2017/06/30

白ワインの意外な真実 糖分が赤ワインの10倍!など

アルコールの摂取量の目安として、「ユニット」(unit)という言葉が良く使われる。100%アルコール10mlのことだ。イギリスの国民保健サービス(NHS)は、1週間のアルコール摂取量を14ユニット以内に留めるよう推奨している。1ユニットはビール(アルコール含有量4%の場合)250ml、ウィスキー(40%)25ml、ワイン(13%)76mlに相当する。

アルコール1ユニットはこのくらいの量(Drinkaware


別の見方をすると、330ml入りのビール1瓶は1.6ユニット、中サイズ(175ml)のワイン1杯は2.3ユニット。

これは何ユニット?(Drinkaware


日本酒(15%)は67mlが1ユニット。カップ酒5杯程度で14ユニットになる。

イギリスでは、900万人以上の国民が週14ユニットを超えるアルコールを摂取しており、病気や死亡の10%はアルコールが原因だという。

私が住む南アフリカはワインの産地。おいしいワインが安く飲める。我が家でも、一番多く飲むアルコールはワインである。私はもっぱら赤ワイン党だが、夏はさっぱりした白ワインも美味しいと思う。

イギリス人は白ワイン党が多いらしい。2016年のワイン売り上げは47%が白ワイン、42%が赤ワイン、11%がロゼだった。

ワインのアルコール含有量は13%程度だが、アルコールの弊害に関する調査研究を行う団体「アルコールリサーチUK」(Alcohol Research UK)のアンドリュー・ミセル(Andrew Misell)曰く、「白ワインは口当たりが良いため、多くの人は思わず飲みすぎてしまう。それが問題だ」。

なによりもびっくりしたのは、白ワインは赤ワインより10倍も(!)糖分が多い(Food Standards Agency)。赤ワイン100mlに含まれる糖分が0.2グラムなのに対し、白ワイン100mlには3グラムもの糖分が入っているのだ。(ロゼは2.5グラム。)

そして、英『デイリー・テレグラフ』(The Daily Telegraph)によると、白ワインは赤ワインより弊害が多いという。

具体的には・・・

酵母感染が起こりやすくなる

栄養セラピストのエマ・コックレル(Emma Cockrell)はこう説明する。

白ワインを愛飲する人は消化菅内で酵母感染が起こりやすくなる。酵母感染は慢性疲労や鬱(うつ)状態や関節の痛みを引き起こし、また腸の働きを鈍くする。「日常的に白ワインを飲む人が抗生物質を服用したり、妊娠していたり(腸内の微生物バランスが崩れやすい)、ストレスに晒されたりした場合、夜、白ワインを1杯飲むだけで体のバランスが崩れる可能性が大いにあります。カンジダ菌は砂糖が大好きなのです。」


顔に慢性の赤い膿疱ができやすくなる

ワインに含まれるアルコールには血管を拡張する作用がある。米ブラウン大学が先月発表した研究結果によると、月にワインを1-3杯飲むだけで、酒皶(しゅさ)*が発生する可能性が14%、月に5杯以上だと49%も上昇するという。

*酒皶(rosecea)=鼻、額、頬にできる慢性の皮脂腺炎症で、赤い膿疱(のうほう)が特徴

ロンドンの皮膚科医ニック・ロー(Nick Lowe)曰く、「血管が拡張すると顔に赤みがさします。アルコール摂取により、誰にも起こることですが、遺伝的要因のために顔が真っ赤になってしまう人もいます。また、白ワインに多く含まれる亜硫酸塩(sulphites)に肌が過敏に反応してしまう人もいます」。


体重が増える

アルコールの乱用を減らすことを目的とする団体「ドリンクアウェア」(Drinaware)は、ワインに含まれるカロリーを甘いお菓子と比較する。例えば、中グラス1杯(175ml)のワインはマデイラケーキ(スポンジケーキの一種)1切れと同じくらい(160カロリー)。大グラス1杯(250ml)のワインはソフトクリーム1個と同じくらい(228カロリー)。ワインボトル1本はチョコレートクロワッサン2個と同じくらい(680カロリー)。

マデイラケーキ(taste.com.au

意外なことに、ソーヴィニヨンブランやシャルドネなどアルコール含有量の多いドライワインの方がピノ・グリージョやリースリングといった軽くて甘めの白ワインよりカロリーが高いという。

2014年に発表された研究結果によると、白ワインを習慣的に愛飲する人は約10%の摂取カロリーをアルコールから得ている。そして、「アルコールのせいで、体がエネルギーとして使うために消費する脂肪の量が減る」(ドリンクアウェア)。

どういうこと・・・?

