2010/10/04

ビッグファイブがビッグフォーに? ライオンが絶滅する日

百獣の王ライオンが、20年以内に絶滅するかも。そんなショッキングな報告書が10月3日発表された。作成したのは、南アフリカのNGO、Endangered Wildlife Trust(EWT)。

動物園で見る大きなネコたちの中で、ライオンは一番ゴロゴロしている。疑り深い目で、檻の中を行ったり来たりするトラやヒョウとは大違いで、無防備にお腹をさらけ出し、グデーっとお昼寝する。喜んでエサを食べ、簡単に繁殖する。

野生でも、狩猟対象としてライオンがむやみやたらと殺されたのは過去のこと。南アフリカでは、俗にcanned lion(カン詰めライオン)と呼ばれるケシカラン商売がある。狩猟目的で繁殖させ、飼い猫状態で育った疑うことを知らないライオンを、「猛獣ハンター」気取りの欧米の観光客から最高4万ドルもの大金を取って銃で殺させる、というものである。2008年には1050頭ものライオンがこうやって合法的に殺された。非人道的という理由での反対の声は高いものの、国の法律で取り締まられているわけでもなく、ワシントン条約でも問題にならないのは、ライオンが簡単に増え、絶滅の危機にさらされていないからだ。

確かにクルーガー公園では、結核によるライオンの滅亡が心配されている。家畜の牛から野生のバッファローに結核菌が移り、更にバッファローを食べたライオンに移る、という仕組みである。だが、野生のライオンが全世界からいなくなってしまうとは。。。

EWTによると、ライオンが絶滅するかもしれない原因は、保護地域内でしか生息できないことにある。保護地域から出てしまえば、牛や羊を飼う農家に殺される。限られた範囲に住んでいるから、密猟もされやすい。

野生のライオンの数は、世界で1万6500頭から3万頭と推定されている。過去20年で30%減少した。ケニアでは、毎年約100頭が殺され、野生では現在、約2000頭しか残っていないという。

これに拍車をかけるのが、漢方薬としての需要である。トラが乱獲され、絶滅の危機にあることから、ライオンが狙われているというのである。サイのツノも、漢方薬で「媚薬」として使われることから、サイが絶滅の危機に陥っているのは周知の通りだ。

漢方薬を使うのは、勿論中国ばかりではないが、やはり13億人の需要は大きい。効果に疑問がある「薬」や他のもので代用できる「薬」を作るために、野生動物を絶滅に追い込むことは、なんとか避けることができないものか。

象牙で印鑑を作り、クジラを食べる日本人も、非常に評判が悪いことを付け加えておく。

(参考資料:2010年10月4日付「The Times」, 2010年10月17日付「The Sunday Independent」など)

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