2017/07/31

医師によるマンデラ暴露本に許可を与えたのは元妻と娘?

ネルソン・マンデラ元大統領の晩年を描いた、元軍医総監ヴェジャイ・ラムラカン(Vejay Ramlakan)の暴露本が、グラサ・マシェル未亡人、マンデラ家の跡取りマンドラ、マンデラの遺言執行者などから非難を浴び、出版社が発売1週間で前代未聞の回収に踏み切ったことについては数日前にお伝えしたが(ネルソン・マンデラ晩年の暴露本 発売1週間で出版社が回収 )、2017年7月30日付けサンデー・タイムズ(Sunday Times)紙が興味深い情報を公開した。



サンデー・タイムズが入手したのは、ウィニー元夫人と娘マカジウェがラムラカンに宛てた自筆のメッセージ

著者のラムラカンは「マンデラ家のメンバーから頼まれて書いた」との主張を曲げていない。その一方で、一体誰に頼まれたかに関しては、口をつぐんだままだ。

一番疑われているのはウィニー元夫人。グラサ夫人が特に不満としているのは、「マンデラ元大統領が亡くなった時、グラサ夫人はその場におらず、息を引き取った時に手を握っていたのはウィニー夫人だった」という本著の記述だという。

ウィニー元夫人

ウィニー元夫人同様グラサ夫人を嫌っているマカジウェも怪しい。ウィニー(2番目の夫人)とマカジウェ(最初の夫人エヴェリンの娘)は決して仲良くないけれど、「敵の敵は友だち」という論理からか、グラサ夫人(3番目の夫人)に対しては共同戦線を張ることもある。

マカジウェ

ウィニーのメッセージの日付は、2017年7月21日。(本の発売開始は7月17日。回収されたのは7月24日。)

私の養子ラムラカン先生へ!
愛情のたけを込めて。
この素晴らしい本の成功を祈ります!
ウィニー・マンデラ
21-7-2017

サンデー・タイムズからの問い合わせに対し、ウィニーのスポークスマン、タト・ムメレキ(Thato Mmereki)は返答していない。

ウィニーの自筆メッセージ


マカジウェのメッセージは翌7月22日付け。

VJへ。
勇気を持って、何も恐れないで。あなたは父の生涯を通じて、父の威厳を守るという仕事をとても立派に果たしてくれました。本当のところ、あなたたち「三銃士」がいなかったら、父はあんなに長く生きることができなかったでしょう。私は何があってもあなたを支持します。
たくさんの愛を込めて。成功を祈ります。気を強く持ってね。
M マンデラ
22/07/2017

サンデー・タイムズが連絡すると、マカジウェは「電話しないで」。

マカジウェの自筆メッセージ


どちらのメッセージも、明らかにラムラカンと本著の出版を応援している。書き方からすると、本の見開きに書かれた文章のようだ。通常は著者が読者に宛てて書くものだが、ラムラカンがウィニーとマカジウェに書いてもらったのだろう。

またどちらのメッセージも、ラムラカン所有のはず。サンデー・タイムズは「ラムラカンからコメントを得ようとしたが不成功に終わった」というが、誰かがラムラカンの家に押し入って盗んだのだろうか。ラムラカン本人がリークした可能性の方が高そうだけど。

この話題、まだしばらく続きそうである。


【参考資料】
"Notes claim Makaziwe, Winnie backed book" Sunday Times (2017年7月30日)

【関連記事】
ネルソン・マンデラ晩年の暴露本 発売1週間で出版社が回収 (2017年7月28日)

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