2014/01/14

頭脳逆流! 出戻り南ア人、増加傾向

ここ数年、南アフリカの頭脳流出が止まっている。それどころか、「逆流」しているらしい。

アドコープ(Adcorp)社が1月13日に発表した最新調査によると、高スキルを持つ南アフリカ人が2008年以来、35万9000万人も戻ってきたという。その37%が弁護士、医師、エンジニア、会計士などの専門職。といっても、一斉にホームシックに罹ってしまったわけではなく、純粋な経済的理由。

2004年から2008年にかけての世界的な好況期、南アフリカ人、特に白人がどんどん海外に移った。白人バッシングが強烈だったターボ・ムベキ(Thabo Mbeki)大統領のころだ。「犯罪が深刻な南アフリカで子供を育てたくない」「子供が大きくなっても、白人は良い職につけない」などの不安が高まる中、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどの英語圏先進国から多くの求職があった。南アよりずっと給料が良い。このチャンスを見逃せようか。スキルのある黒人も、南アを去った。教師や看護婦が不足しているイギリスなどに、大量に引き抜かれてしまったのである。

ところが、ここ数年の世界的不況で、安定と思われた海外での職が危なくなった。一方、南アフリカは不況の影響をそれほどモロに受けていない。そして、生活水準はかなり高い。ロンドンでは小さなアパート暮らしでも、ジョハネスバーグでは大きな庭付き一軒家に住め、家政婦、庭師、子守が安く雇える。

頭脳の「逆流」は、南ア企業にとっても嬉しい話だ。高スキルの労働者が圧倒的に不足している上、有能な外国人を雇うのは法的制限が多くて厄介だからだ。

かくして、南アフリカ及び出戻り南ア人の双方にとって、めでたい結果となった。戻って来た南ア人のうち、まだ仕事が見つかっていないのは僅か0.4%。52%が管理職の仕事を得ている。

この喜ばしい傾向は、世界経済が回復するまで続く見込み。その時までに、犯罪や汚職や医療・教育水準の低下や極端な黒人優遇政策などの問題を改善しないと、せっかく戻って来た人たちがまた国外に出てしまう。それどころか、もっと多くの「頭脳」と「スキル」が、安全で安定した生活と明るい未来を求めて「流出」してしまうだろう。

(参考資料:2014年1月14日付「Business Day」)

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