2018/07/03

弟がネズミに喰われた! 南ア公共医療の悲惨な現実、再び

2018年5月18日、クワズールーナタール州の田舎に住むボノクフレ・カリ( Bonokuhle Khali)さんは自宅から35キロ離れたンコンジェニ病院(Nkonjeni District Hospital)を訪れた。その1週間前、車にぶつかったときの痛みが出てきたためだ。そのまま入院。兄のジェローム・カリ(Jerome Khali)さんが家族と共に見舞いに行った際は元気だった。ところが数日後、病院からジェロームさんに電話。ボノクフレさんが亡くなったという。38歳だった。

「弟に会いたいというと、ネズミのフンが入った透明の袋を渡された。弟がネズミに食べられたことをそうやって私に知らせたのだ」と怒りを隠せないジェロームさん。「とても清潔であるはずの病院で、なぜこんなことが起こりえたのか理解できない。」

ジェローム・カリさん

ボノクフレさんが5月22日に亡くなった後、病院の死体安置所に移すよう指示を出す医師がだれもいなかったために、遺体は廊下に置きっぱなしにされた。ネズミが鼻や唇をかじり始める。病室の入院患者からほんの数メートルのところだ。ネズミたちがチューチュー鳴きながら、遺体をカリカリカリ。。。目と鼻の先に横たわる入院患者たちは生きた心地がしなかったことだろう。

ンコンジェニ病院(235床)の不潔さは以前から問題になっていた。2015年の病院監査では100点中52点。病院監査は清潔さ、感染管理、経営管理状態、医薬品の備品状況などを採点するもので、合格点は80点。52点は合格点を大きく下回る。

とはいっても、ンコンジェニ病院が例外的にひどいわけではない。2016年と2017年に保健省の監査を受けた696の病院及び診療所のうち、合格したのはわずか5か所だった。つまり南アフリカの公共医療施設の99.3%が医療施設としての最低基準を満たしていないことになる。

ジェロームさんは検死を主張。病理学者の結論は「自然死」。

「そんなことを言われても、本当はどうだったのか。。。」とジェロームさん。

病院の責任者たちに直接掛け合ったところ、「調査する」と約束してくれた。

「調査結果を教えてくれるという話だったが、それ以来なんの連絡もない。葬式には病院からだれも出席しなかった。弟の死を気にも留めていないとしか思えない。まるで、ネズミは食べて当然のものを食べたのだから(病院は)気にしない、とでもいうようだ。」

亡くなったボノクフレ・カリさん

昨年、義父が国立病院に入院し、一週間後に死亡した際、南アの公共医療のあまりのひどさや、公共医療に頼らざるを得ない大部分の国民の不幸について記事を書いた。それほど期待していなかったとはいえ、その後も事態が一向に好転していないのは悲しい。

【参考資料】
"Rats feed on corpse in KZN hospital" Sunday Times(2018年6月10日)

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