2012/05/31

太陽光発電が「人類の進歩と調和」の象徴だった? 大阪万博

5月26日、27日と「日本アフリカ学会 第49回学術大会」に出席した。会場は、万博公園内の国立民族学博物館。

「万博」って、「万国博覧会」・・・? 大阪でそんなものあったの? なんて方もいるかも。。。

1970年3月15日から9月13日まで「大阪万博」が開催され、世界77か国から、6421万8770人もの入場者があったのだ。海外からは76か国、4国際機関、1政庁(香港)、アメリカ3州、カナダ3州、アメリカ2都市、ドイツ1都市、それに2企業、国内からは日本政府、公共企業体、民間企業など32団体が参加した。

大阪万博のテーマは、「人類の進歩と調和」(Progress and Harmony for Mankind)。岡本太郎作『太陽の塔』がシンボル的存在だった。


高さ約70メートルの『太陽の塔』は3つの顔を持つ。塔の頂部の「黄金の顔」は未来を、正面の「太陽の顔」は現在を、そして背面の「黒い太陽」は過去を象徴するらしい。

な~るほど、と見上げていたら、パネルがあるのに気がついた。「太陽発電システム」と書いてある。


「現在の日射強度」「現在の発電電力」「本日の発電電力量」・・・って、太陽の塔は太陽光発電をする機能があった!?!

・・・というのは、私の早トチリ。パネルが「太陽の塔」の写真付きだったから、てっきりそうだと思ったのだが、よく読むと「設置場所 自然文化圏南斜面」とある。

それにしても、1970年当時、日本は太陽光発電を「人類の進歩と調和」の目玉商品(のひとつ)としていたのか? それが、いつの間に、原発に。。。

さて、「アフリカ学会」。


アフリカをフィールドとする学者、100名以上の発表があった。参加者は400人近いという盛況。

ごく一部の研究発表しか聞くことができず残念だったが、いずれもユニークな力作。中でも個人的に面白いと思ったのは、静岡県立大学、湖中真哉(こなか・しんや)氏による「携帯電話による平和構築~東アフリカ牧畜社会の事例」。

C国の民族集団AとBの間に、2004年から2009年にかけて紛争が発生。殺人、傷害、奪略、焼き討ちなどの挙句、565人以上が死亡し、2万2000人以上が国内避難民になった。元々仲の良かった2部族だったが、一国会議員に踊らされたらしい。紛争は国レベルの政治問題に発展し、2009年10月に和平会合が開催された。

この地域では珍しい規模と速さで紛争が拡大した背景には、効果的な携帯電話の利用があった。携帯電話は戦闘員の動員と、戦闘員間の連絡に用いられた。そして、和解後の平和構築に、またまた携帯電話が使われたという。

都市の住民を組織化するのは、結構難しい。なんとかグループ化して、指令系統を作ってみても、現代人は概して個人主義だ。受けた指令に対し、異議を挟んだり、「忙しいから後で」とか「あの人の言うことは聞きたくない」とかゴネては、せっかくの戦略も機能しない。上からの命令を素直に実行するよう、訓練を受けた軍隊とは違うのである。

では、C国では何故、一般人が忠実に指令に従ったのか。

それは、アフリカの各地でまだ生活に根付いている、村落共同体のおかげである。昔ながらの「伝統的権威」が生きているのだ。村には「首長」(チーフ)がおり、相談役がおり、問題を解決する場などがある。。。そういった既成の仕組みを利用すれば、指令に対する人々の抵抗感が少なく、比較的簡単に民衆を動員できるのである。

携帯電話という「文明の利器」を使った戦略が、昔からの伝統が息づく「発展途上国の農村」でこそ、短時間で有効に機能する。そのアイロニーが面白い。

話のついでだが。

5月24日、関西大学で講演する機会があった。最近の学生はアメリカでも「危ない!」という理由で行きたがらない、と国際部の方が嘆いていた。アメリカで「危ない」なんて、「危ない」イメージが先行している南アフリカはもとより、「アフリカに行ってみたい!」という学生は少ないだろうなあ。一度しかない人生なのに、もったいない。。。

声を大にして、呼びかけたい。若者よ、外に出よう!

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