2018/02/12

ジョーバーグにマリファナ喫茶誕生「420カフェ」

1971年のことだ。米カリフォルニア州の高校生5人が某日午後4時20分、サンラファエル高校のルイ・パスツール銅像前に集合した。マリファナ生産者が残したという地図を手がかりに、捨てられたと噂される大量の大麻を探そうというのだ。5人はこの計画を「420ルイ」(420 Louis)と名づけた。何度か探索を行ううちに、「420ルイ」は「420」に短縮された。

探し物は結局見つからなかったが、「420」(フォーツウェンティ)は「マリファナ」の隠語として若者の間に定着する。

そして、やはり「420」である4月20日は、世界中の反体制文化にとって、いつしか特別な日となった。集まってマリファナを謳歌し、一緒に喫って楽しむ日になったのだ。時刻はもちろん4時20分。集会の多くはマリファナ合法化を求める政治色を帯びるようになる。

ハウスメートやルームメートを求める広告で「420フレンドリー」とあれば、マリファナを喫っても構わないということ。また、「マリファナを持っている」または「喫いたい」と伝えたいときに「420」と言ったりする。

マリファナ喫茶「420カフェ」の外観(Times Live

ジョハネスバーグにマリファナ喫茶が誕生した。その名も「420カフェ」(420 Café)。

辞書によると、日本語の「大麻」は植物のことで、大麻を乾燥したものを「マリファナ」というらしい。でも、有名人が「大麻所持」で捕まったりしているから、乾燥していても大麻と呼ばれるのだろうか。それとも、新聞や週刊誌の字数節約策か?

英語では植物自体も乾燥させたものも、「キャニバス」(cannabis)または「マリファナ」(marijuana)という。植物や繊維だけ指す「ヘンプ」(hemp)という言葉もある。南アフリカでは「マリファナ」を「ダッハ」(dagga)と呼ぶ。

南アフリカでは2017年、薬用マリファナの使用が合法となった。これまで使われてきた強力な鎮痛剤に比べ、マリファナは副作用や中毒性の面で、圧倒的に安全である。ガンに苦しむ私の友人(77歳の女性)も、庭で大っぴらに大麻を栽培するようになった。

「420カフェ」も、表向きは薬用マリファナの購入と使用の場である。医師の処方箋を提示すれば、マリファナを購入することができる。そして、人目を気にすることなく、その場で喫うことが可能である。

「表向き」というのは、「薬用」に限らないからだ。マリファナ合法論者であるオーナーのフランクは、社会革命が起きることや法律が現実に追いつくのを待つのに飽き飽きしたという。「皆、安全に堂々とマリファナが喫える、いかした場所を求めている。それが現実なんだ」。

西ケープ州のデニス・デイヴィス裁判官が2017年3月、「個人使用を目的としてマリファナを所有・栽培・使用している成人を逮捕・拘留するのは憲法違反」という判決を下したことから、マリファナ合法化を求める人々の活動がこれまで以上に活発化している。(南ア政府は控訴中。)

マリファナの合法化を求める人々に言わせると、マリファナは飲酒と違って人に迷惑をかける行為につながることがないし、飲酒・喫煙と違って中毒になることもない。誰に迷惑をかけることもなく、個人で楽しむだけなのに、違法というのは理不尽というわけだ。

それでも、マリファナの使用はまだ違法であることから、「420カフェ」は大手を振って営業できない。

営業時間は午前11時から午後11時まで。21歳未満はお断り。禁煙である。場所は商業・金融の中心、サントン地区。スーツやハイヒール姿のお客さんも珍しくないという。

マリファナのお値段は1グラム当たり100ランドから1000ランドまで様々(今日の為替レートで900円-9000円)。メニューにはマリファナだけでなく、ピザ、トースト、バーガーなども載っている。


【参考資料】
"Mind your manners as you break the law at this Sandton dagga café", Times Live(2018年1月29日)など

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