2018/10/18

パスポートのパワフル度 日本がシンガポールを抜いて世界一に。南アは52位

今月、日本人は査証なしでミャンマーに行けることになった。これにより、日本人が査証なしで訪問できる国は190か国。189か国のシンガポールを抜いて、世界一! 

第3位はドイツ、韓国、フランスの188か国。フランスが3位になれたのは、やはり今月に入って、ウズベキスタンに査証なしで行けるようになったから。

一方の南アフリカは2018年5月から2ランク落ちて第52位。査証なしで行ける国は102か国と変化がないものの、相対的な順位は下がった。

この調査で「査証が必要ない」というのは、事前に取る必要がないということらしい。つまり、必要だが入国時に取得できる国も含まれる。南アの場合、査証がまったく必要ないのは68か国。そのほとんどがアフリカや南アメリカの国。先進国はシンガポール、アイルランド、韓国くらいか。

世界的には52位と順位が高くない南アフリカも、アフリカでは第3位。1位はセイシェル(152か国)、2位はモーリシャス(146か国)。どちらも島国だ。アフリカ大陸では南アが1位ということになる。

パスポートのパワフル度上位国は以下の通り。

190か国-日本
189か国-シンガポール
188か国-ドイツ、韓国、フランス
187か国-デンマーク、フィンランド、イタリア、スウェーデン、スペイン
186か国-ノルウェー、イギリス、オーストリア、ルクセンブルク、オランダ、ポルトガル、アメリカ合衆国
185か国-ベルギー、スイス、アイルランド、カナダ
183か国-オーストラリア、ギリシャ、マルタ
182か国-ニュージーランド、チェコ共和国
181か国-アイスランド
180か国-ハンガリー、スロベニア、マレーシア

先進国によるドングリの背比べっぽい。やってきて、そのまま居ついてしまう可能性が低い国民ほど有利ということか。

アフリカの上位5か国を見ていると、

152か国-セイシェル
146か国-モーリシャス
102か国-南アフリカ
82か国-ボツワナ
76か国-ナミビア

やはりアフリカの中でも、裕福な国である。

日本人が事前に査証を取得しなければならない36か国

世界で最もパワフルなパスポートを持つ日本人が事前に査証を取得する必要があるのに、南アフリカ人は査証不必要または到着時に取得できる国が4か国ある。アンゴラ、ガーナ、ブラジル、そしてロシアだ。アンゴラとガーナは同じアフリカの国だからか。ブラジルとロシアはブリックス(BRICS)のおかげかもしれない。ブリックスは元々ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)の頭文字に複数を表す「s」をつけたものだったが、のち南アフリカも入れてもらい、「s」は「South Africa」の「S」となった。

因みに、査証必要の有無をリアルタイムで掲載しているのは、「Henry & Partners Passport Index」というウェブサイト。


【参考資料】
"Power of SA passport drops in global ranking", TimesLive(2018年10月10日)

【関連ウェブサイト】
Henry & Partners Passport Index

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2018/07/31

地元「ゆかり」を大切にする神戸の美術館

生まれて初めて神戸を訪れた。日本を出て30年近い私には、日本国内で行ったことがない土地がたくさんある。

職業柄、どこに行っても、つい美術館やギャラリーに目がいく。宿泊した六甲アイランドに美術館が3つあった。「神戸ゆかりの美術館」、「神戸ファッション美術館」、それに、「神戸市立小磯記念美術館」だ。

神戸ファッション美術館はあいにく休館だったが、神戸ゆかりの美術館と神戸市立小磯美術館には行ってみた。

神戸ゆかりの美術館の企画展示は「エトランゼの旅物語」。海外を訪れた神戸及びその近郊ゆかりのアーチストの作品展である。



第2次世界大戦以前の作品は質に大きなムラがあった。仕方ないかもしれない。ヨーロッパに行くこと自体が大変だったのだから。「行くことに意義がある」時代だったのだろう。

