調査を行ったのは、過去20年間に世界中の大統領や首相計53人にアドバイスしてきたというサイモン・アンホルト(Simon Anholt)。プロの政策アドバイザーだ。
サイモン・アンホルト(Wikipedea) |
「人々が最も称賛するのは、立派な国というイメージだということに気がついた。経済力があるとか、美しいとか、強大であるとか、近代的とかいうことより、ずっと大切なのだ。そこで、人類に最も貢献していると思われているのはどの国か、そしてどの国が実際に立派なのかを知りたいと思った。」
アンホルト氏は世界125か国を以下の7つのカテゴリー別に貢献度の点数をつけ、それに基づいて総合ランキングを決定した。
科学技術(Science and Techonology)
文化(Culture)
世界平和・安全(International Peace and Security)
世界秩序(World Order)
地球・気候(Planet and Climate)
繁栄・平等(Prosperity and Equality)
健康・福祉(Health and Wellbeing)
文化(Culture)
世界平和・安全(International Peace and Security)
世界秩序(World Order)
地球・気候(Planet and Climate)
繁栄・平等(Prosperity and Equality)
健康・福祉(Health and Wellbeing)
各カテゴリーの点数は、5つのデータの総合点。例えば「世界秩序」カテゴリーには、開発援助の金額や国連条約の批准・署名数などのデータが含まれる。世界への貢献度しか考慮されないので、いくらGDPが大きくても、いくら自国民の福利厚生が整っていても、点数に加算されない。
勿論、「立派」という言葉そのものが主観的。カテゴリーの分け方や、データの選び方や、計算の仕方などに批判は沢山ある。また、入手できるデータにも限りがある。これが完全とか絶対とか断言できる「立派な国リスト」作成は不可能だ。それでも、敢えてランキングを作成し公表したのは、普通の人々に自分の国が「立派」かどうか考えて欲しいから。
現状では、どの国も内向きで、お互いに関連がないように振舞っている。統計も、他国と関連づけられていない、各国ごとの数値を測るものばかりだ。しかし、グローバル化(globalization)を無視することはできない。
「中国の田舎の村で、一羽のニワトリが風邪を引いてくしゃみをしたとしよう。20年前だったら、ニワトリ本人とその家族しか影響を受けなかったが、今日では人類の存続を脅かす。」「アメリカの田舎で2つの小さな銀行が倒産したとしよう。20年前だったら、困ったのは銀行自身と地元住民だけ。だが、今日では世界経済全体にひどい打撃を与え得る。」
政府が内向きなのは国民に責任がある、とアンホルト氏は考える。国民が「3%の経済成長が達成できなければ、別の党に投票する」などと脅すので、政府はGDPを気にする。しかし、グローバル化が進んだ現在、自国の経済成長をもたらすのは誰なのか、国民は考えてみるべきだという。
「私たちは安い製品を買うために貧しい国を搾取している。産業効率を高めるために大量のエネルギーを生産消費して、環境を破壊している。国々が益々発展する一方で、世界、地球、人類の状況は悪化するばかりだ。世界を動かす仕組み全体が急速に成長する腫瘍のようになってきた。経済成長のお蔭で健康だという幻想を持っているが、実は、この腫瘍は体と同じくらい大きくなっている。」
アンホルト氏のいう「立派な国」は、道徳的倫理的に立派ということではない。自国民と同じくらい、世界や人類全体を大切に考える国のことだ。そして、アンホルト氏の20年の経験によると、「国際的な状況を考慮することによって、国内問題・政策が大幅に改善しなかった例はひとつもない」。
さて、では第1回「立派な国ランキング」の成績は?
総合ランキング1位から10位は、アイルランド(1)、フィンランド(2)、スイス(3)、オランダ(4)、ニュージーランド(5)、スェーデン(6)、イギリス(7)、ノルウェー(8)、デンマーク(9)、ベルギー(10)。
総合上位10位のカテゴリー別ランキング(全部125か国のランキングはこちらで) |
因みに、GDP上位3位のランキングは、アメリカが21位、中国107位、日本が25位。南アフリカは44位だった。アメリカも日本も、経済力の割には貢献度が低い。更に、中国となると、スーダン、パキスタン、ルワンダ、モンゴルなどと同じレベル。もう少し頑張って欲しいものである。
(参考資料:IDEAS.TED.COMなど)
【関連ウェブサイト】
The Good Country Index
Simon Anholtのホームページ
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✤この投稿は2014年6月25日付「ペンと絵筆のなせばなる日記」掲載記事を一部変更したものです。
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