人間は体内に栄養素、タンパク質、炭水化物、脂肪を蓄えることができるが、アルコールは蓄えることができない。だから、体はアルコールを排除することを優先する。そのため、栄養を吸収したり脂肪を燃やすといった、その他の活動が後回しにされる、というのだ。脂肪が分解されず溜まるから太る、ってこと?

そういえば、仕事で知り合ったケープタウンの古生物学者は白ワインを飲まなかった。バンティング・ダイエット*の信奉者で、その日に食べた食事のカロリー計算が一瞬にして出来る人だった。夕食時、ビール、白ワインはご法度。もっぱら赤ワインを楽しんでいた。

*バンティング・ダイエット(Banting Diet)=高脂肪、低炭水化物のダイエット。現在の中心人物は、ケープタウンのティム・ノーク(Tim Noakes)教授。


肝臓病に罹りやすくなる

英国肝臓基金(British Liver Trust)のCEO、アンドリュー・ラングフォード(Andrew Langford)によると、過去30年間で肝臓病が400%増加した(イギリスだけのことか?)。その一因は白ワインにあるという。「カロリーの過剰摂取は肝臓に悪影響を及ぼします。体内脂肪の増加と肝臓病を引き起こすのです。」

仕事の後、同僚と飲みに行き、帰宅後、寝つきをよくしようと更に数杯ひっかける働く女性が特に危ない」という(なぜ「女性」に限定?)。「アルコール製品のラベル表示の改正を求めています。白ワインのボトルはユニット数ではなく、カロリー量を表示すべきです。」


皮膚がんになりやすくなる

米ブラウン大学が2016年に発表した研究結果によると、白ワイン愛好家は他のアルコール飲料愛好家に比べ、皮膚がんにかかるリスクが13%高い。まだその原因ははっきりしていないが、ワインに多く含まれるアセトアルデヒド(acetaldehyde)が疑われている。DNAを傷つけるばかりか、傷ついたDNAの回復を妨げる物質だ。赤ワインの場合、酸化防止物質(antioxidants)がアセトアルデヒドの働きをある程度抑えるが、白ワインには酸化防止物質が含まれていない。

屋外で過ごすこと、免疫システムの低下、貧しい食事内容、喫煙など、飲酒としばしば関連付けられる要素が相乗作用を生み出して、更に皮膚がんにかかりやすくなるのではないか、と前述の皮膚科医ニック・ローは推測している。


鬱(うつ)状態、アレルギーなどを引き起こす

ワインといえば亜硫酸塩。ブドウの中に自然に含まれている物質だが、それとは別に、防腐剤として何百年もワインに添加されてきた。赤ワインよりも白ワイン、特に甘い白ワインに多く添加されている。

亜硫酸塩はうつ状態、アレルギー、喘息、悪夢、頭痛を引き起こし、二日酔いを悪化させると言われている。

確かに、私も2度ほど、亜硫酸塩に呪われた。1度は20年くらい前。ワインをまったく飲まない生活をボルネオのジャングルで5週間程度送り、南アフリカに戻って来たところ、亜硫酸塩が入った飲み物(ワインや濃縮ジュースなど)を飲むと咳が止まらなくなった。それが1年近く続いた。

2度目はつい数か月前。体中にジンマシンみたいなものができて日夜苦しんだ。亜硫酸塩が添加されていないオーガニックの赤ワインに切り替えて乗り切ったものの、亜硫酸塩に体が反応しなくなるまで2、3か月かかった。

* * * * * * * * * *

意外に怖い白ワイン。やっぱり赤ワイン専科にしておこう。。。

しかし、そういえば数週間前、アルコールが脳に回復不可能なダメージを与えるという記事が南アの新聞『タイムズ』(The Times)に載っていた。その時は「怖い! 禁酒しよう!」と思ったものの、疲れ切って帰宅したその夜にはすっかり忘れてしまっていた。早速その記事を探し出し、机に貼り出して肝に銘じよう。。。


【参考資料】
"Why white wine could be doing you more harm than you think "(2017年5月29日 The Daily Telegraph)など

【関連ウェブサイト】
National Health Service (NHS)
Alcohol Research UK
Food Standards Agency
Drinaware
British Liver Trust

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