2018/07/29

戦う葬儀屋、銃で強盗を撃退 素人が武装することの是非

警備用監視カメラがいたるところに設置してあるおかげで、犯罪の犯行現場をあとからネットで見ることが多くなった。

たとえばこの映像。一か月前、南アフリカのショッピングモールの監視カメラが捉えたものだ。左奥に座った3人組に注目して欲しい。誰も気づかないうちに、堂々とハンドバッグを盗んでいる。



フムブラニ・オーブレー・ブヴンビ(Humbulani Aubrey Bvumbi)さんは葬儀会社のCEO。7月24日、ジョハネスバーグの高級住宅街ブライアンストンの自宅に愛車のレンジローバーで帰宅した。

「いつも通り門を入ったのですが、(自動的に閉まるはずの)門がなかなか閉まらないので不審に思って振り返ったら、見慣れない車が入って来るではありませんか。銃を持った男たちが車から降りてきたのを見て、命が危ない!と思いました。」

しかし、そのまま犯罪の犠牲者になるブヴンビさんではなかった。

「幸いなことに、銃を取り出してなんとか対応することができました。車のドアを開けようとした一人に向かって、即座に発砲したのです。犯人たちは危険を感じて走り逃げましたが、本当に頭にきましたよ。」

バックする黒のアルファロメオに向かって、ブヴンビさんは銃弾を撃ち続けた。

2018/07/06

限りなく完璧に近い人々(5)理想の体現に涙ぐましい努力を欠かさないスウェーデン人

世のため人のため、こうありたい、こうあるべきだ、と思っても、自分の生活に影響があるとなると、なかなか賛成・実行するのは難しい。汚水処理場や火葬場が必要なことはわかっていても、自宅の傍に出来るのは嫌だし、社会福祉の充実を願いながらも、増税には反対する。差別がいけないことはわかっていても、自分の息子や娘が身体障碍者や外国人(特に白人以外)と結婚したいと言い出したら二の足を踏む。国家レベルでも同じこと。他国の人権問題よりも自国の貿易の方が大切だろうし、市場開放や難民受け入れに難色を示す。

大義名分や理想と現実は違うのだ。どこの国でも、どの国の国民でも似たり寄ったりだろう。

ところが、スウェーデンは毛色が違う。本音はどうであれ、「公平」「正義」「民主主義」という理想や建前を重視し、理想に沿った政策を国家が実行してしまうのだから。

外務省

スウェーデンは過去40年にわたり、ヨーロッパのどの国よりも多く移民を受け入れてきた。住民の15%近くが外国生まれという。ヨーロッパで移民受け入れ第2位のデンマークですら、外国生まれの住民は6%強だから、スウェーデンの移民受け入れは文字通り桁違い。親の代まで考慮にいれると、外国生まれがなんと全体の30%にものぼる。

2018/07/03

弟がネズミに喰われた! 南ア公共医療の悲惨な現実、再び

2018年5月18日、クワズールーナタール州の田舎に住むボノクフレ・カリ( Bonokuhle Khali)さんは自宅から35キロ離れたンコンジェニ病院(Nkonjeni District Hospital)を訪れた。その1週間前、車にぶつかったときの痛みが出てきたためだ。そのまま入院。兄のジェローム・カリ(Jerome Khali)さんが家族と共に見舞いに行った際は元気だった。ところが数日後、病院からジェロームさんに電話。ボノクフレさんが亡くなったという。38歳だった。

「弟に会いたいというと、ネズミのフンが入った透明の袋を渡された。弟がネズミに食べられたことをそうやって私に知らせたのだ」と怒りを隠せないジェロームさん。「とても清潔であるはずの病院で、なぜこんなことが起こりえたのか理解できない。」

ジェローム・カリさん

ボノクフレさんが5月22日に亡くなった後、病院の死体安置所に移すよう指示を出す医師がだれもいなかったために、遺体は廊下に置きっぱなしにされた。ネズミが鼻や唇をかじり始める。病室の入院患者からほんの数メートルのところだ。ネズミたちがチューチュー鳴きながら、遺体をカリカリカリ。。。目と鼻の先に横たわる入院患者たちは生きた心地がしなかったことだろう。