2012/04/20

「捨て犬を救え!」 世界を飛び回る雑種犬「オスカー」

動物保護団体「SPCA」(Society for the Prevention of Cruelty to Animals)ケープタウン支部を訪れた、元プロゴルファーのジョアン・レフソン(Joanne Lefson)さん。雑種犬の「オスカー」(Oscar)にひと目惚れした。聞けば、明日、安楽死することになっているという。2004年のことだ。

オスカー君と暮らし始めたジョアンさんは考えた。世界に4億7500万匹いると推定されるホームレス犬のために、ひと肌脱げないものだろうか? 元気にはしゃぎまわる、愛するオスカー君だって、ジョアンさんの到着がもう一日遅ければ、この世にいなかったのである。

準備期間16か月を経て、2009年5月2日、世界伝道の旅に出かけた。メッセージは、「施設に収容されている犬を養子にしよう!」 資金は自宅を売って調達した。

ケープタウンのシグナルヒルに立つオスカー君の勇姿
ジョアンさんとオスカー君は9か月かけて、世界5大陸31か国、延べ15万キロ(地球2周分!)を旅する。名付けて「世界ウルフツアー」(World Wolf Tour)。

ケニアのマサイマラ国立公園で野生のライオンの匂いを嗅ぎ、ザンベジ川ではワニに遭遇。ローマのトレヴィの噴水で泳ぎ、イタリア警察に逮捕されかけた。インドとパキスタンの国境でラクダに、ネパールでは象に乗った。万里の長城にオシッコをかけ、ディズニーランドではプルートに会い、アマゾンでピラニア釣り。リオデジャネイロでは、ハングライダーも体験。スフィンクスにキスし、コスタリカの熱帯雨林を闊歩した。


エッフェル塔、ピサの斜塔、パルテノンからマチュピチュ、タージマハール、アンコールワットまで世界を股にかけたオスカー君、ラスべガスではなんと、ジョアンさんと結婚式を挙げた!

観光を楽しんだだけではない。世界66の動物保護施設を訪問し、2万匹以上の犬に会ったという。

この体験は『Ahound the World: My Travels with Oscar』として、2010年に出版された。「世界中」を意味する「around the world」の「around」を、「犬」を意味する「hound」に引っかけ、「ahound」としたもの。

2010年、ジョアンさんとオスカー君は、オスカー君の生まれ故郷、南アフリカで「伝道」を継続する。南アフリカの動物保護施設に収容されている犬のうち、貰い手が見つかるのは僅か10%という。

8週間かけて、30の動物愛護団体と100以上の動物保護施設をまわり、資金調達を目的とした催し物25に出席した。この旅で、オスカー君の努力が実り、養子に貰われた犬、300匹。

HPはwww.worldwolftour.com。ふたりの旅を記録した、楽しい写真が満載されている。オスカーグッズも購入できる。

ジョアンさんとオスカー君が今、取り組んでいるプロジェクトは「オスカー・マキシマス」(Oscar Maximus)。高さ、長さ共に30メートルの巨大な犬を空に浮かべての、養子促進キャンペーン。中にはプロパンガスが入っている。これで、南ア中の空を飛ぼうというのだ。今日4月20日はケープタウン、26日にはキンバリーに出没予定。


因みに、オスカー君の先祖だが、DNA分析によると、シェパード、コーギー、コッカースパニエル、それにバセットハウンドの血が入っているとのこと。

こんな感じでしょうかね?
多くの犬たちが、人間の都合で生まれ、人間の都合で安楽死させられている。(南アの動物保護施設に収容されている犬の25%もが純血種!) 

安易に動物を飼い始めないこと、一旦飼い始めたら、死ぬまで面倒を見ること、そして、犬猫が飼いたかったら、ペットショップやブリーダーではなく、まず動物保護施設を訪れることを是非!是非!お勧めする。

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2 件のコメント:

  1. オスカー君は2013年1月11日(金)、滞在先の米カリフォルニア州で車にはねられ亡くなりました。次の大冒険(カトマンズからヒマラヤのベースキャンプまで11日間のトレッキング)の準備中だったとのことです。合掌。

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