処理する事務能力が低いため、条件を全て満たし且つ高いスキルを持つ外国人ですら、南アで永住権を取るのにものすごく時間がかかる。

当然のことながら、「ヴァルケは国籍取得の条件を満たしていないのみならず、順番を飛び越して、永住権どころか、いきなり国籍を与えられた」という批判が出て来た。

大体、フランス人が何故、南ア国籍を取りたいのだろうか。南アのパスポートでは、近隣諸国以外どこに行くにも査証が必要。不便なだけではないか。理由を勘ぐってしまう。

ヴァルケが南アの国籍取得申請をした理由は不明だが、南アがヴァルケに国籍を与えた理由は、「南アが2010年サッカーワールドカップを主催できるように尽力し、南アのサッカーの進歩に貢献したこと」(マモエパ談)。

そんなの、法律で決まっている条件にはないよな~。つまり、特例! ずるい~!

結局、権力とコネ(場合によっては金)さえあれば、国籍だって簡単に取れてしまうということか。

(参考資料:2012年6月29日「The Times」など)

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2012/06/24

車椅子でスピード違反!?!

ジョハネスバーグ在住のマリエット・ハネコム(Mariette Hanekom)さんの携帯電話に、市警察からメッセージが届いた。スピード違反の罰金500ランド(約5000円)の支払い催促だ。違反日は2009年3月21日という。

「スピード違反なんて、とんでもない!」とまず憤慨。一瞬置いて、車も運転免許証も持っていないことを思い出し、大笑い。

マリエットさんが「運転」するのは・・・。


そう、電動車椅子

膝を痛めて以来、歩くことも不自由なのだ。

近所に出歩くときは、この電動車椅子で歩道を走る。最高時速22キロ

とんだ笑い話だが、笑ってばかりもいられない。

マリエットさんがスピード違反の罰金を科せられたのは、誰かがマリエットさんの名前を騙(かた)って、自動車を登録したから、と警察では見ている。つまり、個人情報を盗まれてしまったのだ。

盗まれた個人情報が更に悪用されて、身分証明書とか、パスポートとか、クレジットカードなどが勝手に作られてしまう危険だってある。知らぬは本人ばかりなり。

(参考資料:2012年6月22日付『Northcliff Melville Times』)

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