2014/05/28

新財務相、就任早々災難 偽物がツイッター

南アフリカでは4回目の民主総選挙が無事終わり、大統領就任式も無事終わり、新政権の閣僚が発表された。

予想通り、選挙前の公約はとても達成できそうにない陣容。大臣としての能力は、ほぼ完全に無視。ズマ大統領への近さや貢献度、与党ANC(アフリカ民族会議)内の力関係が物をいう「ご褒美」人事。ご褒美をあげる人数を増やすため、閣僚数がまた増加した。「国政に必要だから」ではなく、「大臣職をばらまく必要があるから」の増職だ。

1994年、ネルソン・マンデラ大統領が任命した閣僚は44名。ターボ・ムベキ大統領が2007年に任命したのは50名。2009年、第一期ズマ政権の閣僚は63名。今回はなんと73名! GDPや税収がずっと多い、アメリカやドイツや日本より大臣が沢山いるのである。

一体、いくら給料を払っているのだろう。大統領(1名)は年262万ランド(約2620万円)、副大統領(1名)は236万ランド、大臣(35名)は210万ランド、副大臣(37名)は170万ランド。

262万x1+236万x1+210万x35+170万x37=1億4138万ランド

諸手当がつく前の給料だけで、役立たずたちに今年度、14億1380万円も払うことになる。大統領を含めた74名のうち、有能なのはほんの一握りだけ。大部分が首をかしげる人選だ。

有能だった財務相のプラヴィン・ゴーダン(Pravin Gordhan)が伝統的首長たちを担当する、どうでもいいような省の大臣に左遷された。(インド人に、言葉も文化も共有しないアフリカの首長を担当させてどうするのだろう。)新しい財務相として、元労働相、元準備銀行総裁で、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)の国際アドバイザー、ティト・ムボウェーニ(Tito Mboweni)が就任するという専らの話だったが、与党ANC左派の反対でボツ。ンフランフラ・ネネ(Nhlanhla Nene)副財務相が格上げされた。

ENCA

1958年12月5日生まれのズールー族。1970年代に解放運動に参加。西ケープ大学で経済学を学び、政治活動の傍ら、「メトロポリタン生命保険」(Metropolitan Life Insurance)社の総務マネージャーを15年務める。1999年から国会議員。2008年から副財務相。

経済畑を歩いて来た人だから、まだましかも。。。副財務相としての経験があるし。。。

新財務相は5月25日の日曜日、「@NhlanhlaNeneZA」というハンドルネームでツィッターを開始。翌日には既に、3693人ものフォロワー!

この時点ではフォロワー3681人(Jacaranda FM

初日に17回ものツイート。いずれも新財務相としての意欲が溢れている。例えば・・・

「私が離任する時には、南アフリカはアフリカ最大の経済大国に復帰しているだろう。」

2008年、南ア国営放送(SABC)のインタビュー中に、座っていた椅子が壊れてしまった出来事を伏線に、

「椅子から転げ落ちても、私の脳みそは落ちなかった。南ア経済を転落させることはしない。国民の皆さん、私を信頼してください。」(この時の模様がYouTubeにアップされている。かなり恥ずかしいかも。。。)



なかなか頼もしいばかりか、自分を笑える余裕まであるとは素晴らしい・・・

というのは早とちり。実は、このツィッターアカウント、真っ赤な偽物だったのだ。財務省のメディア発表によると、ネネ大臣はツィッターアカウントを持っていない。

正体を明かさないまま、好きなハンドルネームでアカウントが開けるのが、ツィッターの怖いところ。尤も、今回の犯人、悪意はなさそう。「新財務相にはこうあって欲しい」という期待の発露だったのかもしれない。

(参考資料:2014年5月26日付「The Star」、5月28日付「The Times」など)

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