2015/11/28

「ミスター・アグリー」 ジンバブエの醜男コンテストで新チャンピオン誕生

ジンバブエの醜男コンテスト「ミスター・アグリー」(Mr Ugly)で、新チャンピオンが誕生した。

11月20日、首都ハラレのシティー・スポーツ・バー(City Sports Bar)で開催された2015年度「ミスター・アグリー」コンテストで、優勝賞金500ドルを手にして大喜びしているのは、失業中のメイソン・セレ(Maison Sere)さん、42歳。歯が抜けた口と、縦横無尽のグロテスクな表情で、審査員の心をとらえた。

新チャンピオン、セレさん(eNCA

「優勝して嬉しい。接戦だったが、私のルックスのお蔭で優勝できた。前回は4位だった。優勝できたことを神様に感謝したい。チャンピオンに選んでくれた審査員の皆さんに感謝する」と記者会見で語った。

一方、腹に据えかねているのが、2012年の第1回コンテストから毎回(といっても2回だけ)栄冠を掌中にしてきたウィリアム・マスヴィヌ(William Masvinu)さん。

3回連続優勝を逃したマスヴィヌさん(IOL News

マスヴィヌさんは新チャンピオンのことを「ハンサムすぎる」とけなす。「俺の醜さはナチュラル。あいつは口を開いた時だけ醜い。」「俺は負けていない。まだナンバーワンだ。」

別の参加者パトリック・ムペレキ(Patrick Mupereki)さんも納得できない。「歯を抜かなければ優勝できないというのか。あいつのやり方は卑怯だ。」

「俺の方が醜いぜ」と競う参加者たち(Onward Christian

二人の不満にも一理ある。

オーガナイザーのディヴィッド・マチョワ(Machowa)さんによると、醜男コンテストを始めたのは醜さへの偏見を取り除くため。「外見は神様から与えられたもの。私たちはあるがままの自分を誇りに思うべきだ」。そのため、このコンテストでは「自然な醜さ」を焦点を置き、人工的に醜さを助長した人は参加資格がないことになっている。

しかし、今年の審査員たちは「クリエイティブでスタイリッシュ」な醜男を求めたという。

審査員のひとりで大学生のアビゲイル・マタラニカ(Abigail Mataranyika)さんはこう評する。「セレは顔の表情を工夫するなどして、醜さを助長する努力をした。マスヴィヌは自分の醜さに自信を持ちすぎ、何の努力もしなかった。だから、負けたのよ。」

セレさんは「奴らは俺の方が醜いことを認めるべきだ」と、他の参加者からの批判をものともしない。

しかし、マスヴィヌさんらの負けっぷりが悪いのは、自分の醜さこそ正当と誇り、セレさんのやり方を卑怯と思っているからだけではないだろう。国民の80%が貧困ライン以下で生活し、失業率が95%ともいわれる国で、500ドルの賞金は大金なのだ。「国一番の醜男」と呼ばれても、開き直ればへっちゃら。歯の数本くらい惜しくはないと思う人がいても不思議ではない。

(悪政による経済破綻と天文学的なインフレの後、ジンバブエドルの使用は停止され、ジンバブエ政府の決済には2009年4月から米ドルが使われている。更に、南アランド、ボツワナのプラ、英ポンド、豪ドル、人民元、インドのルピー、日本円の使用も公に認められている。)

* * * * * * *

2012年の第1回「ミスター・アグリー」コンテストでは参加者わずか5名、賞金100ドルだった。2014年度はスポンサーが得られず開催見送り。今年はハラレのナイトクラブオーナーたちが、計1000ドル寄付してくれた。そして、史上最高の参加者36名を記録する。観客は200人集まった。

オーガナイザーのマチョワさんは強気だ。

「次は、ミスター・アグリー・アフリカ、ミスター・アグリー・ヨーロッパ、ミスター・アグリー・アメリカ、そしてミスター・アグリー・アジアを主催する予定。2017年にはジンバブエで、ミスター・アグリー・ワールドを実現させる!

人口1300万人のジンバブエで参加者わずか36名という実績からすると、かなりの強気。

さて、セレさんは来年、チャンピオンの座を守ることができるだろうか。また、マチョワさんは2年後に世界大会を開催できるだろうか。

(参考資料:2015年11月24日付「The Star」、11月27日付「Sowetan Live」など)

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